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2023.07.29
サッカー

[男子サッカー] 拓大に3-4で敗北も感じた勝ちへの執念

第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第10節

7月15日(土) 非公開


東洋大3-4拓大


〈得点者〉(アシスト) 

13分 新井

30分 本間

34分 新井(高橋輝)


〈出場メンバー〉

▽GK

川上康平(国4=JFAアカデミー)


▽DF

荒井涼(国2=日大藤沢)→70分 梅澤魁翔 (国3=大宮U-18)

稲村隼翔(国3=前橋育英)

徳永祟人(国2=前橋育英)

山之内佑成(国2=JFAアカデミー)


▽MF

中山昂大(国3=大宮U18)

高橋輝 (国1=大宮U18)

本間洋平(国4=札幌U-18)

新井悠太(国3=前橋育英)→70分 増田鈴太郎(国3=東海大相模)


▽FW

小野田龍剛(国4=常葉大橘)→77分 梅津凜太郎 (国3=鹿島Y)

村上力己 (国2=尚志)→83分 湯之前匡央 (国2=柏U-18)


CKを蹴る、今節1Gの本間


新井は超ロングシュートを含めて2Gと再び躍動した


関東大学サッカーリーグ(以下、リーグ戦)10節は拓大と対戦。昨季の対戦では、1勝1分けと相性の良さを見せていた相手だ。試合は、新井の長距離からのスーパーゴールで先制するも、前半に一挙3失点。それでも前半中に追いつき、打ち合いの様相を見せるが、3-4と打ち負け4試合ぶりの勝利とはならなかった。


 アミノバイタルカップでは、16強で敗退した東洋大。リーグ戦の中断期間にMF新井やDF田頭がJ2での試合に出場するなど、個々人がレベルアップを重ね、リーグ再開に備えてきた。試合は、序盤から新井が魅せる。13分、相手同士の接触でこぼれたボールを、ステップを踏みシュート。ハーフライン付近から放たれた長距離砲は、ピッチに虹を描くように拓大ゴールへと吸い込まれた。この超絶弾を新井は「狙い通りになった」と振り返る。幸先良い先制点でリードすることに成功した東洋大。4試合ぶりの勝利が近づいたかと思われたが、試合は思わぬ展開へ。25分に自陣ゴール前でのパスミスでボールを失うと、ペナルティーエリア内からシュートを打たれ失点。その後も給水タイムを挟んだ3分間で2失点と、短い時間に逆転、さらには2点差まで離されてしまう。雲行きが怪しくなってきたところで、チームを奮い立たせたのは頼れる主将だった。30分、拓大のバイタルエリアで、相手GKのパスをカットすると、そのまま左足を振りぬき得点。「今シーズンは得点を意識したい」と第1節の法大戦後に語っていた中盤の要が、流れを取り戻す。さらに終盤の34分には、右サイドをドリブルで深くえぐった高橋輝が反対サイドに走りこんでいた新井にパス。これを新井は冷静に押し込み、同点に追いついたところで前半は終了した。


 前半中に追いついたことで、勝ち点3が見えてきた東洋大。前半と違い落ち着いたゲームの流れとなった中で、右サイドの高橋輝を中心にクロスを上げ、得点を狙う。それでもなかなか得点機がつかめずにいた64分、自陣右サイドを拓大に突破されると、上手くクリアにつなげられず、こぼれ球を押し込まれ失点。貴重な4点目を相手に奪われる形となった。その後も果敢に拓大ゴールに迫ったものの、ゴールが遠い。試合はこのままタイムアップを迎え、4試合ぶりの勝利はかなわなかった。


 前期最終戦を前に4試合連続勝ちなし。主将の本間は「毎年失速しがちな東洋大だが、次必ず勝って次に進みたい」と意気込みを語った。負けはしたものの、ミスをしたチームメートに対する本間のメンタルケア。東洋大の2点目の後、なかなかリスタートのボールをくれない相手GKに対して、ボールを返すように戦った新井、それに付随して盛り上がったチーム。勝ちに対する執念を全体から感じた試合だった。ここからは4試合の連戦。次節の前期最終戦を勝って、後期につなげたい。


