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2019.05.14
卓球

[卓球]総合力の高さ見せつけ春リーグ2位 運命の入れ替え戦に挑む

2019年春期関東学生卓球リーグ戦 

5月10日(金)~5月12日(日)所沢市民体育館


女子2部リーグ

▼2日目

東洋大4-2國學大

○岡崎                3-1            ●阿部



○青木萌             3-1           ●小島



○岡崎・青木萌  3-1           ●鹿股・塚本



●趙                    2-3             ○小畑



●加藤・菊池      0-3            ○阿部・小島



○奥山                 3-2            ●鹿股


▼3日目

東洋大4-1東経大

○趙                      3-0           ●菊池



○岡崎                  3-0           ●梅津



●奥山・須田       1-3            ○石井・菊池



○青木萌               3-0           ●山口



○岡崎・青木萌    3-0           ●山口・梅津


東洋大1-4筑波大

●須田                  0-3             ○中田



●奥山                  1-3             ○田口



●岡崎・青木萌    1-3            ○田口・平川



○岡崎                  3-1            ●望月



●奥山・須田        2-3           ○高東・望月


今リーグでも活躍したルーキーの岡崎


主軸として安定した戦いを見せた青木萌


最終戦で粘りを見せた奥山と須田のダブルス


    新チームとなって臨む団体戦では、最も大きな大会である春期リーグ戦(以下、春リーグ)。新人戦シングルス優勝を果たした岡崎(文1=川口市立)、ベスト8に入った青木萌(文1=武蔵野)を筆頭に、3日間接戦を繰り広げた。リーグ戦を2位で終えた東洋大は1部・2部入れ替え戦への切符を手に入れた。


   1日目の淑徳大戦、東女体大戦に勝利し2連勝でむかえた2日目は、大一番の國學大戦。「前半に3点取って、残りのセットで4点目をどうとるか」という江尻監督の言葉通り、1マッチにはエースの岡崎を起用。1ゲーム目を落とすと2ゲーム目からは終始岡崎のペースで進み3-1で1セット目を奪取。前日2試合をストレート勝ちしている國學大に初の黒星をつけた。第2マッチに出場した青木萌は、デュースでむかえた2ゲームで競り勝ち1-1と同点に追いつく。そのままの勢いで3、4ゲームを勝ち取りマッチカウント2-0とした。第3マッチのダブルスでも岡崎・青木萌ペアの一年生コンビを抜擢した。お互いシングルスの疲れを見せずに1マッチを奪うも、続く第2マッチはデュースの末敗れ國學大もそう簡単には勝利を譲らない。それでもまたもやデュースにもつれ込んだ3ゲーム目をとり、勢いのまま4ゲーム目をとり勝利。ミスに焦る青木萌に対し、ペアの岡崎が声をかけるなどチーム力が勝利を手繰り寄せた。


    序盤で3-0と監督の作戦通りに試合が進み、あと1セットを取れば勝利という状況となった。しかし、ここから第4、5、7マッチを落とし勝負の行方は第6マッチに抜擢された奥山(文2=秋田商)に託された。「絶対に回ってくると思った」と準備万端の状態で試合に挑んだ。試合は2ゲームを先取される苦しい展開に。3ゲーム目を取り返すも4ゲーム目でリードを許し相手のマッチポイントをむかえ追い込まれる。しかし、ここから奥山が驚異の粘りを見せる。連続ポイントでデュースに持ち込むと12-10で競り勝ち、フルセットの上東洋大の勝利となった。「自分が苦しいとき観客席を見渡したら全員笑って頷いてくれた」と奥山は試合後振り返る。6セット目は、奥山だけの力でなく総合力で勝ち取った今の女子卓球部を象徴する記憶に残る試合となった。




    最終日の初戦は、新人戦ダブルスで2位になった選手を擁する東経大。この試合は「思った通りの試合ができた」と江尻監督が振り返るように前半から攻めのオーダーで勝負に出る。1番・2番のシングルスを連取し迎えた3番のダブルスは、相手との差を勢いで埋めるかの如く奥山・須田(文2=鶴岡東)が積極的に仕掛けて1ゲーム目を奪う。一方相手も2ゲーム目以降冷静にボールをいなしてボールの回転に変化をつける。それでも奥山・須田ペアが粘り、デュースになる場面もあったがあと一歩及ばず惜敗。しかし、続く4番シングルスの青木萌、5番ダブルスの岡崎・青木萌ペアが危なげなくゲームカウント3-0で勝利したことで東経大にも勝利。この時点で東洋大は4連勝となった。


