Article

記事


2022.12.30
陸上競技

[陸上競技] 全日本大学駅伝8位 序盤まさかの失速もしっかり持ち直しシード権獲得

秩父宮賜杯第54回全日本大学駅伝対校選手権大会

11月6日(日)熱田神宮西門前~伊勢神宮内宮宇治橋前



総合8位 東洋大 (106.8km) 5:13’10


1区(9.5km)  奥山輝 27’33(14位通過・区間15位)

2区(11.1km) 石田洸介  32’21 (9位通過・区間9位)

3区(11.9km) 児玉悠輔  34’33 (9位通過・区間10位)

4区(11.8km) 前田義弘  34’07 (8位通過・区間6位)

5区(12.4km) 九嶋恵舜 37’28 (7位通過・区間5位)

6区(12.8km) 村上太一 38’35 (7位通過・区間5位)

7区(17.6km) 梅崎蓮 52'24 (8位通過・区間7位)

8区(19.7km) 柏優吾 59’48 (8位・区間7位)

スタート前アップをする奥山

スタートを切る奥山

2区で5人抜きの快走を見せた石田

第4中継所 4区・前田(左)→5区・九嶋


7区で早大と激闘を見せた梅崎


8位でゴールテープを切った柏


三大駅伝の2戦目で箱根駅伝の前哨戦ともいえる第54回全日本大学駅伝対校選手権大会(以下、全日本)が開催され、東洋大は8位でシード権を獲得。昨年と同じ轍(てつ)は踏まなかった。このレースでは、出雲駅伝(以下、出雲)でオーダーから外れていた九嶋(済3=小林)や柏(済4=豊川)の姿もあり、目標の3位以内とはいかなかったものの、及第点のレースとなった。


 全日本の舞台で走ることを目標に、全国から集まってきた学生ランナーたちを伊勢の神様が祝福するような快晴の下、1区がスタート。出雲では中大がロケットスタートの勢いのまま集団から抜け出したが、今回は青学大がその作戦を実行し、1区独走を狙う。そんな中、第1走の奥山(総3=浦和実業)は焦らずに集団を並走し、自分のペースに合わせた順調な走りを見せたかに思われたが、アップダウンのコースで足を使ってしまい、ラストスパートで力を出せない。14位という結果に「良い流れを作れず反省している」と猛省しており、箱根路での逆襲に期待だ。駒大はスーパールーキー佐藤圭汰、順大は東京五輪日本代表・三浦龍司など、今年も豪華な顔ぶれとなった花の2区には、石田(総2=東農大二)が出雲に続いて登場。14位から5人をごぼう抜きし、シード権一歩手前の9位まで上げて3区へタスキをつないだ。好走には見えたが、石田自身は満足しておらず、「攻める走りが出来なかった」と悔しさを吐露する。3区を任されたのは、出雲で1区を任されたものの、失速してしまい悔しい思いをした児玉(済4=東北)。自身初となる1区以外での出走となり、慣れない区間での走りに苦戦したものの、順位を落とすことなく4区へつなぐことに成功する。課題として後半の粘りやペースアップを挙げ、最後の箱根に向けて気合を入れた。中間地点の4区を走るのは、頼れる主将、前田(済4=東洋大牛久)。目標に「3位以内、優勝」を掲げて臨んだ担当区間では、ここまで入ることが出来なかったシード権内の8位に順位を上げ、逆転優勝への希望を乗せて、5区へ。「早い入りはできたが、押していくことが出来なかった」と課題を口にした前田は箱根へ「最高の仲間、スタッフと笑って終わりたい」と意気込む。後半戦の最初の区間を任された九嶋も、良い流れを引き継いでいく。前を走っていた中学大を追い抜いて、及第点の走りに。大会1カ月前の復帰で、練習を満足に行うことが出来なかったという九嶋は「最低限の走りしかできなかった」と自分の走りを振り返ったが、箱根に向けては「上級生としてしっかり結果を出したい」と意気込んだ。その九嶋が最も印象に残った走り、と讃(たた)えたのが、第6走者・村上(理3=北見緑陵)だ。前を走っていた早大をしっかりオーバーテイク。更に後続の大学を突き放す走りを見せたことで、東洋大のシード権獲得を大きく引き寄せる結果に。「チームを背負って走る責任感を感じた」と語る仕事人は、上級生ゆえに感じる重圧に打ち勝つ。7区からは、これまで10㌔前半台だった走行距離が一気に伸び、17.6㌔に。この区間も2区と並び各校エースをそろえてきており、駒大は言わずと知れた田澤廉、国学大の平林清澄など強大なライバルたちが登場。そんな中、東洋大の走者を務める梅崎(総2=宇和島東)は、早大とのデッドヒートを展開する。7区までの勢いを守り、アンカーの柏にタスキリレーをしたい東洋大と名門復活をかけて一つでも順位を上げたい早大、熱い思いのぶつかり合いを制したのは早大だった。タイムの差を見ても1秒差とまさに紙一重といえる激戦。「突っ込む力」を身につけることを誓い、梅崎は自身2回目の箱根へ。アンカーの柏は、7位の中大の選手より10秒速いタイムでフィニッシュするなど、かなり追い込んだ走りを見せたが、順位を上げることはかなわず。シード権は獲得したものの、悔しい8位でのゴールとなった。「私が弱い」と自分を一喝した柏。不完全燃焼では終われない男は、自身最後の箱根に全総力を集中させる。


