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2022.04.23
サッカー

[男子サッカー] アップセットとは呼ばせない!昨季全日本王者を4発粉砕

第96回関東大学サッカーリーグ戦(前期)1部第4節 東洋大VS駒澤大

4月16日 (土)流通経済大学龍ヶ崎フィールド


東洋大4ー0駒澤大



<得点者> 

30分 伊藤恵亮

55分 前田泰良

66分 前田泰良

75分 小野田龍剛


〈出場メンバー〉

▽GK

川上康平(国3=JFAアカデミー)


▽DF

田頭亮太(国3=東福岡)

高橋亮(国4=FC東京U-18)

稲村隼翔(国2=前橋育英)

押久保汐音(国4=新潟U-18)→ 80分 梅澤魁翔(国2=大宮U18)



▽MF

高柳郁弥(国4=大宮Y)→ 86分 本間洋平(国3=札幌U-18) 

井上怜(国4=市立船橋)→ 77分 南雄大(国2=日体大柏)

瀬畠義成(国4=JFAアカデミー)

伊藤恵亮(国4=矢板中央)→72分 小野田龍剛(国3=常葉大橘)




▽FW

前田泰良(国4=鹿島Y)

佐々木銀士(国4=青森山田)→ 55分 室井彗佑(国4=前橋育英)

               2G1Aで試合の主役となった前田泰

                 

果敢に相手と勝負する室井


(写真提供:東洋大学体育会サッカー部)



関東大学サッカーリーグ戦(以下リーグ戦)第1節、3年ぶりに1部の舞台に舞い戻ってきた東洋大。勝って勢いを付けておきたい初戦の相手は駒大だ。試合前の評価としては全日本王者に勝つのは厳しいかと思われたが、始まってみれば4発で危なげなく快勝し、番狂わせとは言わせない実力を1部の強豪に見せつけた。



 序盤は東洋大にとっては初戦であったこと、駒大にとってはここまでの3戦で1分2敗と勝ちがなく慎重になっていたことから、固い試合の入りとなった。最初のチャンスは16分、最終ラインの繋ぎから中盤の伊藤にボールが配給され、伊藤を追い越して上がっていた右サイドに相手守備の間を通す見事なスルーパス。右サイドからゴール前にいた佐々木にグラウンダーのクロスを入れるが、あと一歩でボールに足が届かず。18分にも左サイドで相手選手に体を上手く当ててボールを奪った前田泰が中央にクロスを上げるが味方と合わない。駒大がメインでボールを握る展開になりながらも、中盤での繋ぎのミスを突き、上手くチャンスを作っていく。そんな姿勢が功を奏したのが30分、前田泰がボールをサイドにいた井上に渡し、ボールを受けた井上はサイドをドリブルでえぐりつつグラウンダーのクロス。伊藤が上手く走り込み、左足で合わせ先制する。その後も東洋大はカウンターで幾度もチャンスを作り、ゲームの主導権を握って前半を終了した。




 後半はカウンターが多かった前半とは違い、東洋大もポゼッションで主導権を握る時間帯が増え、ゲームを安定させる。順調にペースをつかみ始めた55分、ロングパスをバイタルエリア付近で受けた前田泰がそのままゴール前まで1人で持ち込み、右足でミドルシュート。「(佐々木)銀士が(相手DFの)ラインを上げてくれたから狙った」と確信をもって放った強烈な一撃はゴール左隅に突き刺さった。その後もまったく攻撃の手を緩めない東洋大は、66分にも左サイドにいた高柳が、味方からのダイレクトボレーのパスを受け冷静にトラップ、右足のアウトサイドでゴール前にいる前田泰に低いクロスを上げ、相手のマークを上手く外した前田泰がフリーで3点目を流し込んだ。対する駒大はインカレ王者としての意地を見せたいところだったが、69分に井上のスルーパスからペナルティエリア付近で、キーパーと一対一になりそうな室井を押し倒し、決定機阻止でレッドカード判定を受けてしまい万事休す。あまり良い場面を見せることのできない後半となった。このゴールラッシュのフィナーレを飾ったのは、逆サイドからのロングパスを受けた前田泰のクロスを、右足ダイレクトボレーで芸術的に叩き込んだ小野田。完璧にミートしたボールは相手GKの反応した手を弾き飛ばした。試合はこのまま4ー0で1失点もすることなく東洋大学の勝利で幕を閉じた。