    今リーグ戦最終戦となる筑波大との一戦。筑波大も國學大との試合を僅差で勝利し、全勝で最終戦を迎えることとなったため、この試合で1位と2位が決定する。


    東洋大は新しいデザインのユニフォームを着用し、円陣を組んでお互いを鼓舞してから試合に臨んだ。筑波大戦は今リーグ戦ではあまり採用していなかった後半を意識したオーダー。1番シングルスには須田が出場するも、苦手とするカットマンと当たってしまう。慎重なプレーに徹したものの得点を重ねることができずストレートで敗北。続く2番シングルスの奥山もタイムアウトを利用し1ゲームを奪うが、相手の的確なプレーに対して自分のペースで進めることができず試合を終える。3番ダブルスでなんとか流れを変えたい東洋からは新人戦ベスト8の岡崎・青木萌のペアが登場。しかし、試合が始まると相手の強力なカウンターにさらされる。終わってみれば1-3という結果で「なにをやればいいのか分からなかった」と、青木萌が話すように終始主導権を握られた試合となった。ここまで筑波大から一つも試合を勝ち取れていない状況で厳しい状況に立たされていたが、4番の岡崎が意地を見せた。1ゲーム目、相手は高いブロック技術でボールに緩急をつけて岡崎を翻弄する。岡崎は連戦という状況もあり、上手く対応できずゲームを落としてしまう。しかし、ここで踏ん張るのが岡崎。2ゲーム目を粘り強く戦い12-10という僅差で取り返すと、3・4ゲーム目に調子を徐々に取り戻して見事勝利した。試合後は「ベンチの人が盛り上げてくれて安心感があった」と振り返った。ここから東洋はさらに粘りを見せた。5番のダブルスの須田・奥山ペアは1・2ゲームを連取され早くも後がなくなってしまう。3ゲーム目も5-7でリードされていたところで江尻監督がタイムアウトを要求。二人は監督のアドバイスを聞くと冷静さを取り戻し、なんと3・4ゲームを奪い返した。気合の入った応援に応えるようにフルゲームに持ち込んだ二人であったが最終ゲームは相手の狙いをすました攻撃を止めることができず惜敗。東洋大のリーグ2位が決定した。「どうしても勝ちたい相手だった」と馬場コーチも悔しさを滲ませた。


    春季リーグ戦、東洋大は惜しくも優勝に届かなかったが2位という結果を残し、昨年から大きく躍進した。その裏には徹底した試合のシミュレーションとチームメンバーそれぞれの努力があったと江尻監督は話す。6月には入れ替え戦を控えているが、ここまで女子卓球部を作り上げてきた2・3年生と新戦力の1年生の力を結集しどこまで仕上げられるかが鍵となる。勢いに乗る東洋大の1部昇格の日は近い。


▪️コメント

・江尻監督

(2日目のオーダーは)一年生が今回8人入って、一年生をメインに使った。一人はジュニアナショナルチームに入っている選手だったので、エースが東洋に入ってきてそのエースをどう起用しながら勝負するかというところ。國學大は完全に格上のチームなので、前半に3点取ってそこから4点目をどうとるかというオーダー。作戦通り前半に3点取ることができた。(実際に2日目の試合を振り返って)やはり格上のチームで、一本も気を抜けるような試合はなかった。むしろチャレンジャーなのでそういう意味では、上からのプレッシャーをはねのけて最後物にできたのはよかった。チームがまとまってきた一つの結果だと思う。(勝利の要因は)一番は試合に出ている人、出てない人、上でビデオ撮ってる人、記録とってる人、つまり総合力。ここが今一番のチームカラー。一つにまとまって、試合に出る選手を気持ちよく試合に出させることができた。誰が頑張ったとかいうことよりもチーム全体が頑張ってまとまって、一人一人の役割分担をできたところがよかった。(3日目の試合を振り返って)東経大戦は気を引き締めて臨もうと考えていたので、思った通りの試合ができた。それに対して筑波大戦は実力が、筑波が6で東洋が4くらいだと考えていて向かっていくようなオーダーが必要だった。しかし、後半戦中心に組んだことで勝つことができなかった。チームとしては一人一人が役割をこなしていて雰囲気も良かったが、力が及ばなかった。(リーグ戦全体を振り返って)自分は何ができるのか、自分の強みって何なのかっていうのを徹底して反復練習した。それで試合前の練習からずっと合宿でシミュレーションをやってきた。例えば3分しかない練習時間から始めて、台がいっぱいあっても一台だけを使ってボール拾って、打つ人のタイムを計って、というふうに本当にリーグ戦の入るまでのシミュレーションをして、練習をふんだんにできないところから試合をしてっていうところまで今日のイメージをずっとやってきてぶれないようにしてきた。心の部分もあったかもしれないですけどそういうところまでやってきて良かったなって。(オーダーについて)オーダーでは今回新1年生を軸にした。岡崎と青木萌とダブルス、この3点を軸にした。岡崎に関しては新人戦で1部2部含めた関東の、日本ではトップクラスの新人戦で優勝したっていうのが一人。青木はベスト8に入ってダブルスもベスト8に入った。本当にそういう意味では力強い1年生を軸に3点取って、あと1点を上級生、または1年生でとるというようなオーダーで臨んだ。(次戦に向けて)2位だったので6月に入れ替え戦がある。その入れ替え戦に向けてまた相手の情報分析をして、もう一度1からチームを作り直していきたい。今回強くもなったし、何が足りなかったのかも明確に見えたのでこの41日間でなんとか修正して1部に帰れるように頑張っていきたい。


