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2015.05.10
ボクシング

[ボクシング]重量級の強さ光る!リーグ制覇の第一歩

第68回関東大学ボクシングリーグ戦

5月9日(土)後楽園ホール

東洋大5対4拓大


【WF】⚪︎福井(判定)野田●

【F】    ●馬場(判定)笹川⚪︎

【B1】●中村(判定)竹嶋⚪︎

【B2】●鵜沢(判定)茂木⚪︎

【L1】●齋藤(判定)藤田⚪︎

【L2】⚪︎秋山(判定)加藤●

【LW】⚪︎高橋(TKO)中村●

【W】  ⚪︎金城(TKO)榎本●

【M】  ⚪︎高江洲(判定)高沢●


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喜びをチームと分かち合う秋山


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金城は格の違いをみせつけた


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高江洲の拳で勝負を決めた


 初戦の相手は昨年3位とひとつ上の順位をいく拓大。試合は波乱を極めた。まずライトフライ級の福井(営1・駿台学園)が勝ち星をあげるも、フライ級から4連続で敗戦を喫する。後がない中、ライト級・秋山(営3・淀川工科)が判定勝ちし、最後は最上級生たちが意地をみせ5対4で辛勝した。


 福井の華々しいデビュー戦から一転、まさかの4連敗と崖淵に立たされる。重圧のかかる中、登場した秋山は冷静だった。懐に向かってくる相手に対し、リーチの長さを生かして顔面に有効打を決める。終始安定した試合運びで、一縷(いちる)の望みをつないだ。試合終了後、達成感からかガッツポーズを見せ喜びの表情を浮かべた。

  流れがこちらに傾いた時、最強伝説が幕を開ける。前の番で快勝した高橋主将(ラ4・南京都)はエースの肩を強く叩いた。勝利への想いを引き継ぎ、ウェルター級・金城(営4・那覇)は戦いに臨む。開始早々、左のストレートを顔面に打ち込み、中央にいた相手をロープまで吹っ飛ばすという驚異の力で会場を沸かした。これを契機にリンクの隅に追いつめると、パンチの連打を浴びせる。独壇場と化した試合は一瞬にして片付き、1ラウンド2分33秒でTKO勝ちを収めた。4月に国際大会で世界を経験しさらにグレードアップした金城が、今年もチームの中核として活躍していくことはまず間違いない。

 金城の圧勝により、4対4で迎えた最終ミドル級は盛り上がりも最高潮に達した。「絶対勝って男にならないといけない」と闘志を燃やし、高江洲(営4・沖縄尚学)はリンクに上がった。序盤、緊張からかボディを中心に攻撃を受ける。とうとう2ラウンドではカウントをとられ、劣勢となってしまう。だが、部員たちは諦めていない。応援の声はさらに大きくなる。瞼(まぶた)が切れ流血する場面も見られたが、声援を力に変えパンチの応酬を制した。

  初陣を勝利で飾り、「東洋!東洋!」とチームの興奮は冷めることなく、しばらくの間東洋大のコールを響かせた。


  オリンピック金メダリストで東洋大OBの村田選手(帝拳ボクシングジム)は「試合は流れで変わるし、相手も負けたくない気持ちがある。5対4とギリギリであったが、これがリーグ戦のおもしろいところ」と勝つことの難しさを語る。しかし「みんな優勝するつもりでやっている。気合が違う」と金城が副将としてみるチームは、全員が本気だ。これからますます厳しい戦いが待っている。選手それぞれの強い気持ちが優勝への道を切り開いていく。