・井上監督

前半はお互いのミスから大味な展開で、後半やっと落ち着いてサッカーをしだして失点してという感じですね。先に点を取るところまでは、どっちに転がってもという感じの試合の流れだったと思いますが、(1点目は)相手のミスでのボールロストを、そのままシュートに結び付けた。大胆というか勇気ある選択だったなと思います。ハーフライン付近からアウト気味にかけて。以前の試合でも一度似たようなシチュエーションがあってそれは入りませんでしたが、狙いとしては良かったかなと。彼に積極的にシュートを打っていくところを求めていたので、1点目に関して良かったなと思いますが、その後の3分間の間に3失点、しかも相手のやりたいことに対して、判断の甘さからビルドアップのミス、バックパスのミス、クリアのミスという3失点。そのあと前半を3ー3で終えたのは1-3で終わるより全然良くて、五分五分に戻したということは良かったが、そこも相手のミス、3失点目は相手を崩して点は取れてたと思う。前半は大味でオープンだったと思います。後半はお互いに修正を加えられたでしょうし、立ち上がりからチャンスメイクが我々にありましたが、セットプレーも含めて決めきれず。(拓大)は、きっちり守備をされていたし、そこを打ち抜く、ゴールを決めきる力が足りなかったのに対して、そこに何度かあるチャンスを1つ決めたチームが勝ったという振り返りになります。(チーム全体で2点目を取りに行こうという雰囲気になっていましたが)失点の仕方もありますし、もちろん前半のうちに同点にして振り出しに戻したいという気持ちも強いでしょう。ハーフタイムにも失点したところよりもイーブンに持ってきたことの方がポジティブに捉えたという選手間の声掛けもありましたが、それでもなかなか4点を取るという試合はないので3失点してからというのはちょっと無駄なエネルギーを使う試合をしたねという話を試合後にしました。(高橋輝選手が今シーズン初のフル出場となり常にチャンスメイクをしている形になりましたが、監督としてはどのように感じましたか)この大学のリーグの強度にも十分慣れてきましたし、実は先週新人戦のゲームにも90分試合に出て、こういうコンディションでも十分にできるという判断の中で、最後に違いを特に攻撃の部分で見せれたのではないのかなと思います。(次の東海大戦は前期の最終戦となりますが意気込みなどあればよろしくおねがいします)負けが1つ多い前期となっているので少なくともイーブンにして。現在1位のところとそれ以外の勝ち点が詰まった中に多くのチームがいて、そこから上位に食いついていこうという中でつまずいているので、前半のリーグ戦を5勝5敗1分けにちゃんともっていけるようにしたいと思います。

本間洋平(国4=札幌U-18)

今日は早い時間に先制することができて、そのあと3分間で3失点して、それも全部ミスから。前半1ー3から3ー3まで持ってきたのもポジティブな面とネガティブな面どちらもあります。後半お互いがちょっと落ち着いてボールを持つ時間が増えて、そういう展開で失点した。決定機はこっちの方が多かった中で、決めきれず負けて悔しい試合だったと思います。(連発でミスをしてしまった選手はメンタル的にもきつかったと思いますが、そこはキャプテンとしてどのようにサポートしましたか)その選手がリーグ戦に出るのは初めてで、みんなにいじられながら試合前から入る形でした。彼自身も緊張というか、怖さもあると思います。しょうがないと言ったらゆるいかもしれませんが、いちいち落ち込んでたらリーグ戦がこの後も続いていく中で大事な戦力になる選手なので、次に向けて落ち込んでいる暇はないと。これから5週連続で試合があるので切り替えなければいけないなと思います。(2点目のシーンについて、法大戦の時に今シーズンは点に絡んでいくことが目標だとおしゃっていましたが、今回はそれを体現した形となりました。どのようなイメージでバイタルに入りましたか)今日は相手が足元の技術に長けていて、ボールを後ろからつないでいくチームの中で、ゴールキーパーのパスの道が2つあったんですけど駆け引きをして、上手く相手の逆、相手の思った方に自分が行くことができて前にスペースができて、今節の目標である得点を意識した中ですぐシュートという選択ができたのは良かったかなと思います。(ミドルを打つインパクトの時はどのように力を込めていますか)枠に入れるっていうのをインパクトの力で相手の空いているところに流し込むというのをイメージしてやっています。(2点目を取った際に後半に向けて落ち着いていこうとしたかそれともこの勢いのままいこうと話していましたか)展開が早すぎた中で、うちが前半一発目からクロスで勢いを作れた。前半最後の流れのままどんどん前からプレスをかけて点を取っていこうとチームの中でハーフタイムに話していました。(次節、前期最終戦となる東海大戦に向けて一言お願いします)4試合勝ちなしで、東洋大は毎年失速してしまっているという印象があるので、前期最終戦必ず勝って次に進みたいと思います。


