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第102回 関東学生陸上競技対校選手権大会
2023年5月11日(木)~14日(日)
相模原ギオンスタジアム
2日目
男子1部 100m 準決勝 2組 3着+2
1組(+1.6)
1着 中村 彰太 10'23
2組(−0.7)
2着 成島 陽紀 10'30
3着 柳田 大輝 10'31
女子1部 1500m 決勝
12位 渋谷 菜絵 4'37''12
男子1部 1500m 決勝
3位 奥山 輝 3'49"04
5位 田中 純 3'49"32
9位 石川 心 3'50"19
男子1部 100m 決勝(+3.1)
1位 柳田 大輝 10"09
3位 中村 彰太 10"13
6位 成島 陽紀 10"24
男子1部 4×100mR決勝
成島 陽紀
大石 凌功 1位 39''24
中村 彰太
柳田 大輝
男子1部 走幅跳決勝
13位 中村 大空 7m27(+3.0)
4継のアンカー栁田
入賞を決め喜びを分かち合う奥山(左)と田中(右)
100m競走決勝 左から栁田、成島、中村
リレー決勝後喜びの表情を見せる大石(左)と成島(右)
リレー決勝後喜びの表情を見せる中村(左)と栁田(右)
表彰式でメダルを掲げる
中村(左上)栁田(右上)成島(左下)大石(右下)
第102回関東学生陸上競技大会が5月11日~14日にかけて相模原ギオンスタジアムで開催された。初日に行われた男子1部4×100mリレー予選。安齋由一郎(法1=福島東)、大石凌功(健1=洛南)、中村彰太(法4=浜松工業)、舘野峻輝(ラ2=中京大中京)のメンバーで挑み、組2着で着順での決勝進出を決めた。翌日に行われた決勝では、1走に100m決勝で6位入賞を決めた成島(ラ2=東洋大牛久)、4走に、100mとの2冠を目指す栁田(文2=東農大二)を投入しベストオーダーで挑んだ。3走まで上位3校の拮抗した争いとなったが、アンカー栁田が強さを見せ5年ぶりとなる4継優勝を果たした。
関カレ2日目に行われた4×100mリレー決勝。注目は同日に行われた男子1部100m競走で2連覇を達成し、今大会2冠を目指す栁田。1走、100m競走で6位入賞を果たした成島が好スタートを決め、リードを作る。2走、期待の1年生大石で上位をキープ。3走の男子1部100m競走で表彰台をつかんだ中村が先頭との差を縮め、優勝が狙える位置でアンカー栁田へ。栁田はバトンを受け取ると急加速を見せた。前を走っていた順大を一気に交わし1位でゴール。男子1部100m競走決勝進出者3名を擁する東洋大が、華麗なバトンパスを披露し、5年ぶりの優勝を果たした。
リレーメンバーは「リレーの学生記録を狙う」と語った。リレーの学生記録は38''54。今大会のタイムからは0.5秒以上離れている。だが、今大会は100mの準決勝と決勝、4継リレーの決勝が同日に行われるという過密日程。そして、成島が「バトンパスで詰まってしまった」と語ったようにまだ伸びしろや改善点がある。全日本インカレで学生記録更新へ。東洋大リレーメンバーの活躍に注目だ。
天候が心配されていたなかで行われた前日の1500m予選。1組には石川心(済4=武蔵越生)が出走。後方からスタートし、800mを過ぎたところで徐々に前へ。ラスト1周、先頭でレースを進めていた選手らのラストスパートに食らいつくも、着順で決勝進出が決まる5着までには入ることができず6着。2組の結果を待つこととなった。
予選2組では奥山輝(総4=浦和実業)、田中純(総1=城西大城西)が出走。中距離界で名を馳せている東海大の兵藤ジュダ、順大の大野聖登らが序盤集団を引っ張るなか、「今季自己ベストに近いタイムを出しており、自信を持って臨むことができた」と語った田中は800mを過ぎたところで集団の前方へ。予選1組に比べ、ややスローペースでレースが進んだことにより、ラスト1周はスパート合戦に。先頭は6人に絞られ、ラストの直線へと差し掛かった。誰一人として前を譲らない大混戦のなか、奥山は自身の強みであるラストスパートを活かし4着。田中は早大の間瀬田純平とわずか0.01秒の差で競り勝ち5着に。まさにその1秒をけずりだすような走りであった。1組を走った石川はタイムで拾われ3人全員が決勝への進出を果たした。
2日目の決勝は好天に恵まれたなかで行われた。スタート直後、先頭に立ったのは石川。ラスト1周まで集団を引っ張るも、早大の柳本匡哉に先行を許す。さらに早大の柳本匡哉をかわし先頭に立ったのは日体大の高村比呂飛。先頭の激しい入れ替わりに会場は白熱し、とうとうラストの直線へ。奥山と田中、順大の大野聖登は3位争いに。レース前に日本選手権1500mで過去3度優勝している父から「ラスト100mが勝負だからな」と助言を受けていた奥山は、横並びになった状態から抜け出して3位でフィニッシュ。田中は5位となった。石川は惜しくも入賞まであと1歩の9位と健闘。この種目で奥山・田中がダブル入賞を果たした。