 「悔やんでも悔やみきれない、大学入学以来1番悔いが残るレース」。これは、柏がインタビューで語った言葉だ。今回の大会終了後には、すべての選手が激しい悔しさをあらわにしている。出雲、全日本と悔しい思いをする時間はもう終わった。逆襲を誓う男たちは、芦ノ湖と大手町で鉄紺の証明を体現するときを想って、自らを追い込み鍛錬を続ける。


・酒井監督

(今大会の位置づけ)昨年シード権を落としているので、最低でもシード権確保と箱根駅伝に向けた前哨戦。(レース全体を振り返って)全日本大学駅伝ではエース格、松山抜きの苦しいオーダー編成でしたが2年ぶりのシード権獲得となり、箱根駅伝につながる内容となりました。しかし課題も浮き彫りとなり真摯(しんし)に受け止めていきます。(区間オーダーの意図は)マラソン経験者を含めて調子を見極めて配置しました。(箱根駅伝に向けて)箱根駅伝では更にチーム力は上がるものと学生を信じて取り組んでまいります。

・1区 奥山輝(総3=浦和実業)

(今回のレースを振り返って)自分が走っていた集団はゆっくりなペースで入っていきました。最初から速いペースで行く選手もいましたが、落ち着いて行く事が出来ました。最後にスパートをかけて前でタスキを渡そうと思っていましたが、アップダウンのコースで足を使ってしまい、得意なラストスパートを出す事が出来ませんでした。1区で良い流れを作れなかった事を反省しています。(レースの中で印象に残ったのは)沿道からの応援が印象的でした。今回は人が多く、応援が響きました。大学名や名前を呼んで頂き、たくさんの人に期待されている事を実感しました。(見えた課題は)登り、下りのアップダウンの対応が出来ていないという課題が見えました。今回のレースでは足ばかりを使ってしまい、最後力が残っていませんでした。足だけではなく、上半身も使った走りをしていかなければならないと感じました。(箱根駅伝に向けて)箱根駅伝は20km以上の距離になってきます。今のスタミナと走り方では対応出来ません。ジョグの量とペースを上げて、全身で走るフォームを作っていかなければならないと思っています。そして、チーム全員で同じ目標を目指し、その1秒を削りだす、攻めの走りを体現できるように意識を高くしていきたいと思っています。

・2区 石田洸介(総2=東農大二)
(今回のレースを振り返って)攻める走りができなかった。(レースの中で印象に残ったのは)中盤から後半区間の粘り(見えた課題は)競り勝つ力。(箱根駅伝に向けて)チームとして出雲駅伝、全日本大学駅伝の悔しさを晴らしたい。

・3区 児玉悠輔(済4=東北)
(今回のレースを振り返って)初めて1区以外の区間を走りチームに貢献したがったが、後半粘れず繋ぐだけの走りとなってしまった。(レースの中で印象に残ったのは)タスキを受け取る際しっかり受け取れなかったこと。(見えた課題は)余裕を持った走り、後半の粘り、ペースアップ。(箱根駅伝に向けて)残り少ない期間ですが万全の状態で迎えられるようしっかり準備します。

・4区 前田義弘(済4=東洋大牛久)

