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第20回東京都サッカートーナメント大会 第95回天皇杯本選予選学生系の部準決勝
7月18日(土) 国士舘大グラウンド
東洋大3-1慶大
<得点者>
20分 石坂
54分 遊馬
81分 遊馬
<出場メンバー>
▽GK
沖野泰斗(国4・幕張総合)
▽DF
石坂元気(国4・広島Y)
郡司昌弥(国4・柏U-18)
瀧澤修平(ラ4・東洋大牛久)
長谷川優希(国4・帝京)
▽MF
徳市寛人(国3・東福岡)50分→MF勝野瑛(国1・浦和Y)
小山北斗(国4・帝京)
坂元達裕(社1・前橋育英)90分→FW小島正之介(ラ4・常総アイデンティU-18)
田中舟汰郎(国3・横浜FC・Y)
▽FW
佐藤仁紀(国3・武南)80分→FW小山大貴(国4・大宮Y)
遊馬将也(国4・武南)
3得点すべてに絡んだ遊馬
石坂(中央)の今季初ゴールは貴重な同点弾となった
坂元は鋭いドリブルで相手DFを切り裂く
天皇杯予選の準決勝、慶大との一戦。早々に失点する苦しい展開だったが、前半のうちに石坂のゴールで同点に追いつく。後半は、遊馬が2得点をあげると、守備陣は相手の猛攻を耐えしのぎ3-1で勝利。天皇杯東京都代表が手の届くところまで近づいてきた。
1部の強豪相手に臆することなく“東洋大のサッカー”を魅せつけた。スカウティング通り前半開始から勢いをもって攻撃に出てきた相手に対し後手に回り、13分に失点を許してしまう。古川監督も語る、トーナメント戦のキーポイント「先制点」を先に奪われるも、今の東洋大にはそれを跳ね返すだけの力と自信があった。後方から丁寧にボールをつなぐと、ボランチを起点にチームきっての“仕掛け人”が待つ両サイドへとボールを配球。右の坂元、左の田中、そこから生まれるイマジネーション溢れる攻撃で何度も相手ゴールを脅かした。同点に追いついたのは20分、CKの流れで前線に残っていた石坂が右足で流し込み、反撃の狼煙をあげる。
パスでつないで崩す、攻撃的スタイルを武器とする両校の拮抗した90分は、より「攻め」の気持ちを貫いたチームに軍配が上がる結果となった。54分、GK沖野のキックの目測を誤った相手DFをよそ目にボールを追いかけた遊馬がキーパーとの一対一を冷静に決めて勝ち越しに成功。その後は、慶大もサイドの突破から好機を生み出すも、沖野を中心に守備陣が最後のところでゴールに蓋をする。リーグは中断中で、約3週間ぶりの公式戦となったがチームに焦りはなかった。
つなぐサッカーを展開しながらも、リードを奪ってからは、よりセーフティーなプレーを心掛けた。一つのミス、一瞬の気の緩みが結果を左右するのがサッカーの恐ろしさ。昨季、あと一歩で昇格を逃したチームから、今季は勝負強いチームへと確実な進化を見せている。81分、勝野を起点にペナルティエリアに侵入すると遊馬のシュートが相手のハンドを誘いPKを獲得。これをエース遊馬が確実に決めとどめを刺した。所属リーグや順位ではなく、ピッチの中で強さを証明した。
あと一勝でJリーグのチームとの対戦が待っている。J3所属のFC町田ゼルビアとの一戦は、東洋大にとって最大の力試しの場となるだろう。まずは、20日に迎える国士大戦。アミノバイタル杯ではPK戦の末勝利を収めているが、国士大もリベンジに燃えているはずだ。「(天皇杯を勝ち上がれば)総理大臣杯や後期リーグにもつながっていく」。古川監督の言葉通り、チームの勝利は一つの線となって、チームの成長につながっている。
■コメント
・古川監督
