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第94回関東学生陸上競技対校選手権大会
兼第28回ユニバーシアード競技大会(2015/光州)代表選手選考競技会
5月15日(金)日産スタジアム
▼2日目
男子100m 準決勝
2組
1着 桐生 10"37 ※決勝進出
男子100m 決勝
DNS 桐生
男子400m 準決勝
2組
2着 ウォルシュ 46"22 ※決勝進出
男子400m 決勝
3位 ウォルシュ 46"62
男子1500m 決勝
6位 服部弾 3'47"70
7位 掘 3'47"77
男子3000m障害
1組
8着 成瀬 9'13"19
10着 横山 9'19"77
2組
5着 渡邊一 9'06"78 ※決勝進出
男子4×100mリレー 決勝
DNF 東洋大(小笹幸―小林―北村―与那原)
男子走幅跳 決勝
21位 小川 7m28
女子1500m 決勝
10位 山田 4'27"31
女子1万m 決勝
5位 佐藤早 34'17"11
14位 川瀬 36'05"00
23位 二瓶 36'53"81
※速報掲示板に誤りがありました。大変申し訳ございません。
関カレ2日目では男子400mのウォルシュ(ラ1・東野)が3位表彰台の他、長距離部門と女子長距離部門から3人の入賞者を出した。一方で、4×100mリレー(以下、4継)ではバトンをつなぎ切ることができず失格に終わった。
目標通り表彰台に上り笑顔を見せたウォルシュ(右)
昨日の400m予選を難なく突破し準決勝に進んだウォルシュ。準決勝では余裕を持ってゴールしたにもかかわらず、自己ベスト更新と非常にいい走りで決勝進出を決めた。迎えた決勝では前半は積極的なレースをするものの、「決勝は疲れが出てしまった」と後半は動きが鈍くなり3着でゴール。自身でも満足のいく結果ではないが、初出場で表彰台に上るというスーパールーキーぶりを発揮した。明日には4×400mリレーも控え、その走りでチームをけん引してくれるはずだ。
多くの人々が注目した桐生(法2・洛南)は、準決勝で足に違和感を覚え、大事をとって決勝の欠場を決めた。今後には日本選手権や世界選手権など以前から目標としてきた大会が控え、ここで無理をするわけにはいかない。桐生自身も苦渋の決断であった。そして桐生を欠いての4×100mリレーは、4走を桐生の代わりに与那原(法2・那覇西)が務め決勝に挑んだ。しかし、2走の小林(済4・保善)が残り10mの地点で肉離れのような感覚に襲われ、3走にバトンがつながらなかった。優勝を目標に臨んだ決勝であっただけに選手たちは悔し涙を流した。
関カレ前半の山場であった4継でこのような結果となり落ち込む選手たちであるが、明日以降には上位を狙える種目が多く残っている。梶原監督が「プラスアルファの力が出せるように頑張りたい」と話すように、悔しい思いをした選手たちの分も種目の残っている選手たちでチームの力をカバーしていきたいところだ。
スプリント勝負となり力をふりしぼる堀(右端)と服部弾
予選を勝ち抜いた服部弾(済3・豊川)と堀(済2・大牟田)のニ名が1500m決勝に挑んだ。レースは、スタートから二人の留学生選手が飛び出し、3位集団で日本人トップ争いが行われる展開に。服部弾が集団を引っ張り、堀もその後ろにぴたりと付いた。1位、2位との差はみるみる開くも、3位集団もハイペースで周回を重ねていく。最後の1周に差しかかったところでも依然集団の形は崩れなかったが、「ラスト200mでは勝てないからここで出た」と服部弾が意を決したスパート。それでも誰一人としてこぼれることはなく、最後の直線では激しいスプリント勝負により横一線でのゴールとなった。結果は3位から8位が全て47秒台に入る混戦の中、服部弾が6位、堀が7位と何とかダブル入賞を果たした。故障を乗り越え初の大舞台に立った堀は「とてもいい経験になった」と語ると同時に「日本選手権では前にいた選手に借りを返せるように」と雪辱を誓った。
