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第68回関東大学ボクシングリーグ戦
7月11日(土)後楽園ホール
東洋大8対1法大
【LF】○福井(判定)木村●
【F】 ○馬場(判定)山内●
【B1】●中村(判定)中嶋○
【B2】○星(判定)高山●
【L1】○秋山(判定)山崎●
【L2】○齋藤(TKO)南●
【LW】○原田(判定)大森●
【W】○金城(TKO)小竹●
【M】○高江洲(TKO)石田●
初勝利に喜びをあらわにする星
原田は渾身(こんしん)のストレートをきめた
秋山(右)と金城が階級賞を達成
最終戦の相手に迎えたのは法大。星(済3・黒沢尻工業)と原田(営1・崇徳)が大学初勝利を飾り、勢いは止まることなく8対1で快勝した。
トップバッターは日大戦では惜しくも敗れたライトフライ級・福井(営1・駒台学園)。日大戦での悔しさを晴らすかのように勝利を収め、幸先のいいスタートとなった。次に馬場(文2・王寺工)もボディ連打で圧勝。そんな中、大学初白星を挙げたのがバンダム級の星だ。
チームで全勝しようという目標を掲げていたこともあり、「メンタルが弱いから、全勝という言葉でプレッシャーを感じてしまった」と語った。しかし重圧を感じさせずに1ラウンドから顔面中心に積極的な攻撃を続ける。「対戦相手が決まってから相手の攻撃をイメージした」と明かした通り、接触時に爆発力のある相手だったため上体の動きを生かしてストレートを回避するなど、うまく距離を保つプレーを見せた。後半に体力面で課題を残したが、今後の個人戦に向けては「この初勝利を自信に変えていきたい」と闘志を燃やした。
順調に勝ちを重ね迎えたライト級。今回の試合で全勝と階級賞のかかる秋山(営3・淀川工科)は軽いフットワークを武器に判定勝ち。齋藤(営3・習志野)は余裕の戦いでTKOを決める。次にリングに上がったのはライトウェルター級の原田。3ラウンドとも相手にペースをつかませることなく大学初勝利を挙げる。「4回も出させてもらって、やっとつかめた勝ち、ホッとしたのが大きい」と安堵の表情を見せた。スタミナが3ラウンドまで持つかがポイントだったが「すり足で地面に足をつけてプレーすることを最後まで出来た」とスタミナの持続も満足のいく結果となり、ジュニア4冠の気迫を取り戻す試合となった。
その後の金城(営4・那覇)は相手のふところに潜り込むようなボディへの攻めを見せ2ラウンドでTKO勝ち、高江洲(営4・沖縄尚学)は重いパンチで相手をまったく寄せつけずTKO勝ちを決める。沖縄コンビが最上級生の意地を見せ、8対1という好成績で最終戦を締めくくった。
昨年のリーグ戦4位から順位をひとつ上げ3位という結果で終わった。目標の優勝には届かなかったものの、秋山と金城が階級賞を獲るなど個々の実力は格段にレベルアップした。三浦監督は「選手はいい意味で負けて悔しい面もあり、また一方では頑張ればできるという自信にもつながったと思う。ただ来年もその次の年も目標は優勝なので常にそれはブレないで掲げていきたい」と来季へ意気込んだ。
■コメント
・三浦監督
(星は)学年を重ねていくごとにキャリアがついてきたと思う。(原田について)今年は勉強の年にしようと思っていた。沖島(駒大)は5冠、李(日大)は6冠のタイトルを獲得している相手をぶつけた。1年生でいきなり戦うのは無謀なマッチメイクかもしれないが、将来的にこの負けをプラスに変えていければと思っていた。負けはするが、よいパンチも当ててラウンドを奪ったり、2対1とよい試合もあった。それは結果的に負けたから駄目なのでは決してない。今回は正直勝たなければいけない相手で、ワンサイドで勝てたということは良かったけれど、ここ勝たないでどうすんだと思う。(今季のリーグ戦を3位で終えて)結果的に農大、日大に4対5で負けたが、選手はいい意味で負けて悔しい面であり、また一方では頑張ればできるという自信にもつながったと思う。(秋山と齋藤は)あの二人はよいライバル関係で、今年はライト級でここまでやってくれて良かったし、来年もいるということで来年はやっぱり他のチームにとってライト級は脅威になると思う。(主将の途中離脱は)我々の上のチームである日大と農大戦では、高橋拓磨が出ていたらどうなっていたんだと他のチームも我々も一つ思った。(最上級生は)下級生に負けられないというプライドがあるし、そういうのがよい意味で循環すればよいチームになるので、今年は最上級生、高橋拓磨、高江洲、金城が頑張ってくれたおかげでよい結果がでた。(来季は)うちのチームにはまだ見ぬよい選手がいるので、4年生が抜けた穴は痛いけれどそれでもカバーする人材もいるので声を大にして言いたい。
・金城(営4・那覇)
