記事
インカレ直前特集②何澤由衣
10月７日〜10日に学生日本一を決める第97回日本学生選手権水泳競技大会（以下、インカレ）が東京辰巳国際水泳場にて開催されます。それに伴い、スポーツ東洋では水泳部の注目選手インタビューをインカレ開催日までカウントダウン形式でお届けします！今日は東洋のポイントゲッター・何澤由衣選手です！
今年の東洋大学水泳部のチームスローガンは「一心」。インカレではチーム一丸となり、心を一つにして勝負に挑む。そして”頂点を目指す”という意味が込められています。女子は総合優勝、男子は総合４位以上を狙い、目の前のレースに全身全霊で立ち向かう東洋大。今年も白熱した争いが繰り広げられること間違いなしです！
（写真提供：東洋大学体育会水泳部）
今年のジャパンオープンでは女子200mバタフライにて決勝進出を果たした何澤由衣（国２＝京都外大西）。４月に開催された日本選手権でも準決勝に駒を進め、好調な様子を見せた。しかし、その輝かしい成績の影には左足の腱を断裂するという大怪我があった。一時は自分の泳ぎを見失ってしまったが、そのような状況でも、試行錯誤をしながらできることを模索。その結果、「自信がある」と言えるまでになった。何澤の強みは何といっても「緊張を力に変えることができる」強心臓の持ち主であること。東京五輪代表の白井璃緒（国４＝宝塚東）が「女子の中で期待するのは何澤」と太鼓判を押すほどの実力者がインカレで女子総合優勝に導く。（取材日・９月26日、聞き手＝浅野琴美）
ーーインカレまで２週間をきりましたが、現在の心境はいかがですか
今年は昨年よりもさらにイレギュラーな形となっていて、東洋大では練習が途中で止まってしまったり、試合の欠場がありました。どちらかと言うと不安要素が大きくて、チーム全員で練習ができていないんです。２つのパートに分かれたりしていて、不安要素がある中でも練習が再開できてから、２ヶ月経とうとしているんですけど、徐々に練習を積むごとにインカレが楽しみになってきました。みんなの調子も上がってきています。それに連なって、調子が悪い人も調子がよくなって私もその１人です。今は楽しみな気持ちで、不安のほうが少なくなってきています。
ーー現在の調子を詳しく教えて下さい
私は長距離なので、楽に速く泳げることが調子がいい指標だと思います。タイムがめちゃくちゃ速いわけではないんですけど、感覚がよくて、泳いでいても疲れないです。後半もつのではないかという感じです。いいか悪いかで言ったら、いいです。
ーー活動停止期間に取り組んだことはありますか
その期間にしかできないことをしようと思っていました。例えば、水泳の勉強をしたり本を読んだりYouTubeを見て、それを参考に陸上トレーニングをしました。あとは、全く関係ない本を読んで世界を広げたり。時間があるならではの、新しい知識を得ることに時間を注ぎました。今までやってきたことよりは、新しいことをやって変化をつけたいなと思って、取り組んでいました。
ーー水泳の勉強をして自分にプラスになったことはありますか
いっぱいありますね。私は左足の腱を断裂して、左右のバランスがおかしくなっちゃったんです。それを整えるためには、陸上トレーニングが大切なので、様々なジャンルの陸上トレーニングをしました。足とは関係ない腹筋の使い方や体幹を中心に、バランスの整え方とかをすごく習得できたかなと思います。
ーー現在はどんな練習をしていますか
毎週毎週、月曜日はこれ！火曜日はこれ！っていう風にしているんです。先週より「ここがよくなったな」とか比べやすい練習をしています。明らかに誰が見ても分かるような成長の仕方をしています。スタートが悪すぎて、絶望的だったんですけど、今は自信があるにまで至っています。
ーー練習する際に意識していたことはありますか
泳いでいる間、ずっと考えているような感じです。本当にバランスが悪くて、真っ直ぐ泳げないことが多いんです。「今日は左の腹筋入ってないな」とか、「右手が内に入っちゃってるな」とかを一回一回の練習で考えます。練習が終わったら、陸上トレーニングで修正して、また次に挑むっていう感じですね。徐々に調子が上がってきました。
ーー緊張するタイプですか
