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秩父宮賜杯第51回全日本大学駅伝対校選手権大会記念大会
11月3日(日)熱田神宮正門前~伊勢神宮内宮宇治橋前
総合5位 東洋大 (106.8km) 5:15’40
1区(9.5km) 渡邉奏太 28’05(6位通過・区間6位)
2区(11.1km) 大澤駿 32’12 (11位通過・区間12位)
3区(11.9km) 相澤晃 33’01 (1位通過・区間1位)
4区(11.8km) 今西駿介 34’07 (1位通過・区間2位)
5区(12.4km) 西山和弥 37’28 (2位通過・区間11位)
6区(12.8km) 前田義弘 38’35 (5位通過・区間9位)
7区(17.6km) 定方駿 52'24 (3位通過・区間2位)
8区(19.7km) 宮下隼人 59’48 (区間8位)
第1中継所 1区・渡邉(左)→2区・大澤
第2中継所 2区・大澤(左)→3区・相澤
相澤は10人抜きの激走を見せた
第4中継所 4区・今西(左)→5区・西山
第5中継所 5区・西山(左)→6区・前田
三大駅伝デビューとなった前田
定方は区間2位の快走で前を追う
5位でゴールする宮下
悔しさをあらわにする選手たち
区間賞を獲得し笑顔の相澤
天候に恵まれた伊勢路で、第51回全日本大学駅伝(以下、全日本)が行われた。出雲駅伝(以下、出雲)のメンバーに渡邉(済4=吉原工)と前田(済1=東洋大牛久)を加え優勝を狙いにいった。相澤(済4=学法石川)が10人抜きの区間賞の走りを見せるなど4年生の活躍が目立った今大会。最終8区まで勝負がもつれ込む展開となったが東洋大は5位で幕を閉じた。
1区は2年生の箱根駅伝(以下、箱根)以来の三大駅伝となり、復活の走りが期待された渡邉だ。序盤からスローペースとなった1区。大集団の先頭に位置していた渡邉は5km過ぎの上りでペースを上げると、次第に集団はばらけ始める。終盤に城西大の荻久保がペースアップを試みると、付いていくことができず。しかし1位と16秒差の6位と前が見える位置でタスキを渡し、1区の役割を果たした。2区は先月の出雲で快走を見せた大澤(済3=山形中央)。後ろから追ってきた国学大のエース浦野らと共に5位集団を形成した。中盤からの他大のペースアップに大澤は徐々に順位を下げてしまう。「スタミナが足りない」と距離が長くなる箱根へ向けて課題を明らかにした。それでも後半に粘り、先頭とは40秒差の11位でエース相澤にタスキを託す。序盤から前の選手を次々とかわし異次元の走りをする相澤。あっという間に10人を抜き去り6km過ぎに先頭に躍り出る。首位に立ってからもそのスピードを緩めることはなく後ろの選手を突き放しにかかる。「記録に残る走りができた」と相澤は振り返り、東洋大のエースとしてはもちろん、学生長距離界のエースであることを証明してみせた。従来の区間記録を1分以上上回る圧巻の走りだった。トップでタスキを受け取った4区・今西(済4=小林)は、相澤の勢いそのままに先頭を走り続ける。全区間でアップダウンが最も多い勝負区間で前半は後ろからの追い上げに少し詰められるも、後半に粘り1位を維持。今西は区間2位の記録で4年生の意地を見せた。
5区は西山(総3=東農大二)が出走。西山は序盤から粘り、先頭を譲るまいとひたすら前を向き走り続ける。しかし7kmを通過した辺りからペースを落としてしまい9kmで東海大に追い付かれる。西山は一度は東海大の選手に付くも、徐々に離されてしまい単独2位に。区間11位と本来の走りができず、19秒差の2位で6区・前田へとつなぐ。1年生で初の三大駅伝デビューとなった前田は必死に前を追う。7km手前で同じ1年生の順大・西澤に抜かされ、さらには青学大、国学大にもかわされる。トップ東海大とは1分28秒差の5位で4年生の定方(工4=川棚)にタスキリレー。前田は苦いデビュー戦となったが、この経験が今後の成長につながるだろう。先月の出雲でアンカーを務め悔しい思いをした定方は、その悔しさを晴らすべく序盤から攻めの走りを見せる。5kmで13秒差あった国学大に追い付き、さらに前の順大の選手と3人で3位集団を作り競り合う。単独3位となった定方は前2人とも確実に差を詰める。宮下(工2=富士河口湖)にタスキを渡した時点で1位の青学大とは25秒差。区間2位と快走した定方からは4年生の意地が見えた。3位で走り出したアンカーはチームの核へと成長するために酒井監督が送り出した宮下。優勝を狙うため序盤からハイペースで青学大と東海大を懸命に追うも、思うように差を詰めることはできず。終盤には後ろから来た駒大、東国大に抜かれてしまうが、最後まで1秒をけずりだす走りをした宮下は5位でフィニッシュを迎えた。