 世間的に見たら、2部からの昇格チームが前年度の全日本王者かつ1部で毎年上位に入るチームに勝利する。こういう場面はよくあるアップセット(番狂わせ)だ、と思われるかもしれない。しかし、この試合で東洋大イレブンが見せてくれたのは、強豪相手にも十分通用する心技体の伴ったサッカー。昇格初年度でのインカレ出場権も夢ではないだろう。これからも熱い試合を繰り広げるサッカー部を追っていきたい。



※感染症拡大予防のため、現地での取材は行わず映像をもとに作成しています。






■コメント

・井上監督

今節は東洋大学としては関東大学リーグの開幕戦となった試合でした。部内にコロナの感染者が出たことで活動停止があり、開幕戦から3節までを延期している状況でようやく1試合目を迎えたので、このような状況での開幕ができることへの感謝とプレーできる喜びを躍動感あるプレーで示そうという話を選手にした。そしてその部分に関しては非常に躍動感のあるゲームをやってくれたが、出足のところで固さが見られた。しかし、前半での相手の攻撃を受ける時間帯にしっかりと崩れずに無失点で、カウンターから得点出来てゲームが落ち着いたと思う。後半は相手が前に出てくる中でしっかりと自分たちがボールを握る場面と、攻撃でフィニッシュまで行くという形が機能して、追加点を重ねて勝利を挙げられたことには満足している。(前年度のインカレ王者の駒大を4ー0という大差で下すことができた要因は)駒大はこれまでの3試合を消化してゲーム感は我々よりもあったが、その3試合を1分2敗と勝ちきれないで終えたということで非常に勝ちが欲しい状況の中で駒大らしい攻撃を仕掛けてきたが、それに飲まれることなく耐えて得点出来たところに勝因があると思う。得点後は相手が勝利を欲していることもあって少し焦りが見えたとも思うし、そこを上手く突けた。(次の試合に向けて)延期になっていた試合は法大と(※法大戦はインタビュー後再延期)早稲田大と連戦になるのでコンディションを整えながら、またはコンディションの良い選手を使って、しっかりと勝ち点を積み上げて最初の3戦で良いリーグのスタートにしたいと思う。


・前田泰選手(国4=鹿島Y)

東洋の開幕戦が少し遅れてしまったが今節から開幕と言うことで全員が強い気持ちで試合に臨めたのが一つと、良い形で先制出来て立ち上がりこそ固かったものの徐々にみんなが自分たちのペースでボールを動かせて4得点できたことは次につながったと思う。

(2点目のシーンでは相手のマークが甘くなった際すぐにミドルと言う選択肢は頭に浮かんでいたか)バイタルエリアでボールを持った時に相手が下がるというのはスカウティングでもあったので、FWの(佐々木)銀士が相手のラインを引っ張ってくれてた分自分のところにスペースがあったので迷いなく振り抜けた。(次の試合に向けて)連戦にはなるのですが、遅れた分の勝ち点を積み重ねられるように1試合1試合チームでいい準備をして次も勝利して今後に繋げていきたい。


・小野田選手(国3=常葉大橘)

一部初試合と言うことで東洋みんなA・Bチーム関係なく戦い、いい形で終われたので良かった。(前田泰良選手からのサイドチェンジが来た際、ダイレクトでのシュート以外の選択肢はあったか)ずっとゴールを狙っていて常にボールを意識しながらプレーしたのでシュート以外の選択肢は無かった。(次の試合に向けて)次節でも東洋らしく全員守備、全員攻撃で格上相手に挑むチャレンジャー精神で戦っていきたい。



[次節試合予定]

第96回関東大学サッカーリーグ(前期)1部第2節

4月24日(日)vs早稲田大  13:00 キックオフ

※無観客試合となります。



TEXT=髙橋生沙矢