■コメント

・三浦監督

初戦ということもあり選手自身が緊張からか固かった。練習ではもっといいボクシングができていたのに試合でそれを出せないというのが軽量級で特に続いてしまった。なんとか勝ててよかったが、内容はいまいちだった。まだまだ。(特によかった選手は)秋山ですね。体を柔らかく使って守りと攻撃を冷静に組み立てられたので一番よかった。(齋藤は判定前に手応えがありそうだったが)負けはしたが日本代表相手に僅差の負けで、内容も五分五分だった。(齋藤)奨司、秋山、金城はいいボクシングをしていた。それと後から考えれば福井がスタートで勝ってくれてもったようなもの。二人目からごっそり4連敗しているので大きかった。(高橋)拓磨はもっとできるので、今日の試合ではまだ実力の半分くらいしか出せていない。金城は良かった。ただ、もう日本代表の選手であり、緊張でできないようなレベルの選手ではない。やってもらわなければ困る。今日は無難にいいパンチをまとめてくれた。(次回は)東農大だが強豪大学なので選手起用もいろいろ駆使しながら、接戦をなんとか勝ち抜いて団体の勝利につなげていきたい。

 

・福井(営1・駿台学園)

初のリーグ戦で団体戦。自分一人1年生で一番最初だったので、失敗できないというプレッシャーはあった。自分がここで勝って流れを作ろうと思った。自分の出来は30点。もっと自由にできると思ったが、緊張が影響した。だが、先輩方や仲間の応援で緊張は途中で和らいだ。距離感が途中でわかって合わせられたのはよかったが、回数が少なくなってしまった。勝ったという手応えはあった。次ももしトップバッターだったら勝ちます。勝って流れを作ります。

 

・秋山(営3・淀川工科)

3ラウンド目足が動かなかった。負けられない場面ということは考えないようにした。リラックスして臨めた。(先輩方は)強かった。頼れる先輩だなと。(同期は)試合は負けたけど気持ちでは勝っていた。それが力になった。自分は1、2ラウンドはまぁまぁ。3ラウンド目がやはり課題。次は3ラウンドフルでとって勝つ。

 

・金城(営4・那覇)

あまりよくなかった。一発目当たったのはよかったけどちょっと力んでしまったので、もっと冷静にきれいにできたと思う。(相手が)当たって吹っ飛んだのでいけると思って、(パンチを)決めにいってしまった。3ラウンドやるつもりできちんと臨みたい。(試合は)いつもどの相手でも体とスタミナに自信があるので、ボディから攻めて泥試合に持っていく。(注意したことは)力まないようにすること。(調整は)やることは全部やった。(チームは)最後、勝敗が並んだところで持ってこれたところがよかった。逆にどっちが勝ったか分からない試合で、負けたのはまだ足りないものがあったからだと思う。(応援の激しさについて)今回優勝をできる可能性があるので、やっぱりみんな優勝するつもりでやっている。気合が違う。(次戦に向けて)次はもっと楽に取れるとことって、勝ちたい。

 

・高江洲(営4・沖縄尚学)

めっちゃうれしい。1対4になった時に4対4までいって自分に回ってくるのが分かっていた。ここで絶対勝って男にならないといけないと思っていた。ちょっと緊張はしたが、目の前の相手のことだけ考えていた。好スタートが切れた。5対4で勝ったことも勢いがついたので次も全力で勝ちに行きたい。

 

・村田(帝拳ボクシングジム)

7対2か8対1で勝つと言われていた試合が流れで変わるし、相手も負けたくない気持ちがあった5対4とかなりギリギリの試合だったけど、これがリーグ戦の面白いところ。これで5対4で勝ったのはすごく大きい。勝ちと負けは全然違う。特に東洋は1戦目に弱く、いつも負けていたが今回は勝ったので良かったと思う。(高橋選手に声をかけていましたが)拓磨は考えすぎでいるから、本来の自分のボクシングをして当てていけば相手は倒れるからと。最後どうでもいいから倒せと言ったら倒してくれた。そういうのを持っている子だし言わなくてもわかっていると思うから拓磨が良ければチームも大丈夫だと思う。(優勝は)十分あると思う。その一方で4位もあり得る。それくらい拮抗している。そこで自信をもってみんなが頑張ってくれるかどうか。(後輩たちに一言)ストレートパンチをしっかり練習しないといけない。ストレートをしっかり当てている方が競っている試合で勝っていたからそこを意識して欲しい。そしたらもっと楽に勝てる。


TEXT=山下華歩 PHOTO=野原成華、千野翔汰郎、玉置彩華