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第68回関東大学ボクシングリーグ戦
5月23日(土)後楽園ホール
東洋大4対5東農大
【WF】○福井(判定)桑原●
【F】●馬場(判定)金澤○
【B1】●西谷(TKO)中野○
【B2】●鵜澤(判定)森坂○
【L1】○秋山(判定)阿部●
【L2】○齋藤(判定)山下●
【LW】●原田(判定)児玉○
【W】●松野(判定)押川○
【M】○金城(判定)酒井●
スーパールーキーと呼ばれるにふさわしい活躍をした福井
ミドル級でも最強・金城は健在だ
2回戦の相手は昨年リーグ2位の東農大だ。一戦目はルーキーのライトフライ級・福井(営1・駿台学園)が制すが、その後3連敗。五戦目ライト級・秋山(営3・淀川工科)、六戦目齋藤(営3・習志野)が2連勝し3対3に持ち返すがその後2連敗し3対5と負けが確定した。最後は金城(営4・那覇)が判定勝ちをするも結果は4対5と僅差での敗北となってしまった。
前回のデビュー戦で華々しいデビューを飾った福井は2回戦でもライトフライ級で出場した。今回の対戦相手は高校1年生の時のインターハイで負けている桑原。「厳しい試合だった」と語る福井だが、試合は終始福井がリードした展開で最後は判定勝ち。福井が高校のリベンジに成功し、開幕から2戦2勝とスーパールーキーの片鱗(へんりん)を見せつけた。
福井が勝ち1対0となった東洋大だがその後3連敗を喫してしまう。1対3で迎えた五戦目は前回の1回戦で流れを変えた秋山だ。前回に続き連敗している中で迎えたがこの試合は好調の秋山が判定勝ちし、またも流れを変える大きな活躍をした。試合後のコメントでは納得のいかない様子だったが、その勝利はチームに勝利への希望をもたらす一勝となった。
秋山の一勝で2対3となった六戦目はフライ級の3年生、齋藤だ。終始攻めの姿勢で試合を有利に進めた齋藤も判定勝ちを納める。六戦目を制し3対3と東農大に追い付いた東洋大であったが反撃もここまで。その後の原田(営1・崇徳)、松野(営2・開新)が2連敗してしまった。
すでに負けが確定した中での登場となったのは金城だ。これまでウェルター級であったが、東農大エースの酒井に勝たなければチームに勝利はないと考えた三浦監督の判断により一階級上のミドル級での挑戦となった。
慣れない場での戦いとなった金城は、前回の試合とは違い苦しい試合展開を繰り広げた。前の試合でTKO勝ちした事もあり、TKOを狙った金城はやや大振りのパンチを多用してしまい結果として空振りが多くなってしまった。それでも粘り強く戦い、結果は判定勝ち。チームのエースが一階級上のミドル級でも意地を見せ次の3回戦につながる大きな一勝を挙げた。
2回戦は4対5と敗北をしてしまった東洋大ではあるが、昨年度の東農大戦では1対8であった事を考えると確実に成長してきていると言えるであろう。
3回戦は前回優勝の日大と厳しい戦いが予想されるが、まだ優勝がなくなったと決まったわけでは無い。三浦監督は「今日負けはしたが流れは悪くない」と語っている。今のチームの勢いならば勝つことも難しいことではない。
■コメント
・三浦監督
サプライズ的なオーダーだとは思うが、うちのエースは金城であり、一階級上げてでも向こうの大将である酒井選手(東農大)に勝たないと団体の勝ちはないと思っていたので、こういうオーダーになった。ものにしないといけないきわどい試合を落としてしまったので、そこは残念。ただ選手は今持っている力を出し切ったと思う。名門の東農大相手にここまでできたので、いい自信にしてほしい。(個々の試合では)みんな良かった。特に福井の活躍は東洋大にとってものすごく力になったし、1年生であそこまでできるのはなかなかいないので、本当にスーパールーキーの名に恥じない活躍をしてくれた。秋山は去年負けている阿部選手(東農大)が相手だったが、今年は自分のボクシングができ始めているし前回もよかったので、そのいい流れで今回リベンジをして素晴らしいボクシングをしてくれた。(原田は)もともとそれほど体重がある方ではないので階級を下げるのは問題なかったが、その分スタミナがなくなってしまったことが負けた要因。次は昨年度チャンピオンの日大さん。今日負けはしたが流れは悪くないと思っているので、この勢いを維持してなんとか勝っていきたい。
・金城(営4・那覇)
相手は強かった。パンチは、ウェルター級では自分の打ったパンチで相手が受けてくれた。今回は相打ちでもいいと思ったが、ミドル級では自分のパンチはきかないなと感じた。高江洲が前の試合で怪我をしたのと、前回の試合があまり良くなかったから、ミドル級に出ることになった。高橋主将も欠場となったので、自分の番に(引き分けで)回ってきたら絶対勝とうと思った。いけると思って打ち合いにいったが、前回TKOで倒してパンチが大振りになってしまった。冷静に勝つボクシングが出来なかった。チームでは、どちらが勝ったかわからない試合があった。だが、そこで勝てないのは気持ちが足りない部分がある。ライトフライ級の福井は頑張ってた。福井は倒すし、勝つからすごい。今年は、秋山と齋藤が抜群にいい。しっかり攻めていて勝つボクシングができている。(敗戦が決まった中での試合は)気持ちは逆に楽になった。集中できた。だが、もし4ー4で回ってきたらもっと攻めていた。(次戦に向けて)5ー4で負けたが、まだ日大も控えている。優勝できないと決まったわけではない。あとは勝って優勝したい。
・秋山(営3・淀川工科)
今日の東農大の相手は去年負けた選手だったので、去年の反省を生かせるように対策をした。具体的には、ストレートが強い選手だったので、サイドを取るような練習をしていた。しかし、実際の試合では、気合が入って空回りしてしまい、練習を生かした動きは全然できなかったので(試合には勝ったが)試合内容としては全然納得はいかないものだった。今季のリーグ戦のコンディションは、今のところ全勝していて上り調子なのでこのまま頑張りたい。次回以降の目標としては、このまま全勝して、階級賞を取ることを目標にしていきたい。そのためにも、リラックスしていつも通りの試合ができるようにしたい。
・齋藤(済3・習志野)
内容が良くても結果がついてこないと意味ないので、今日は結果がついてきて、すごく良かった。(戦い方は)印象が重要なので、最後までしっかりと攻め切って、自分のペースに持っていけるように、自分から先に動く感じで戦った。(敗戦したが)昨年は東農大に8対1で、今年は5対4と接戦で、勝ってもおかしくない試合もあった。チーム的にひとつになっていて良かったと思った。(次戦に向けて)次の日大戦に向けて、しっかりと練習してきたことを出せるようにしていきたい。
・福井(営1・駿台学園)
厳しい試合だったと思う。僕が高校1年生のときのインターハイで負けている選手だったので、なんとかこの舞台でリベンジしたいという気持ちが強かった。今日は勝ち負けもそうだが出し切ることを意識していた。気持ちにも余裕はなかったし集中していた。(2戦2勝しているが)タイプの違う相手にまだ対応し切れないところもあるので、修正していきたい。(全体としては)東洋大が勝ったと思う試合もあったので、全員が力を出し切れたのではないかと思う。(次に向けて)もし出場できれば全日本チャンピオンが相手なので、やるからには勝っていきたい。
TEXT=二又士隆 PHOTO=酒井桃子、山下華歩