東洋大陸上競技部男子長距離部門で、唯一ダブルエントリーとなった田中は「自分が2種目も走れるんだとワクワクした気持ちとやってやるという気持ち」と意気込みを語っていた今大会。駅伝シーズン前の力を測るという位置づけで出場とのことだった。「チームの為に1点でも取る」と意気込んだ1500m決勝で5位入賞。5000m決勝では悔しくも22位となり「全く勝負に絡むことが出来ず自分の力不足に情けなく感じた」と語るが、今季5000mを3本走り、14分15から21秒でまとめていることから安定感がうかがえ、「学生界そして日本の陸上界に名を残す選手になる」ことを大学4年間での目標としている彼のさらなる成長と三大駅伝での活躍に期待が高まる。
目標としていた表彰台に登った3位の奥山は今大会、「1人ではここまでのパフォーマンスを発揮することは出来なかった。ここまで支えていただいた方達に感謝している」と振り返った。3位でフィニッシュした時の心境として「安心とうれしさが一気に込み上げてきた。諦めないで練習してきて良かった」と語り、日々の努力が結果として証明される形となった。さらに、20日に行われた早大競技会の5000mで13’52’’69を記録。PBの13’51’’17に近いタイムを叩き出し、「夏に入る前にベストタイムを出す」という彼の挑戦に臨む姿から目が離せない。
■選手コメント
・栁田大輝
(レースを振り返って)リレーは、昨年よりも早い段階から準備を始めてきたので、勝つことができて良かったです。今後は、学生記録を視野に入れて、個々の走り、バトンパスの精度を高めて全日本インカレでも優勝したいと思います。(100m競走2連覇達成は)優勝というよりは、今回はタイムを狙っていました。しかし、出るからには勝って、その上でタイムも出さなければいけないという意識で走りました。タイムには納得いきませんが、勝ち切れたことは良かったと思います。(男子一部最優秀選手に選ばれた心境は)あまり意識していませんでした。自分の力だけで、いただけた物ではないので周りの人たちに感謝したいです。(セイコーゴールデングランプリ、日本選手権での目標)100mの世界陸上標準記録である10.00の突破です。
・中村彰太
(レースを振り返って)100mもリレーもスピードの高いレースを重ねなければいけなかったので、かなりハードでした。それでもどのレースもしっかり走れたので成長を感じた試合でした。100mは決勝で勝ちきれなかったため、まだまだ頑張らないといけないなと感じました。リレーについても個人の走りはまだまだですが、リレーチーム全員で準備してきたことが形となった良いレースが出来ました。(インカレ個人種目で表彰台に登れたことについて)目指していたところは一番高いところでしたので、悔しさは残りました。それでもインカレでの表彰台は初めてでしたので、嬉しかったです。全日本インカレでは1位を目指して頑張りたいと思います。(2年連続100mでの3人決勝に残れたことについて)各々が自分の走りをすればできることだと思っていたので大きな驚きはなかった。それでも東洋大の看板を背負っているので、3人で決勝に残ることが出来てよかったです。(4×100mリレー5年振りの優勝について)昨年の関東インカレ、全日本インカレで悔しい思いをして、この優勝のために長い期間をかけて練習をしました。その努力が優勝という形になって本当に嬉しい気持ちです。次は全日本インカレで学生記録での優勝をめざしてチーム一丸となって頑張りたいと思います。(セイコーゴールデングランプリ、日本選手権での目標)セイコーゴールデングランプリは日本選手権の前哨戦になると思いますので、高いレベルにチャレンジ出来ることを感謝をして決勝に残れるように頑張ります。昨年の日本選手権では準決勝で全く勝負することが出来ず実力不足を感じました。今年は決勝で勝負をすることを目標に頑張りたいと思います。
・成島陽紀
(レースを振り返って)100mは自分が想像してたより遥かに動きが良かったです。1週間前まであまり調子が上がってこなかったのですが、当日はとても調子が良く自己ベストも出ました。落ち着いてレース運びをすることができたので3本とも自己ベストに近いタイムで走ることができました。自分的にはもう少し順位を上げられたら良かったかなと思います。リレーの予選は100mが3本予定していたので寮で同部屋の安齋が代わりを務めてくれました。そのおかげで決勝には自分が万全な状態で出場することができました。バトンについては、自分が1位で回すことができれば1位でかえってきてくれると信じていたので安心して渡すことができました。自分が調子が良すぎたせいでどん詰まりしてしまいましたが土江先生をはじめとした先生方にしっかりとバトンを見て渡せと言われていたので渡すことができました。