5位という順位に関しては「悔しい」と酒井監督は振り返るも、相澤を筆頭に東洋らしい攻めの走りを見せ収穫もあった全日本。箱根へ向けては下級生の安定した走りが鍵となるか。出雲、全日本の悔しさを力に変えて箱根で優勝を狙うために、さらに成長していく選手たちに期待がかかる。
■コメント
・酒井監督
振り返ってみると4年生がまとめる走り、相澤の区間賞を筆頭に、区間2位で今西と定方、区間6位だけど序盤のいいスタートを切った渡邉がいい仕事をしてくれた。下級生が安定した走りができなかったことが課題。いいところと立て直しする所があった結果だった。(三大駅伝デビューの前田選手について)今西、西山の流れの後ということもあるが、他大学もそこ1年生が走った区間だったから苦いデビューだったかなと思う。(5位という順位について)順位に関しては悔しい。最後順位下げての成績だから残念だけど、タイム差はあまりないので、ミスなくしっかり東洋らしいレースを全区間できていれば、十分立て直しはきく範囲だと思う。(今後へ向けて)出雲、全日本終えて3位と5位で箱根へ向けてしっかり優勝を狙っていきたい。
・1区 渡邉奏太(済4=吉原工)
(久しぶりの駅伝となったが)レース自体が1年半ぶりくらいでスタートラインに立てたことにとりあえずホッとしている。(1区を任されたが)距離も短くて、自分の得意とする距離でアップダウンも自分は得意。自分にあったコースだということで監督には出してもらったと思う。(実際のレースを振り返って)最初予想通りスローペースになったが、少し前に出てしまってうまく他の選手に使われるような形となってしまった。揺さぶりをかけようと思ったが、まだ足の痛みもあり思うような走りはできなかった。
・2区 大澤駿(済3=山形中央)
(レースプランは)本当は先頭がすぐ見える位置で渡すということが僕の役目だったが、実力が足りないというのが第一に感じた。(混戦の2区だったが)出雲駅伝のイメージで距離を長くするという感じで、アップダウンもしていた。しかし5km以降国学大の浦野さんが上げたときとかもそこに付いていけなかった。スタミナが足りないと明確になったのでそれをしっかり重く受け止めて、これから箱根に向けて走っていきたいと思う。(試合後に監督からは)箱根の往路を見据えたときに往路は28分台で入っていくのが当たり前。僕はまだ今トラックで28分台を持っていない。今日は通過で28分台が出たと思うが、それを普通と考えてそこからどれだけまた勝負していくのかということを考えられる選手にならないと、まだ往路を走れる選手ではないのかなと言われた。その言葉を忘れずにこれからまた練習していければと思う。(箱根にむけて)箱根はまた距離が長くなりきつくなると思うが、出雲と全日本を走って感じたのは期待してくれる人がすごく多いということ。そういう人の期待に応えたいというのもあるし、監督・スタッフ、支えてくれる人たちの存在の大きさがすごく身に染みている。そういうところを汲み取って僕自身も謙虚に向き合っていければ、箱根の優勝に貢献できるのかなと思う。
・3区 相澤晃(済4=学法石川)
(出雲駅伝を終えどのような気持ちで今大会を迎えたか)出雲駅伝は自分のところで先頭に立っていい流れに変えたかったがそれができなかったので、今度こそは区間賞・区間新で先頭に立とうと思っていた。(11位でタスキを受け取ったときはどのようなプランを立ててスタートしたか)どんな位置でもらってもトップでタスキをつなぐというふうに思ってした。大澤もしっかり後半粘って思った以上に離されずに来てくれたので、最後まで気持ちを切らさずに走り切ることができたと思う。(レース展開は)前半からハイペースで飛ばしていって10000mを27分台で入ると監督と話していた。その通り27分47秒くらいで入れた。思っていたよりも早く入れたので気持ち的にももう少しだし頑張ろうと思って最後までレースプラン通り走れたかなと思う。(1分以上更新しての区間新記録については)目標タイムよりも50秒ほど良かったので自分としても納得している。監督と常々話しているが、記憶に残る走りができたのかなと思う。(箱根に向けて)全日本でまず優勝を目指して。箱根では往路優勝はできているが、復路と総合優勝ができてないので来年こそは総合優勝を目指して頑張りたい。