・馬場コーチ

(3日目の試合を試合を振り返って)まず東経大戦は筑波大戦に入る準備として、悪影響になったりとか雰囲気を壊さないとか、しっかりここは勝てるように、もつれることなくしっかり勝手次の筑波に臨めるようにイメージを作って試合に入ったのでそこはイメージ通りできたと思う。筑波大戦に関しては、やはり相手も層の厚いチームなので、なんとかここを勝たないと1部という次のステージには上がれない試合だったのでどうしても勝ちたい相手だったが、一歩及ばず本当に悔しい敗戦だった。でも次は入れ替え戦があるので最後はそこに向けてみんなで一致団結して臨みたいと思います。(新体制になってみてどうか)4年生が3人抜けて、今度新しく8人入ってきて17人態勢で今年は始まった。その中で有力な1年生が二人。その二人が卓球部の中心選手として今回も活躍してもらって、今後もこの二人を軸としてオーダーを考えていくと思う。(入れ替え戦に向けて)まだ相手が決まっていないので、そこはまだターゲットを絞れていないところがあるが、来週1部の残りの試合があるので、偵察に行ってターゲットを絞って研究して入れ替え戦に臨みたいと思う。ここで結局入れ替え戦に勝たないと今日の2位もただの2位で終わってしまうし、神様が1部に来るんだったらここに勝たないと入れてあげませんよという入れ替え戦だからそこは肝に銘じて一致団結してなんとかこの思い扉をこじ開けて次のステージにいきたいと思う。

・奥山(文2=秋田商)

(2日目の試合を振り返って)1試合しかないということで、自分が出る番号が決まっていて、6番は絶対回ってくると思っていた。3-0と幸先のいいスタートで、4番の選手も2-0でリードしていてもうこれは勝ったかもしれないと自分の中で思った。しかし、そんな気持ちでいてはだめだと思い練習に行って、待っている間もずっと素振りをした。自分の中で準備はできたと思い試合に臨むことができたので、最後まで諦めずに勝つことができた。(追い込まれてから逆転するまでの心境は)本当に緊張して、負けてみんなの残念がる顔とかが思い浮かんだり、余計なことをたくさん考えてしまった。ベンチを見て、観客席にはベンチに入れなかった同期の選手がいて、その子の顔とかを見たら全員笑いながらうなずいてくれていた。こんなんではだめだと思い、最後まで自分の卓球をすれば負けることはないと思い臨んだ結果勝つことができた。


・青木萌(文1=武蔵野)

(2日目の試合を振り返って)ベンチの応援や観客席の応援があって頑張ろと思えた試合だった。シングルスでは最初何も入らなくてやばいなと思って、監督からアドバイスを聞いてそれを実践したらいい感じの展開になった。ダブルスでは、自分のミスが多かった。ミスをするととても焦ってしまうがパートナーが落ち着いてと声をかけてくれたので立て直すことができた。(チームが勝利できた要因は)東洋大は他のチームよりもまとまっている。1年生で初めてのリーグ戦だったが、相手チームよりも応援がすごくかったと感じた。(3日目の試合を振り返って)今日勝てば1部というのが懸かっている試合で、チームがまとまっていて良かったと思う。(試合について)ダブルスではなにをやればいいのか分からないくらい相手のペースがずっと続いていてそれを変えられなかったことが反省。ダブルスは入学してから初めて組んだのでこれからもっと練習を重ねて、入れ替え戦で使ってもらえるように頑張りたい。(初めてのリーグ戦はどうだったか)高校とは違った雰囲気で、高校のときからリーグ戦を楽しみにしていたので良かった。みんなで戦っているのはかっこいのでそれが味わえて良かった。


・岡崎(文1=川口市立)

(2日目の試合を振り返って)シングルスは、1番で出させてもらって1日目から1番からの流れが大切だと言われていた。1セット目を落としてしまったが、1番で取らなければという思いで勝つことができた。ダブルスでは、1番2番でとっていて勢いでいこうと思ってやっていた。途中崩れたりもしたが、最後は青木萌も落ち着いていつも通りできてよかった。(チームが勝利できた要因は)他の大学よりも先輩後輩間ですごく仲良くしてもらったりがあってチームが一丸となってできていたこと。(リーグ戦を振り返って)初めて挑む試合で緊張はしたんですけどベンチにいる人とかが盛り上げてくれたりとかすごい安心感があって試合も落ち着いてやることができました。(3日目の試合について)筑波大がすごく強いことは分かっていたがダブルスで相手のパターンで全部埋まっちゃって負けてしまって、チーム全体としても負けちゃってもっとダブルスのときに工夫してもっと思い切りで来たんじゃないかなと今は思っている。(入れ替え戦に向けて)まだ1部に上がれる可能性はあるので残りの期間でもっと調整とか練習をして1部に上がれるように頑張りたい。


TEXT=鈴木拓磨、小島敦希   PHOTO=鈴木拓磨

平成28年度春季関東学生卓球リーグ・東女体大戦
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