慶大が立ち上がりのところで勢いを持ってくるから開始15分失点しないようにという点を伝えた。しかし、ロングボールの処理のミスから献上しなくていい失点を与えてしまったのでどうなるかなという感じはあった。そんな中前半のうちに同点に追いつけたのはよかった。後半も落ち着いて試合には入れたし、決定機を遊馬がしっかり決めてくれた。よくやってくれたと思う。(久しぶりの公式戦だったが)力のあるチームともある程度戦えて勝つこともできた。自分たちよりも各上のチームばかりだが、勝ち上がる中でどんどん強豪と戦うことができる。しっかりとオーガナイズしたチームで総理大臣杯のシミュレーションも兼ねてしっかり戦っていきたい。(勝負強さが備わってきた感じがするが)チーム内でいい競争ができている。その中で徐々にメンバーが絞られていき、隙の無いいいチームになりつつある。しかし、今日のように先制されるとひっくり返すのが楽ではないチームもこれから総理大臣杯などでは多く出てくる。まずは0-0でゲームを作っていき、自分たちが先制できたらそのまま終わらせるか追加点を取って終わらせる。一番我々が得意とする勝ちパターンに、試合展開やスコアを持っていけるようにしたい。まずは守備の安定がなければ話にならない。今日は1点やられてしまったが、ある程度守備が耐えられるようになってきた。年々成長できている点だと思う。(カップ戦で重要なこと)やはりトーナメントだから先制点が非常に大事になると思う。力の差やカテゴリーの差があっても先制点をとれれば勝率が上がってくると思う。今季、総理大臣杯の出場権を獲得した平国大は、守備がしっかりできていて先制点を相手に与えなかったことが躍進の大きな要因だと思う。自分たちもそこまで圧倒して勝ち上がってこれたわけではない。守備の安定がアミノバイタル杯から続いているからこそであり、これからも継続していきたい。(次の試合へ向けて)明後日の試合を勝ちあがることで(J3の)FC町田ゼルビアと対戦ができる。さらにもう1つ上のカテゴリーの相手と真剣勝負ができる。総理大臣杯が終わったあとも、そういった強豪との対戦をしていたいし、あわよくば天皇杯東京都代表として名を刻めれば後期リーグにもおのずとつながっていくと思う。いずれにせよ強い相手なのは間違いない。しっかりリカバリーして明後日の準備をしていきたい。
・遊馬将也(国4・武南)ゲームキャプテン
ここ最近のアミノバイタルであったり天皇杯はほとんど1部の強いチームとやってきて、自分たちも自信がある中で挑んだ。かといって全員が油断せずに戦えた。(2点目のシーンについて)去年リーグ戦で神大と当たったときに、浅沼(H26年国卒・YSCC横浜)選手からのパントキックで相手がポカしてくれて点が入ったことがあった。最後まで諦めないというのが自分の持ち味。(チームは3得点挙げたが)ここ最近は取られても全員がじれずに戦えてる。取られたら追いつこうという気持ちがみんなある。自分たちも一つ一つじれないところが成長してきて、結果的に3点取れたと思う。(次の試合へ向けて)アミノバイタルで戦ってるチームが相手。絶対相手も気合入って戦ってくると思うので、それに負けないようにもう一回しっかり勝たないといけない。しっかり勝ちで終えて、天皇杯も社会人の上の方に戦いにいきたい。
・石坂元気(国4・広島Y)
総理大臣杯が決まったということもあって、チームの雰囲気も良かった。天皇杯も総理大臣杯に向けて公式戦を組めるというのはチームにとってもプラスになると思うので、チーム全員で勝ちにいこうと感じて臨んだ。1部と2部の差はあると思うし、総理大臣も関東1部レベルのチームと対戦していかなくてはいけない。(得点シーンを振り返って)今季初ゴールだった。意図してあそこ(PA内)にいたわけではないが、ボールがいいところに転がってきて、シュートも吹かさずに抑える感じで打ったらいいコースに飛んだ。(天皇杯出場も見えてきたが)天皇杯も東洋は出たことがない。もしこのまま勝ち進んで総理大臣杯、天皇杯、リーグ戦1部昇格の3つを達成できれば良いと思う。今日の試合前のミーティングでも勝野コーチからその3つを達成できるようにやっていこうと話をされたので、そこは目指していけないと思う。(次の試合へ向けて)今日以上にハードワークして、チームの一体感や雰囲気も大事になってくる。1人1人がもっとできると思うので、走って戦って次の試合も勝てるようにしたい。
TEXT=吉本一生 PHOTO=當麻彰紘
[次回試合予定]
第20回東京都サッカートーナメント大会 第95回天皇杯本選予選学生系の部
決勝 7月20日(祝・月) 対国士大 法政大城山グラウンドにて 15:00キックオフ