また3000m障害では渡邊一(ラ4・九州学院)が巧みなレース運びで最後は余力を残したまま危なげなく決勝へ駒を進めた。渡邊一は昨年の全日本インカレで3位に入っている実力者であり、明日の決勝では初の表彰台に挑む。
佐藤早は初挑戦の1万mで経験の5位となった
女子長距離部門唯一のフルエントリーとなった1万mには、エースの佐藤早(食3・常盤木学園)らに入賞の期待がかかった。早い段階で佐藤早を含む10名で第1集団が形成され、そこから少しずつ人数が絞られていく中、佐藤早はしっかりと先頭集団に付いた。しかし、「そこを我慢できれば優勝争いに加われていた」と監督が反省点に挙げたように、6000mを過ぎた辺りで集団から離れ、単独走となってしまう。1万m初出場ということで、レース経験の少なさも影響した。表彰台を狙っていたため悔しい5位となったが、「駅伝で結果を残すためには今日負けた選手たちに勝つことが必要になる」と、すでに次に向けて闘志を燃やしている。また、最後の関カレとなった二瓶(生4・喜多方)と川瀬(生4・白鵬女子)は、思うような練習ができておらず万全の状態ではない中でも、最後まであきらめない走りを貫いた。結果にはつながらなくとも、最上級生のこうした姿はチームの発奮材料となるに違いない。
1500m決勝に臨んだルーキーの山田(食1・豊川)は、前半は落ち着いて入り、第2集団を引っ張る形でラスト1周からスパートをかける。最後こそうまく上がり切らず入賞とはならなかったが、今回は故障からの復帰戦。今後さらに仕上がった走りを見せてくれるはずだ。
3日目は、表彰台独占を掲げる競歩部門が満を持して登場。服部勇(済4・仙台育英)や尾上(工4・長崎北陽台)ら入賞経験のある選手の活躍にも注目だ。また、4×400mリレーはまずは順当に予選通過を狙っていく。各部門の活躍で、チームに流れを引き寄せたいところだ。
■コメント
・酒井監督
1500mで二人で確実に点数を取らなければいけなかったが、守りに入るのではなく攻めることを狙いと考えていた。留学生に果敢に付いていこうと思ったが、速かった。そこに迷いが出て中途半端になってしまった。逆に引いていれば最後の勝負に備えられたと思うが、最初に出ている分結果として引っ張ってる形になったかなと。47秒台での敗戦で悔しさも残るが入賞で最低限のことはできたと思う。(後半戦に向けて)短距離が良くない流れなので、競歩で断ち切って他種目でも点数を取っていきたい。まずは決勝に残ることが大前提で、インカレ3位入賞者なので決勝では優勝、表彰台を狙っていきたい。
・梶原監督
(桐生選手の欠場について)準決勝で足にけいれんが起きそうな感じがあり、無理をせずゴールした。診てもらったところしこりのようなものが感じ取れるということがあった。しかし、本人は100mと4継を走りたいという気持ちがあったので、ウォーミングアップをして判断をしようと、ぎりぎりまで様子を見た。この先を棒に振るわけにはいかないので、本人も欠場が決まって泣いていたが苦渋の決断をした。(4継は)桐生が走れないということで、与那原を入れた。与那原は昨年予選だけ走って決勝外されたという悔しい思いを持っているし、状態も良かったので起用した。昨日は3走の北村が早く出すぎてしまって一瞬止まったような状態があった中で39秒台が出ていたので、北村がしっかり出れてバトンが流れてくれれば、桐生なしのメンバーで予選の記録を上回ることができるだろうということで、それを目標として臨んだ。ウォームアップの段階で小林は足の痛みを感じていたが、これくらいならいけるだろうと本人は思っていたし、走らなければという気持ちもあったと思う。いい走りをしたが、あと10mのところで肉離れのような感じがあって、そのままフェードアウトしてしまうような形になってしまった。元々ちょっとした故障があったが、固いトラックで負担も大きいし、全力で走る場面ではごまかし切れなかったのかなと思う。(明日以降に向けて)確かに悔しいし、残念だが、そういうことも時にはある。これでへこたれていてはチームの力を疑われるので、ここは他の人間が頑張って、その分をカバーするぞという気持ちにみんながなってくれていると思う。プラスアルファの力が出せるように頑張りたい。
