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第68回全日本大学野球選手権大会・準々決勝
6月13日(木) 神宮球場
●東洋大0ー3明大
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
明大 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
東洋大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
●村上、渡邊、松澤、河北-佐藤都
・打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (中) | 松本(営1=龍谷大平安) | 4 | 1 | 0 |
2 | (左) | 小峰(営4=帝京) | 4 | 1 | 0 |
3 | (右) | 山田(総4=桐生第一) | 4 | 2 | 0 |
4 | (捕) | 佐藤都(法4=聖光学院) | 4 | 1 | 0 |
5 | (指) | 山崎基(営3=愛工大名電) | 4 | 1 | 0 |
6 | (二) | 木村(総2=霞ヶ浦) | 3 | 1 | 0 |
7 | (一) | 諏訪(総3=浦和学院) | 2 | 0 | 0 |
打 | 廣岡(総1=拓大紅陵) | 1 | 0 | 0 | |
一 | 斎藤(法3=東洋大牛久) | 0 | 0 | 0 | |
8 | (三) | 津田(総4=浦和学院) | 2 | 0 | 0 |
9 | (遊) | 小川(法3=霞ヶ浦) | 2 | 0 | 0 |
計 | 30 | 7 | 0 |
・投手成績
名前 | 回 | 球数 | 安 | 四死球 | 三振 | 責 |
村上(総3=智弁学園) | 6 | 103 | 6 | 3 | 4 | 1 |
渡邊(総1=報徳学園) | 1 | 11 | 0 | 0 | 0 | 0 |
松澤(営1=帝京) | 1 | 14 | 0 | 0 | 0 | 0 |
河北(営1=浦和学院) | 1 | 9 | 0 | 1 | 0 | 0 |
最終回、本塁タッチアウトとなりうつむく佐藤都
試合後に何度も「悔しい」という言葉を口にした村上
この日チーム唯一のマルチ安打を放った山田
好投を見せた1年生左腕・渡邊
六大王者に完封負けを喫した。全日本大学野球選手権大会(以下、全日本選手権)準々決勝で対したのは、明大(六大学野球連盟)。前日7点を奪った東洋大打線も、カットボールを有効に使う相手エースの投球術を前に安打数で明大を上回るも1点が遠い。連投となった村上が踏ん張ったが失策も絡み、0-3で準々決勝敗退となった。
「東都大学の代表として六大学に負けたくない」。そんな強い気持ちを持って連投のマウンドに上がった村上(総3=智弁学園)だったが、初回に四球と4番・北本(明大)の適時二塁打で先制点を奪われる。村上自身4月24日の国学大3回戦以来の初回失点だった。三回には連打を浴び、1死一、二塁とされると北本の打席間の捕逸で2点目を献上してしまう。五回には内山(明大)に内野安打を打たれ、味方の失策で2死三塁。続く北本の適時二塁打で再び本塁を踏まれ、3失点は全て北本の打席から生まれた。七回からは渡邊(総1=報徳学園)がマウンドを継ぐと、11球で三者凡退の好投を披露。春季リーグ戦で苦しんだルーキーが全国の舞台で躍動した。その後、松澤(営1=帝京)と河北(営1=浦和学院)も無得点で締めたが打線の援護が無かった。
野手は明大エース・森下の緩急を使った投球とカットボールに翻弄(ほんろう)された。明大が無得点に終わった二回と四回の裏の攻撃で、それぞれ木村(総2=霞ヶ浦)と山田(総4=桐生第一)が安打で出塁。しかしどちらの回も併殺をとられ、流れを呼ぶことができなかった。六回には松本(営1=龍谷大平安)と小峰(営4=帝京)の連打で1死一、二塁とするも、後続が倒れ無得点に終わる。なんとか1点をとりたい九回。2死から佐藤都が二塁への内野安打で出塁し、森下の暴投で二塁へ進むと続く山崎基(営3=愛工大名電)が粘って8球目を左前に落とす。佐藤都は三塁コーチャーが本塁を目指すように腕を回したことを確認すると、三塁を蹴り本塁へ。しかし、左翼手・陶山(明大)の正確な返球で本塁タッチアウト。試合終了となり、佐藤都は数秒間立ちあがることができず本塁でうつむいた。
平日ながら約5500人の観衆が集まる注目カードであった今試合。暑さもあるなか連投となった村上だったが、「秋に向けての一番の課題は森下さんのような圧倒的な力をつけられるようにすること」と、言い訳は口にせず秋を見据えた。まずは秋季リーグ戦で再び優勝を狙う。「神宮大会で六大を倒したい」と主将は全日本選手権の雪辱を誓った。