緊張しますけど、それを力に変えることができます。だから、大きな試合のほうが好きですね。大きな試合のインカレとなると、すべって得点できなくなってしまうので、普通の試合より責任感や緊張感が大きいです。でも、それが逆に力になります。「絶対すべってはいけない！」っていう気持ちができて、いい意味で力に変わるんです。大きな試合のほうが強いですね。
ーーお世話になっている先輩や憧れの先輩はいますか
全員と関係が濃過ぎます。全員から刺激をもらっているんですけど、４年生のマネージャーさんの存在がすごく力になっているなと思います。毎回練習終わってから、「今日はどうだった？」とか何気なく聞いてくださります。そこで共有できて、水泳って泳いでいる最中は見えないんですけど、他人の目からだと「手が内に入ってるよ」と言ってもらえます。怪我していた時や泳げなかった時に、陸上トレーニングのやり方を教えてもらいました。様子を伺って下さったので、お世話になっていて心強いですね。選手の皆さんともすごく共有できているし、相談に乗ってくれるので、幅広く感謝しています。
ーー白井璃緒選手が以前「何澤選手に期待している」と仰っていましたが
えー！そうなんですか？まさかですね…。めちゃくちゃうれしいです！白井選手も相談に乗ってくれる１人であって、同じ関西人で会話も弾む感じが好きですね。練習となると、すごくタイムが速いのでついていけないです。（笑）考え方や練習一つ一つに対する取り組み方が人と違いますね。白井選手ならではのっていう感じです。練習に早めに来て、自主トレをしていて、すごいなって思います。
ーー１年生の頃より成長したなと感じる部分はありますか
あんまり変わってないですね。後輩ができたことくらいです。今年がイレギュラーであったことによって、私が不安に感じてる＝１年生はもっと不安に感じているだろうなって思います。そこは、先輩がやってくれたように声かけをしたいです。１年生の時はただ単に先輩の言うことを聞くだけというか。上だけ見てればよかったんですけど、下も見なくちゃいけないので。自分のことだけじゃなくて、チームのことも考えられるようになりました。
ーー今のチームの雰囲気はいかがですか
本当はもっと前からミーティングをして、チーム力を高めたかったと４年生は思っていると思うんです。今年は昨日やっと全体ミーティングができた感じですね。ようやく「インカレに向けて頑張るぞ！」ってなりました。ギリギリですね。（笑）間に合ってよかったです。
ーー何澤選手の強みは何でしょう
さっきも言ったように、強い緊張があっても、力に変えることができることです。
ーー確かに、緊張を力に変えることができるのは大きな強みですね
はい！それが強みです。
ーーインカレまでに更に強化したいところはありますか
あともうちょっと、真っ直ぐな泳ぎに近づけられるかなと。まだバランスが悪いので、もう少しバランスを整えて、より疲れない泳ぎを目指したいです。そしてレースに挑みたいなと思います。
ーーインカレでのライバル校はどちらでしょう
女子は総合優勝を目指しているので、神奈川大学との争いになると思っています。自分の種目に出る、神奈川大学の選手に負けたくないですね。
ーー最後にインカレに向けての目標と意気込みをお願いします
女子総合優勝をすることと、私が貢献することです。私は２バタ（200mバタフライ）と４コメ（400m個人メドレー）に出るんですけど、どっちも６番エントリーなんです。だから、決勝に進出することは余裕ではないと思っています。とりあえず、予選からベストを目指すような勢いで、決勝に進出したいです。決勝では表彰台を目指して頑張りたいと思います。
◆何澤由衣（かざわ・ゆい）
学部・学科・学年／国際観光学部・国際観光学科・２年
出身校／京都外大西高校
身長／161㌢
生年月日／H14・３・17
血液型／O型
リラックスする方法／深呼吸をする
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインでの取材を基に作成しています。
10月５日 インカレ直前特集③〜永島遥選手〜
10月６日 インカレ直前特集④〜宝田康平選手〜
第97回日本学生選手権水泳競技大会
開催日時 10月７日(木)〜10月10日(日)
場所 東京辰巳国際水泳場
※本大会は無観客試合となっています。全競技、日本水泳連盟のYouTubeにて配信されるので、是非ご覧下さい。
TEXT＝浅野琴美