新井悠太(国3=前橋育英)

流れは入りで五分五分の試合。そこで自分がハーフラインから思いっきり(足を)振って一点を取ることができた。そこから流れが来るかなと思いましたが、うまく行ってなかったのが随所に見られた試合で、3失点してしまいました。前半で2点差を追いつけたのはとても良かったことです。ですが、後半入りが良かった中で、自分たちの流れなのに決めきれず、相手の一本のチャンスで決められて、そのまま試合が終わってしまったと言う形。いろいろ反省するべき点がある試合なのではないかなと思います。(1点目のシーンと似た場面があったと井上監督がおっしゃっていましたが、普段ハーフラインからはシュートを狙っていますか)そうですね。でも、今までのロングシュートの形は自分の中であって。相手のボールを奪った瞬間に顔を上げて、キーパーが前に出てる状況を理解した中でシュートを放っていました。でも、今回の得点では、奪った後というのはありましたが、あまりそこら辺は考えずに。際どいプレーで笛が鳴るかなと思っていましたが鳴らず、なので思いっきり足を振って、枠に行ったので、狙い通りといったらそうなるかもしれません。(あのような場面では力任せに振り抜くことと慎重に狙いに行くこと、どちらを意識してますか)今回は思いっきり振って、回転がいい方向にかかってくれたので。本来なら狙ってああいった得点を増やしていくのが理想かなと思います。(本間選手の2点目後に相手GKに素早いリスタートを要求していましたが、チーム全体で点を取りに行きたいというのもありましたよね)ああいった行為は、自分としても反省するべき点かなと思うのですが、サッカーではあのようなシーンもあるので。自分としてはGKに「ボールちょうだい」とアピールしましたが、なかなかくれなかったので。そこら辺はもう少し上手くアピールできたかなと思います。(結構ガッチリキープされてましたよね)しぶとかったですね。(笑)でも、もっと上にいくとサポーターに見られるシーンも増えていくと思うので、あのようなシーンは控えていかなければいけないと自覚しています。(3点目のシーン、高橋輝選手がかなりサイドを抉ってくれた時点でパスの予感はありましたか)やっぱり輝(高橋選手)は自分で突破する能力があって、輝が持ったらしっかり自分は中で待ち構えてという意識はある。輝の一対一の能力を信じて走りました。今まで自分はそのような点に絡むランニングが無かったのですが、最近はそのような要求をよくされるので。いい狙いを持ってあそこのスペースに走り込んだら、輝がちゃんと上げてくれていい形に(ボールが自分のところに)こぼれてくれたのかなと思います。(前よりも圧倒的に中に入るシーンが増えましたよね)そうですね。ヴェルディに行くともっと要求されますし、サイドハーフは逆サイドの選手がボールを持ってクロスを上げそうになったら、(スペースに)入ってないとおかしい。そのレベルで要求されて、なんならサイドバックも入ってくるのが特徴なので、最近は意識するようにしています。(次節への意気込みをよろしくお願いします)あまり流れが良くないのが事実ですし、それを払拭するためにもっとみんなでやっていかなければいけない。東海大は勢いで来るチームだと思うので、ちゃんと自分たちの技術を生かしつつ、勝利に貪欲に行きたいなと思います。


TEXT=鈴木真央 PHOTO=鈴木真央、髙橋生沙矢