■コメント
・杉本監督
村上には話しをしましたが、森下くんとの対戦ということ、あとは六大学との対戦ということで、負けたくないといういう気持ちでいつもよりは平常心ではなく力んでいたかなという感じはある。その力みは全然オッケーで、当たり前。俺もそうだし。絶対負けたくないし。そのつもりでやっていた結果ちょっとずつ、力んだボールになってしまったり、ストライクゾーンが中に入っていたのかなって感じがしましたね。まあ、でもそれは成長の過程の中で非常に良いことだと思うし、やっぱり我々は東都代表として六大学には負けたくないというその気持ちが大事かなと思います。(連投になった村上選手の起用について)迷うことはなかったですね。明日は休みですし。そこのところは六回、七回といったところだったんですけど、どっちみち頭から1年生の投手陣を先発にしたとしても後半に村上は絶対出てくるわけですから。それだったら最初から出てくるほうが調整もしやすいでしょうし、やっぱりうちのエースなのでそこは迷わずに出しました。(相手の森下投手について)初めて打つということに関しては、最初の部分については真っすぐが全然入らなくて、ストライクで取ってるのがカットボールだけということはわかっていて、立ち上がりの悪さというのは感じていた。うちとしてはやっぱり、4番の佐藤がカットボールを叩いてくれれば試合展開は違ってたのかなと思う。まあ、考えすぎたのかなという気がします。今日はうちの日じゃなかったんでしょう。明治さんの方に流れがあったと思います。(森下選手は)いいピッチャーですよ。リーグ戦で2回3回と戦ったことのあるピッチャーなら経験値が出てくると思うが、初めてではなかなか打ち崩すのが難しいピッチャーだとは思います。100球ぐらいが目安という情報は得ていたが、ウイニングボールをたくさんもっているピッチャーに対してファールを打って粘るという耐久作戦をして追い込まれるのは得策じゃないと感じたので、積極的にいこうという話をした。紙一重のところだとは思うので、もう少しスイングの強さが足りないというところですね。(村上選手の疲労は)それはあまりなかったような気がします。コントロールは大丈夫だったので。(ピッチャー陣の収穫は)1年生のピッチャーはあれぐらい投げれると思っていました。春のリーグ戦も投げましたし、こういった全国の経験や自信が加点して一夏超えてどうなるのかが楽しみです。また、同じようなレベルの1年生のピッチャーがあと4、5人いるので同学年が全日本の明治の試合で投げている姿を見て頑張ってくれれば、秋もそうですけど東洋大学の将来につながると思います。(今後の取り組みについて)このままずっとバッティングについても絶対に変えない。森下くんのようなピッチャーを打ち崩せるような攻撃力がつくと僕は信じています。
・佐藤都主将(法4=聖光学院)
(村上選手の出来は)最初のブルペンのときは結構良かったかなと思いながら入ったが、やっぱり明治さんの野手は甘いところを逃さないのでそこを痛打されたっていうのが。結構ツーストライク追い込んでからとか4番の北本君には結構打たれたイメージがあった。すごいポテンシャルを持っていたりレベルの高いバッターが多いなということを感じた試合だった。村上は気力で投げてくれていたと思うので責めることは全然無い。野手が応えることができなかったことに悔いが残る。(2回キャッチングでミスがあったが)サインミスでは無くて、一回目は逆球を捕り損ねて、二回目は高めに抜けた球がバッターと被ってしまい後ろに逸らしてしまった。(明治は走ってくる選手も多かったが)結構仕掛けてくることが多かった。単独というよりもエンドランが多くて明治さんのバッターは上手いのでそれがヒットコースに飛んだりと徹底されていた。そこを感じ取れなくて自分が気をつかえていなかったと思う。(初回、丸山選手も盗塁して)刺せたと思ったが結果セーフで、そのあと4番のセンターオーバーで先制されてしまった。タッチと逆の方にちゃんとした球を投げれていればアウトだったと思う。(森下投手は)最初は対戦していて楽しかった。知っているピッチャーの打席に立てるのは、光栄なことだし楽しんでいこうと思っていたし、よいピッチャーということは分かっていた。チャンスで打ちたかったが(六回に)ツーアウト一、二塁で自分がインコースのまっすぐを打ち切れず、4番として情けなかった。152㌔のまっすぐも伸びていた。投げ切った森下がすごかった。予想以上だった。今まで見た投手の中でトップスリーに入ると思う。(大学代表の)選考会とかで一緒になってキャッチャーとして受けることはあったが、打席に入るのは初めてだった。やっぱりキャッチャーとして受けるのと、打席に入るのでは感覚が違った。制球力もあって手元で曲がるカットボールが軸になっている。ピンチになるほどギアを上げて要所でよい球を投げてきた。(九回内野安打で意地を見せれたのでは)意地というよりもたまたま打球方向が良かっただけ。でも自分で最後になりたくないと思っていたので、少しでも意地を見せれたらという思いでは打席に立っていた。結果最後ホームでタッチアウトになって申し訳ない。(最後の整列のときに何か森下選手と話していたが)やっぱえぐいわって。優勝まで頑張って、ということを伝えた。頑張ってほしいです。(秋に向けて)またリーグ戦を勝ち進むことは難しいことでもあるが、神宮大会で六大を倒すというイメージを持って。もう一回夏場に振り込んで今度は野手で勝てるようにやっていきたい。
