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2023.05.11
硬式野球

[硬式野球] 優勝目前に打線沈黙「必死こいて勝利をつかみにいけ」

東都大学野球春季2部リーグ戦・拓大2回戦

5月10日(水) UDトラックス上尾スタジアム 

●東洋大0-4拓大



拓大
東洋大


二塁打:宮下(四回)


・打者成績

打順守備名前
(中)橋本(総4=花咲徳栄)
(遊)石上泰(営4=徳島商業)
(二)宮下(総2=北海)

吉田(営2=龍谷大平安)0

池田(営2=三重)
(右)水谷(営4=龍谷大平安)
(左)宮本(総4=大阪桐蔭)
(捕)後藤(法4=京都学園)
(指)花田(総2=大阪桐蔭)

(打)松本(営3=成田)
馬込(法3=桐光学園)
加藤響(総3=東海大相模)


32


・投手成績

名前球数四死球三振
島田(総2=木更津総合)48
野澤(営4=龍谷大平安)38
柿本(営3=東洋大姫路)21
加藤慶(営3=龍谷大平安)24



主将の水谷はどう立て直しを図るか


島田は打球を足に受け、その場に蹲った


宮本も最後粘りを見せた


前日圧倒的な強さを見せ、勝利を飾った東洋大ナイン。勝てば優勝の大一番に挑んだものの、蓋を開ければ、本塁が遠い。「昨日できたことがなぜ今日できない」。井上監督は沈黙を続けた野手陣に首を傾げた。


 優勝に向けて、初回から野手陣は立ち上がった。橋本(総4=花咲徳栄)と石上泰(営4=徳島商業)が出塁し、走者一、二塁に。しかし宮下(総2=北海)の痛恨の犠打失敗で後続も躓き、先制の芽を摘まれてしまう。これには井上監督も頭を抱えた。


 一方の守備で、指揮官は初先発となる島田(総2=木更津総合)をマウンドに送り込んだ。初回を三者凡退としたが二回、思わぬアクシデントに見舞われる。先頭打者の投直が島田の右足に直撃。マウンドに倒れ込んだ瞬間、グラウンドは一瞬冷え込んだ。島田は仲間の肩を借りてベンチに下がると、夕暮れと共に影がかかる一塁側は不安な雰囲気に包まれた。数分間、治療を受けた島田は再びマウンドへ。暖かい拍手と力強い声援を受け、2人背負いながらも気迫のピッチングでこの回を無失点で抑える。


 アクシデントを乗り越えた島田だったが、三回、相手打線に捕まってしまう。連続四死球で作ったピンチを守りきれず、2点を許した。

 

 すぐに取り返したい東洋打線は四回、一死満塁のチャンスを作るが、花田(総2=大阪桐蔭)が併殺に取られ、攻撃を交わされてしまう。あと一本がでない苦しい展開だが、その後は野澤(総4=龍谷大平安)、柿本(営3=東洋大姫路)マウンドに上がり、ゼロに抑える。しかし九回、加藤慶(営3=龍谷大平安)が、2点を献上。野手陣の奮闘がない中で、さらに苦しい状況を作ってしまう。


 4点を追う最後の攻撃。1死から水谷(営4=龍谷大平安)、宮本(総4=大阪桐蔭)の連打で得点チャンスを作る。最後に見せた4年の意地に、後続も続きたいところだが、後藤(法4=京都学園)、松本(営3=成田)のバットから快音は響かず。三塁上で戦況を見つめていた水谷主将は、天を仰いだ。


 「どんだけ去年一勝に泣いたか分かってるのは彼らなんで。あと一勝なわけでしょ。必死こいてつかみにいけ」(井上監督)。去年の春秋、今後の運命を決める試合で「あと一勝」を前に涙を呑んだ。今回も優勝を前に打線が停滞。ここで負けてたら、目指す場所には届かない。


 この春の最後、彼らが見せるのは、笑顔だと信じているから。どんなに劣勢でも、水谷主将率いる今の東洋の強さを信じて、どこまでも必死に喰らいつくんだ。



■コメント

・井上監督

(昨日の試合と比べると)昨日ちょっと褒めすぎましたよね。二度と褒めない。初回のバントの失敗ですよ。それがやっぱり、こういう流れになったと思うんだけど。言ってもリードされてたのは2点なのでね。島田はアクシデントがあったので。打線はなんで昨日できたことが今日できないのか。気の緩み、おまえらここ負けに来たのかと。(相手の先発投手は)当然、いい球投げてましたよね。変化球にもキレがあって、真っ直ぐにしても。でもそれで終わってましたよね、うちは。明らかにスピード負けしてるんだから。スピードで負けてたら力でいこうとするので。余計に違うところ向いちゃうので。(明日は選手達の進化が試される一戦だが)やんなきゃいけないのはあいつらなんですよ。どんだけ去年一勝に泣いたかって分かってるのはあいつらなんで。あと一勝なわけでしょ。必死こいてつかみにいけよ。(鍵になる選手は)今日は気合入れるために途中で変えましたけど2年生の二人、宮下・花田には頑張ってほしいですけどね。


TEXT=一ノ瀬志織、宮谷美涼 PHOTO=宮谷美涼