(ベストを更新し決勝進出したことについて)自分はインターハイにコロナの影響で1回も出場できませんでした。大きい大会で自己ベストも出したことはないし、決勝にもいったことがありません。準決勝の電光掲示板を見た時、興奮して地面を叩いてしまいました。あそこに自分の名前があるのが今でも信じられません。あのメンバーの中に自分がって感じです。スタッフ陣には多分一番心配されていたと思います。なので決勝に行けた時はものすごく嬉しかったです。(u20アジア選手権での目標は)もちろん高い目標ではあるのですが、金メダルです。最低3位以内。今まで通りの動きができれば達成できると思います。応援よろしくお願いします。
・大石凌功
(レースを振り返って)200mは決勝進出を目標にしてレースに臨みましたが、結果としては準決勝にも進めず悔しい結果となりました。内容としては今の実力の中では完成度の高い走りができましたが勝負弱さが出てしまいました。次に200mを走る時には必ず自己ベストを出せる状態で臨めるようにしたいです。リレーについては、例年よりも早い時期からバトン練習を始めたと聞いていたので勝ちにこだわる執念が感じ取れていました。その中に1年生の自分が1人入ってレースをするという事は大きなプレッシャーを感じていました。しかし、先輩方が頼もしくリードしてくださったので本来の力を存分に発揮することができたと思います。残りのシーズンでは全日本インカレでの優勝と学生記録の更新を目指して取り組んでいきたいと思います。(初めての関東インカレに向けてのモチベーションなどはどうだったか)大会直前のチーム内の雰囲気などから各大学が一丸となって戦う大会だということは感じ取っていました。その影響から自分も少しでもチームに貢献したいと思い練習の時から気合いが入り、モチベーションも上がっていました。(今後の目標)まだ個人種目においては全国で戦える選手ではないので、個人では全国で決勝に残れる選手になること、リレーでは今大会に続き全日本インカレでの優勝と学生記録の更新を目指してこれからも精進していきます。
(試合を振り返って)ここまでたくさんの人達に支えて頂きました。1人ではここまでのパフォーマンスを発揮する事は出来ませんでした。感謝しています。 無事に表彰台という目標が達成する事か出来たので良かったです。練習で上手く走れなかったり、予選落ちするかもしれないという不安があったりしましたが1つずつ乗り越える事が出来たので成長を感じる事が出来ました。(3位でフィニッシュした時の心境は)安心と嬉しさが一気に込み上げてきました。 中途半端な結果が続いていたので、諦めないで練習してきて良かったと思いました。(お父様から試合前に何か声かけなどありましたか) ラスト100mが勝負だからなと言われてました。(今大会の位置づけ)夏前の他大学との戦力差を測れる、上半期の大きな大会でした。(良かった点、悪かった点)良かった点は自分の強みをしっかり出せた事です。自分の強みはラストスパートです。予選、決勝でラストしっかり上げられたのは良かったです。 悪かった点は位置取りが後ろだった部分です。自信のなさから終始後ろにいました。もっと前にいれば、前で勝負出来たと思っています。(今季の目標は)1500mのスピードを5000m.10000mに活かしていきたいです。夏に入る前にベストタイムを出したいです。
・田中純
(1500mを振り返って)1500mは今季自己ベストに近いタイムを出しており、自信を持って臨むことが出来ました。 予選は危なく、0.01秒差で5着に入り決勝に進む事が出来ました。 決勝では、チームの為に1点でも取る事を意識して臨みました。結果として、5着で4点を取る事ができ、先輩である奥山さんとダブル入賞することが出来嬉しい反面同年代に負けてしまい悔しい気持ちもありました。 来年は表彰台に立ちたいです。(5000mを振り返って)5000mでは、全く勝負に絡む事が出来ず自分の力不足に情けなくとても悔しい結果になってしまいました。 ですが、トップレベルの選手と走る事が出来、自分がこれから目指していく事が明確になりもっと強く早くなりたいと思いました。 三浦さん、吉岡のようにまだ力はないですが、ここから1年かけて力をつけて来年は勝ちにいきます。(1500mと5000mの2種目に出場が決定した時の心境は)自分が2種目も走れるんだと、ワクワクした気持ちとやってやるという気持ちがありました。(今大会の位置づけ)関東インカレの位置としましては、駅伝シーズン前の力を測る大会という位置付けでした。(良かった点、悪かった点)今回良かった点は、1500mで入賞してチームに貢献出来た事です。 悪かった点、5000mで力の差を見せつけられてしまい、他校に弱さを見せてしまった点です。TEXT=北川未藍、坂庭遥人 PHOTO=北川未藍