・永井監督
山田はなんとか入賞を目標にしていたが、そのために前半抑えていくレースをしたくなかったので、流れの中でどれだけ我慢できるかということだった。故障のため練習が思うようにできていなかったので、本人としては悔しいと思う。入賞ということにはならなかったが、予選より決勝でタイムを上げられたことを評価したい。佐藤早は一番我慢しなければならない6000~7000mで離れてしまったので、そこを我慢できれば優勝争いに加われていたと思う。もっと1万mの走り方を経験させながら、駅伝に対応できればと思っている。4年生については練習はそれほどできていなかったが、最後の関カレということで、最後まであきらめずに走ってくれた。これがチームとしての駅伝につながっていってくれるのではないかと思う。(残りの種目に向けて)内田については去年入賞しているので、今年も入賞してほしい。平山はまだ体調が上がり切っていないが、出るからには今日の4年生のように最後まであきらめないレースをしてチームにも平山にもきっかけをつくるようなレースをしてほしい。
・佐藤早(食3・常盤木学園)
表彰台を狙っていた。トラックでの1万mは初めてだったので、思っていたより難しくてイメージしていた走りとは違うものになってしまった。(具体的には)ペースが速かったり風もあったところ。駅伝で結果を残すためには今日負けた選手たちに勝つことが必要になるので頑張りたい。一年で一番大事なのは駅伝なので、今まで思うような結果を残せていなかった分、また先輩たちと走るのも最後なので恩返しする思いで結果を出していきたい。
・服部弾(済3・豊川)
留学生選手が1周56秒より遅かったら付いていこうと考えていて、1周目は少し遅れたくらいで付いていけて、でも徐々に離され2周目には64秒かかってしまい、ここが自分の弱さだと思った。もっと上手なレース展開を組み立てられるようにしたい。(ラスト1周に入ったときの気持ちは)ラスト200mでは勝てないからここで出た。ラスト200mでも仕掛けたが最後の100mはもう動かなかった。(今後は)今回得たものはかなりあるので、日本選手権に向けてしっかり練習を積んでいきたい。(残っている選手に向けて)長距離は5000m、3000m障害決勝、ハーフといろいろあるので短距離が大変な分自分の力を出し切って頑張ってほしいと思う。
・堀(済2・大牟田)
留学生に付いていこうと弾馬さんと話していた。2周目に弾馬さんがいったときに弱気になり、思い切っていけなかったのがラストまで響いてしまった。ラストは内側にいたので思うように外側に出れなかったのが反省点。最低限入賞はできたが日本人トップを目指していたので悔しい気持ちが強い。(初めて鉄紺のユニフォームを着て大会に出た感想は)けがから復帰してやっとこの舞台に戻ってこれた。代表としてチームを背負うレースというのか一番自分を成長させてくれるので、そこで入賞できたのはとてもいい経験になった。(今後に向けて)日本選手権では、今回自分の前にいた選手も出てくると思うのでそこでは借りを返せるように練習を積み、3分45秒切りを目標にレースのつくり方を学んで学生トップや日本人トップを目指したい。また駅伝に向けて距離も伸ばして、最終的には箱根駅伝で活躍できるように頑張りたい。
・ウォルシュ(ラ1・東野)
3位だったので満足はしていないが、自己ベストが出せたのでまずまずだったと思う。(レースを振り返って)高校時は1日3本以上走ることもあったが、大学に入ってからはそのようなことはなかったので、今日2本目の決勝は疲れが出てしまった。準決勝の方が断然動きが良かった。(明日の4×400mリレーの目標は)気持ちを抜かずに挑んで、表彰台に立ちたい。
TEXT=畑中祥江、伊藤空夢、青野佳奈 PHOTO=伊藤空夢、野原成華、畑中祥江