(原田と星の初勝利は)勝って当たり前。(今回の相手は)2年の時、一回やって負けたのでちょっと警戒していたが、頭振ったのでパンチをもらわずにできて良かった。(TKO勝ちは)最後に気合入れてTKOを狙って取った。(試合の良かった点は)やりたいことをやれたので良かったと思う。(反省点は)1ラウンドからもっといけていたらもっと楽だった。(階級賞の獲得は)今年の方が取って当たり前な感じがあったので、取れて良かった。(主将の離脱は副将として)個人戦なので各自が頑張ればよいと思った。ただやっぱり副将として、練習の雰囲気を盛り上げたりした。(3位という結果は)全部惜しかった試合が多かったので、それは元々1位とか2位の相手は負けないと思っているので、絶対勝つという気持ちが足りなかった。(全日本と国体に向けて)二つとも優勝目指していく。
・高江洲(営4・沖縄尚学)
ちょっとやりずらい相手だったがパンチがうまく当たって良かった。手が自分より長かったのでやりずらかった。自分が持っている力を全部出せば勝てると思っていた。(力を出し切ることは)できた。時間は短かったが。(今後は)後悔しないくらい練習して負ける気もしないくらいモチベーションを持っていきたい。(チームの成績は)優勝を狙っていたが負けても4対5と惜しい試合で、優勝する力はある。来年後輩には3位以下にならないように頑張ってほしい。
・齋藤(営3・習志野)
最終戦なので絶対勝とうと思っていた。結構調子も良かったので。(心がけたことは)力んで固くならないように肩の力を抜いて落ち着こうと思っていた。(勝てた要因は)自分のボクシングができたからだと思う。(今季は)バンタム級からライト級に上げて不安な部分も大きかったが結果として4勝1敗で、その1敗も全日本王者相手にいい試合ができた。結果としてはすごく良かった。課題もまた見つかったので、次は国体と全日本に向けて頑張っていきたい。
・星(済3・黒沢尻工)
(今日の試合を振り返って)3年目にして4回目の選手としての出場だった。相手も相手でみんな全勝する気だった。自分はメンタルが弱いのでそれがプレッシャーでとても緊張した。みんなが声を掛けてくれたおかげで、満足はしていないがみんなが試合内容が良かったと言ってくれた。(大学での初勝利は)安心感。うれしいというよりほっとした。勝因は相手選手が後輩の知り合いでどういう選手なのか聞いてイメージした。一番良かったのは相手がイメージ通りの選手だったということ。(どんな攻撃を意識したか)相手がストレートと接触した時に爆発力のある選手だと聞いていた。自分から状態ずらしながら相手のストレートを外して、自分から打ちに行って打ち終わりは距離をとってというふうにした。後半は体力が持たなかったので最後ふらふらしてしまった。(階級変更はどうか)フライ級の時よりも相手が足を使わないのでやりやすいが、バンタム級にすると体重が足りなくて体負けしてしまうのが心配。みんなが言うには体負けもしてないし、日に日に動きも良くなっていると言われた。どちらかと言うとやりやすい。(リーグ戦を終えて)リーグ戦初勝利はほっとした。来週にまた個人戦の県予選があるので、来週から気を引き締めて今度は個人戦で今回の勝利を自信に変えて気持ちを切らずに頑張りたい。
・秋山(営3・淀川工科)
(全勝です)嬉しいです。(この結果が出せたのは)新しいトレーナが来てくれて、今年になって身に付いてきた。悪い所をなくしていくボクシングを教えてもらった。今日の試合は良くできた。負けたくないという思いはある。(このチームでのリーグ戦は終わりました)後輩を引っ張っていける先輩になりたい。個人は全勝できたが、優勝したかった。来年はします。
・馬場(文2・王寺工)
自分のリズムを意識したが反省点が多かった。最初3戦全部負けてるので勝ちたい。(目標の優勝には届きませんでした)3位ですけど内容的には負けてないので、来年は1位目指してやりたい。(今後は)全国1位を目指したい。
・原田(営1・崇徳)
(今日の試合を振り返って)最初対戦相手がわかってから勝てる相手だと言われていたので、逆に緊張してしまって前半力が入って固くなってしまった。基本3ラウンドともペースを握っていけたのでそれは良かった。(大学初勝利は)4回も出してもらってやっととれた勝ち。とりあえずほっとした。勝因はチームの雰囲気が大きい。出ない選手も自分らを励まして盛り上げてくれていいチーム。(余裕が見えたが)高校の時は2分間足をよく使って、ステップを使ってやっていた。大学は3分間なのですり足で無駄のない動きを意識してやっている。それが今日はできた。(リーグ戦を振り返って)勝てなかったが、最後は勝てて終わりよければすべてよしじゃないけど、経験もできたし今年は良かった。(次の個人戦に向けて)地方予選、国体、全日とあるが全国は出なきゃいけないと思うし、出たら優勝を目指してやる。自分の階級ウェルター級は金城さんがいるので負けないよう勝気でいこうと思う。
・福井(営1・駿台学園)
日大戦負けているので最終戦内容は良くなかったが勝てて良かった。(初めてのリーグ戦は)長く感じた。苦しいことのほうが多かったが、経験にはなった。(思っていたものと違いましたか)高校時代はかっこいいなとしか思わなかったが、2週間おきに試合するのは調整が大変だった。(プレッシャーもあったのでは)最初はあったが自分のボクシングをやろうというふうになった。
TEXT=玉置彩華 PHOTO=千野翔汰郎、山下華歩、野原成華