・4区 今西駿介(済4=小林)
(相澤選手から1位でタスキを受け取って)相澤と自分で1分差つけようって話をしていたので、自分がもっと広げないといけなかったんですけどちょっと詰まってしまって申し訳ない。(レース展開は)前半結構突っ込んで入ったつもりだったんですけど、2位の東海となかなか詰まってなくて精神的にきつくて苦しい時間が長かったんですけど、自分としては後半ペースアップはできたかなと思う。(レース前監督から言われたことは)やっぱ後続の選手のためにお前が引き離さないといけないと言われた。
・5区 西山和弥(総3=東農大二)
全然ダメだった。レースプランは前半は14分20くらいでそこから粘るというものだった。監督からの指示はその通り。(後半区間は初めてか)調子が良くなかったのと、あまり走れてなかったのでその区間かなとは思っていた。あまり走れていないのでまた頑張る。
・6区 前田義弘(済1=東洋大牛久)
三大駅伝のデビュー戦だったが、いい走りもできず優勝争いを遠ざけるような走りをしてしまって悔しい。(レースプランは)5区中盤まではトップだったので自分のペースでいって先頭で定方さんにタスキを繋げればいいなと思っていた。途中2番手になったので、先頭に追いついてどれだけ粘れるかと考えていた。最初に突っ込んでそこから少し、暑さなどもありバテてしまった(三大駅伝初出場について)苦しい走りになったが沿道の方々の声援、監督やコーチ、奥さんなどの支えがあって普段陸上に打ち込めているんだなと改めて感じることができた。そういう方々や先輩方に恩返しができるように、箱根にむけて今後1からやっていきたい。(レース前に監督からは)昨日の夜には「先輩方が繋いできてくれるから1年生なんだから思い切っていけ」と声をかけていただいた。(今後への意気込み)今回すごい悔しい思いをしたが、悔しい思いをしてよかった。これをバネに今後4年間活躍して行けるような選手になりたい。
・7区 定方駿(工4=川棚)
(出雲終わってからどのような準備をしてきたか)出雲は10kmと比較的短い距離だったが、今回は17.6km走れるということだった。他の選手とは別に宮下と自分でスタミナ作りをやってきた。(レースを振り返って)思ったよりも後ろの順位で来た。自分はまだ優勝を狙える位置でしっかり宮下につなごうと思っていた。区間2位で最低限の仕事はできたかなと思う。(箱根に向けて)ここで東洋が優勝して箱根に弾みをつけたい。優勝できなくても相澤が素晴らしい走りをしてくれたように、相澤を生かす走りを東洋としてはやっていきたい。箱根では相澤を生かして優勝をもぎ取りたい。
・8区 宮下隼人(工2=富士河口湖)
定方さんから前が見える位置でタスキをもらった。直前に監督から「追っていけ」と指示があった。前半から詰められるときに詰めていこうと思っていたが1kmはハイペースで入ったがそれから思うように縮まらずずるずると逆に離されてしまうという展開となった。15kmあたりで駒澤大学さんに抜かれてしまい、最後に東京国際さんに抜かされてしまうという、7人がつないできたタスキの順位を2つ落としてしまうという力不足を感じた。とても悔しいレースだった。スタート前までは日が出ていたこともあったのでペースで押していけという指示があったが、スタート直前で日が隠れてきたので涼しくなってきた。それで監督からは「追っていけ」という指示に変わった。(アンカーを任されたのは)アンカー行くぞ、と言われたのは1週間ほど前に練習で言われた。定方さんと自分が元々長い距離の後半区間と言われていた。定方さんと一緒に長い区間の練習をしていて、その中で定方さんが7区、自分が8区、と言われた。(収穫や課題は)収穫としては力不足を単純に痛感した。足りない部分が見えてきたと思うので、それを箱根まで日数があるので改善していきたい。
TEXT=両角あずさ PHOTO=小島敦希、稲村真織、両角あずさ、長枝萌華