・村上(総3=智弁学園)
疲労はそんなに。いつも通り。東都大学の代表として六大学に負けたくない気持ちで臨んでいた。春リーグ6勝しているが、全日本優勝できなかったのが自分として悔しい。相手投手が良くて打線も沈黙していたなかで、自分のリズムの悪さで3失点もしてしまったのは自分の力不足。変化球をうまく使いながらいこうと思っていたが、球が落ちきらなかったりした。パスボールになった球種はスライダー。抜けましたね。自分の力がなかったから仕方がない。(マウンド降りてから1年生が3人投げたが)投げ切るつもりでいたが、先輩として1年生に託してしまって申し訳ない気持ちであったり、情けない気持ち。明治大学は全員いいバッターなので分析はそんなに細かくはしていなくて。打者によってというか特に1番打者と4番打者は警戒してました。でも先頭の添田さんは出しちゃいけないと注意していたが出してしまって、4番にかえされて。(相手投手の森下は)大学ナンバーワンのピッチャーだし負けたくなかったので悔しい。簡単にランナーが出られないような雰囲気であったりマウンドでのオーラも今までで一番。初回は三者凡退にしようと思っていができなかったり、いい球だと思ったものがボール判定であったりして自分で切り替えられなかった。秋に向けての一番の課題は森下さんのような圧倒的な力をつけられるようにすること。自分にはないようなまっすぐの質であったり全部が一級品で、自分がベンチから出てみんなが安心するようなピッチングをしたい。こういう形で降板してしまったので悔しいし、秋もリーグ優勝して神宮大会出てやり返したい。
・善波監督(明大)
ゲームの流れを失わなかったのが非常に良かった。もちろん北本が好投手相手に打ってくれて、いけるぞというベンチの空気を作ってくれたのも勝因。四球で出てかき回して、使えるものはなんでも使ってといった感じ。村上の対策としては、いい投手と思いすぎないで打席に入ろうと言った。意識しすぎるとバットが出なかったり始動が早くなったりするので。それが上手くいったかはわからないですけどね。(村上選手に初回30球投げさせたが)特に球数を投げさせるようなことは思っていなかったが、なんとかしようという気持ちが結果的にそうなったんじゃないかなと。今日は2本センターオーバーが出ましたけど、よく打球が伸びた。いい風がうちに吹いていたかな。森下の調子は、この試合に合わせて伊勢を初戦で使うと早くから決めていたので合わせやすかったのでは。自分の持っているものは全て出して、東洋の打線に向かっていけていた。
・森下(明大)
完封出来て良かった。(カットボールを有効に使っていたと思うが)ストレートが荒れていたが変化球はまとまっていたのでそれをうまく使えた。ストレート自体は全然良くなかった。変化球はカットボール、カーブ、チェンジアップも良かった。左打者にはカット、右打者も結構ストレートを待っている感じがあったのでカットを使ったら打ち損じて内野ゴロや外野フライになってくれて良かった。三振の少なさは気にしていなかった。ゲッツーを2つとることができたのでそこが流れを止めることができたので良かったと思う。(佐藤都選手と対戦して)今日の最速152㌔出たのはツーストライクに追い込んでいたし、あそこで三振とれたら流れも変わると思っていた。抑えていないとどうなるか分からない展開だった。昨日1試合スタンドで見たが、相手がどういうチームか分からない中でリーグ戦の相手と比べて違う野球をしてくる。その中で自分たちの細かい野球ができたので勝ちにつながったと思う。(村上投手との投げ合いは)年下ですし昨日も100球近く投げて、疲れもあるなかでやっていて、自分は昨日は声出したりして今日に合わせていただけなのでさすがに打たれるわけにはいかないという気持ちでやっていた。(意識していた東洋大に勝って)この東洋との試合が山場だと思っていたので勝てて良かったが、次のチームもこの大会を通してレベルがあがっていると思うので、野手も含めてもう一回気持ちを入れ直して自分たちの野球をやっていきたい。
TEXT=川口朋珠 PHOTO=須之内海、川口朋珠、齋藤洋