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2018.11.30
硬式野球

[硬式野球]10日間連続インタビュー〜激動の秋季リーグ戦を終えて〜最終日 杉本泰彦監督

「戦国東都」と語られる通り、6校による接戦が続いた秋季リーグ戦。惜しくも優勝には届かなかったが、立正大2連勝を始め、リーグ戦を通して数々のドラマが生まれた。激戦を終えた選手達は何を考えるのか、彼らの思いをお届けする。



第10日目は杉本泰彦監督。"play baseball"(野球を遊ぶ)をモットーに東洋大を指揮する杉本監督に、秋季リーグ戦を振り返ってもらった。 (取材日・11月12日、聞き手=松本菜光花)


――秋季リーグ戦は優勝まであと一歩というところでしたが、振り返ってみていかがですか

外から見ればもったいないような、中大戦勝っていれば優勝だったというように見えるかもしれないですね。でもチームの中でいうと、春季リーグ戦で3連覇して今季も初戦から連勝して、勝ち続けてきたことで油断じゃないですが、徹底するということはチームとして薄れてきていたのかなという気がします。でもこれは負けてみないと分からないところがありますね。

――2度目のリーグ戦ですが、秋季リーグ戦は春季と比べて何か違うところはありましたか

全然なかったですね。ただプロに行きたい選手もいる中で、春季リーグ戦はドラフト候補と言ってもまだ切実な部分っていうのはなかったが、今季はドラフトの時もまだリーグ戦をやっているかもしれないというような状況で、絶対に勝たなければいけないというところもあるが、彼らのことをけがさせてはいけないなと思っていたことも確かです。彼らの将来のこと考えて、無理をさせたらいけないなと思いつつ試合をやっていたシーズンでしたね。

――ドラフトで指名を受けた 甲斐野(営4=東洋大姫路)選手、上茶谷(法4=京都学園)選手、梅津(営4=仙台育英)、中川(法4=PL学園)の4人のリーグ戦での活躍についてはいかがですか

自分たちにとっては、不本意なシーズンだったのではないかなと思います。ただこれだけ注目されて精神的な重圧であったり、不安というのを考えると、私はほんとに4人はそこの部分はよく耐えたなと思いますよ。


――プロ入りを果たした4人がチームに与える影響も大きいと思うのですが

彼らと同じ空気の中で練習していたということは、すごくプラスの意味があると思います。彼らのボールであったり、打球を生で見てるわけですから、その感覚をずっと持ち続けてほしいなと思います。また、彼らについてはこれから一生東洋大の看板を背負っていくわけなので、プライドを持って野球をやってもらえればなと思いますし、私たちは彼らが東洋大の野球部と胸を張って言えるような野球部でありたいなと思いますね。

――4人にはどのような活躍をしてほしいですか

プロ野球はすごく厳しい世界でありますし、1年でも長く野球を続けてもらえればなと思いますね。彼らが大学生、高校生、中学生さらには小学生プロ野球を志してるみんなの目標になれるような活躍をしてほしいなと思います。


――来季は上茶谷選手、甲斐野選手、梅津選手が抜けますが、新チームにはどのようなことを期待しますか

抜けた穴が大きいのはみんな分かっているので、そこについては今の時点で自分たち、特にピッチャー陣がまだ力不足であるということをさらけ出したらいいと思います。今はどうであれ、自分たちがやろうとしてることを明確にして、そこに向かってベクトルをあわせてやっていければいいと思いますね。その過程が一番大切だと思います。


ーー新チームの投手陣について期待の選手は


村上 (総2=智弁学園)に期待しているのはもちろんなんですが、山下雅 (営3=東邦)がどこまで復活してくるかが注目ですね。あとは1年生の山内 (営1=東洋大姫路)、赤木 (営1=いなべ総合)、仁田(法1=帝京)がどういう活躍をしてくれるかにも期待したいです。村上はあまり心配してないです。ドラフト3人が抜けたら村上はさらに伸びるだろうなと思います。



――オフの期間に選手に意識して練習してほしいことは何かありますか

みんな個々に意識しなければいけないことはあるので、バッティングについてもピッチングについてもどういう方向性でいくかはすでに伝えています。成果が出るまでには個々の才能も含めて時間がかかる人もかからない人もいると思いますが、方向性、スタンスだけは崩さないようにやってほしいと思いますね。まずは"Doしよう"ということを伝えている。とりあえずやってみてそこからだなと思います。

――新主将は佐藤 (法3=聖光学院)選手ということですが

実績的には文句なく主将は佐藤だというところで、それ以外でのキャプテン心というところに期待したいですね。副キャプテンも投手、内野手、外野手の3人制にしてやってもらうので、佐藤合わせてチームを引っ張っていってもらえればなと思います。また、佐藤は体力的にはすごくあるので、彼にチームが引っ張られていくというところに期待したいです。でも佐藤は体力がありすぎるので、それについていくチームメイトは大変なのかなと思いますね(笑)。約120人キャプテンと選手の信頼はやはり大切だと思います。


――監督さんが今の練習の中で何か意識していらっしゃることはありますか

継続するところの本当の力というのをもう一度確認してみようかという話はしていますね。私たちの若い頃は即効性を求めた時代もありましたが、今は時間をかけてある程度のスパンで徐々に徐々に力を出していくことが本当の底力なのではないかなと思いますね。 "play baseball"(野球を遊ぶ)という考えは変わりませんね。どれだけ考えて野球で遊べるかが大事だと思います。


――最後に来季へ向けた意気込みを教えて下さい

チームは生き物だと思っているのですが、 これだけ投手陣を中心に戦略が抜けて、これからチームがどのような生き物になるのか想像がつかないです。ただ、簡単に言えるのはチャレンジャーになれる立場だということ。今年については、受け身に立つなよと言っても、受け身にならざるを得ないような状況だったので。自分に関しては、今年は自分の色を出そうとしない、動かないというのが結果を出す一番のキーポイントかなと思っていたので。ただ、来年は戦力的な部分も未知数な部分はたくさんあるので、僕の腕の見せ所かなと思っています。伸るか反るかぐらいの勝負を打てるかなと思っていますね。