(今回のレースを振り返って)3位以内、優勝を掲げていましたが結果は2位と悔しい結果になりました。全体的に攻めの姿勢が足りていなかった事や普段の練習の細かい事や生活から今のレベルの高い駅伝を勝ち抜くためには見直していく必要があると感じています。(レースの中で印象に残ったのは)沿道の方々の応援だったり、家族の応援が走っている時に大きな力になりました。日頃から応援していただいたり、沢山の方々に支えていただいて出来ることへの感謝と結果で返していけるように頑張っていきたいと思いました。(見えた課題は)自分自身としては早い入りはできましたが、そこから押していくことが出来ませんでした。どこかで頭にブレーキをかけていたのかなと感じているので頭の発想を変えていきたいなと思います。技術面に関しても箱根駅伝までに復習と反復をして良いランニングフォームを身につけていきたいです。(箱根駅伝に向けて)自分自身、最後の箱根駅伝となるので悔いの残らないように最高の仲間、スタッフと笑って終わられように一生懸命取り組んでいきたいです。

・5区 九嶋恵舜(済3=小林)
(今回のレースを振り返って)入賞できたのは最低限、良かったです。しかし、上位校と全く勝負できず、悪い流れを変える選手がいないチームの現状は厳しいなと思いました。現状、東洋大は1区から流れを作らなければ、勝負できないというのを実感したレースでした。(レースの中で印象に残ったのは)7区を走った梅崎の走りは印象に残っています。各校のエースが集う中、距離が長く難しいレースだったと思いますが、しっかり勝負できていたので箱根につなげられる走りだと思いました。(見えた課題は)個人の課題としては、急ピッチで全日本に合わせた感じとなったので最低限の走りしかできませんでした。上位校と勝負するには、練習の継続がとても大切だと実感しました。(箱根駅伝に向けて)1年目から走らせていただいている箱根駅伝ですが、過去2回大会ともなかなか、チームの結果に貢献できずにいます。チームの主力として、上級生として箱根ではしっかり結果をだして、チームの目標に貢献したいです。

・6区 村上太一(理3=北見緑陵)
(今回のレースを振り返って)中大に追いつかれ、離されてしまったが、最低限シード権を確保するために、区間5位で早大を抜いて後ろとの差を離し、自分の仕事は出来たと思う。(レースの中で印象に残ったのは)チームを背負って走る責任感を感じた。序盤からの流れが大切なのと、6位まで17秒差だったため、一人一人が数秒を削る走りをしなければならないと感じた。(見えた課題は)序盤のラップタイムが遅かったため、突っ込んで攻めた走りを出来るようにすること。競り合った選手に負けないこと。(箱根駅伝に向けて)東洋大は箱根に強いチームだと思う。出雲、全日本の結果で沈むのではなく、上を目指していきたい。自分自身も更に力をつけ、チームに貢献出来るようにしていきたい。

・7区・梅崎蓮(総2=宇和島東)
(今回のレースを振り返って)課題の残るレースだった。(レースの中で印象に残ったのは)応援が多かった。(見えた課題は)突っ込む力。(箱根駅伝に向けて)自信をつける。

・8区 柏優吾(済4=豊川)
(今回のレースを振り返って)悔やんでも悔やみ切れない大学入学して以来1番悔いが残り、責任を感じるレースとなりました。レースの終盤において皆さまのご期待にお応えする走りができず、申し訳ない気持ちで一杯です。(レースの中で印象に残ったのは)沿道からのご声援で、多くの方々が「東洋頑張れ!」と声をかけてくださり、苦しい中でも私にとって背中を押してくれる大きな力になったことです。(見えた課題は)タイムに捉われず、攻め続ける走りができていない。他校との競り合いやラストの勝負で勝ち切れない弱さ。そもそも私が弱い。(箱根駅伝に向けて)全日本の責任を晴らすにはもう箱根1本しか残されていません。最初で最後の箱根駅伝になりますがこの大会に全てを注いでチーム目標が達成できるように、4年生の意地を走りで体現します。


TEXT=髙橋生沙矢

PHOTO=宮谷美涼、佐々木朋弥

第48回全日本大学駅伝
第48回全日本大学駅伝
第48回全日本大学駅伝
第48回全日本大学駅伝
第48回全日本大学駅伝
第48回全日本大学駅伝
第48回全日本大学駅伝
第28回出雲駅伝
第28回出雲駅伝
第34回杜の都駅伝
第34回杜の都駅伝
第34回杜の都駅伝
第34回杜の都駅伝
第34回杜の都駅伝
第34回杜の都駅伝
第34回杜の都駅伝
第40回全日本競歩能美大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第95回関東学生陸上競技対校選手権大会
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝
第48回男鹿駅伝