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2022.07.11
硬式野球

[硬式野球] まさかの2部残留 残酷だった戦国東都

昨春2部に降格し、1年で1部復帰を目指したものの、再びどん底に叩きつけられてしまった。東洋大ナインの苦しい1年を振り返る。


1部復帰の夢が消え去り、呆然とする選手たち


 昨春、1部優勝に向けて弾みをつけたい国学大戦で大惨敗。これが悪夢の始まりだった。「優勝がなくなったら入替戦」との通り、後ろを振り向けばすぐそこは入替戦回避争いだった。1試合の結果が順位を左右する戦国東都。失策が増える中、あと一勝がつかめず、屈辱の6連敗。失策数(入替戦含)は17、四死球数は1試合平均5.75を数え、投打共に崩壊を起こし、入替戦へ。勢いを失ったチームは再起不能で、呆気なく2部に転げ落ちた。


昨春、入替戦行きが決定した直後の松澤(左)と細野


 屈辱を味わった彼らにさらに試練が襲いかかる。入替戦中止の発表だった。この知らせに衝撃が走り、選手たちは腰が重いまま、2部の球場に足を踏み入れることに。「全勝」を目標に掲げたものの3位に終わり、チームは最後まで昨年スローガンの「一心」となることはなかった。

 

 最後の神宮での戦いで、「必ずここに戻る」と約束した選手たち。冬の練習を必死に耐え、2月下旬から始まった春季オープン戦。小口(法4=智弁学園)主将が中心の新チームは見違えるほどに生まれ変わっていた。選手の目には光が宿り、野球を楽しむ喜びが溢れ出ていた。「負けても引きずらない」ことを常に意識し、高みを目指してきた。投打がかみ合い、一体感が生まれた彼らのオープン戦の結果は17勝4敗と絶好調。「早くリーグ戦が始まってほしい」と希望に満ち溢れていた。


今季は情報を交わし合う様子がオープン戦から見られた


 そのまま春を走り切り、第一関門である2部優勝を突破。1部に戻るため、再びスタートを切った。しかしオープン戦では、上武大と九共大に今季初の完封負け。打線はつながらず、投手陣は崩壊を起こし始め、開幕前の雰囲気と比べて勢いを失っていた。「チームの雰囲気が昨年と似てきている」と細野(総3=東亜学園)はこの状況に不安をポツリ。リーグ戦で疲れ切ったチームは葛藤を抱えていたが、「絶対勝つ」と憧れの舞台で戦えることを楽しみにその日を待った。


 久しぶりに神宮球場に現れた彼らの目は光り輝いていた。神宮独特の雰囲気に喜びを隠せない。入替戦初戦に勝利し念願の1部に王手をかけるも、2戦目で投手陣が総崩れ。安定感抜群だったリーグ戦の頃の面影はなくなっていた。運命の3戦目では、最後に戦国東都のプレッシャーが彼らに重くのしかかった。得点は初回の1点のみ。さらなる援護はなく、不安を抱えたまま最終回へ。2四球に失策が重なり同点とされると、もうこの苦境から抜け出すことはできなかった。最後は悲惨にも相手の打球が内野をくぐり抜け、逆転負け。1部から跳ね返されたこの残酷な現実に誰も目を背けることはできない。主将の小口はグラウンド上にうずくまり、涙を流し続けた。他のメンバーも杉本監督を前に俯き、顔を上げることはなかった。


入替戦3戦目、敗戦直後の内野手陣


 振り返れば昨春の入替戦も初回の1点の後、失策からの本塁打が決勝点となり、神宮を去ることとなった。今回も失策絡みの逆転負け。今季の失策数は4と、守備の立て直しを図った冬の練習の成果が現れたものの、大一番でのたった一つのミスに泣かされることとなった。


 神宮に憧れを抱き、東洋大の門を叩いた。この1年暗闇から抜け出すため、走り続けてきたが、憧れの舞台を目の前に扉を閉ざされてしまった。秋も様々な球場を巡りながら、再び1部を目指すことになる。2部優勝はいばらの道だ。しかしそれ以上に、1部と2部の壁は厚い。この壁を突破するには、最後まで勝ち続けるしかないのだ。数多の逆境を乗り越えた先に、栄光があると信じて。立ち上がれ、東洋大の戦士たち。


ここからまたスタートだ



TEXT=宮谷美涼 PHOTO=青木智哉・宮谷美涼