Article

記事


2023.08.07
サッカー

[男子サッカー] 「チャンス、選択肢を増やせるか」を練習から意識している村上の決勝点でアミノ杯王者・国士大とのシーソーゲームを制す!

第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第12節

7月29日(土) 非公表


東洋大3-2国士大


〈得点者〉(アシスト) 

14分 湯之前(高橋輝)

41分 高橋輝(小野田)

55分 村上(田頭)


〈出場メンバー〉

▽GK

川上康平(国4=JFAアカデミー)


▽DF

田頭亮太(国4=東福岡)

荒井涼(国2=日大藤沢) 

徳永祟人(国2=前橋育英)

山之内佑成(国2=JFAアカデミー)


▽MF

中山昂大 (国3=大宮U18)→90+4分 田制裕作(国2=柏U-18) 

本間洋平(国4=札幌U-18)

湯之前匡央 (国2=柏U-18)→54分 増田鈴太郎(国3=東海大相模) 


▽FW

小野田龍剛(国4=常葉大橘)→59分 梅津凜太郎 (国3=鹿島Y)

村上力己 (国2=尚志)

高橋輝 (国1=大宮U18)


2点目を奪取した高橋輝、最近では常に得点の匂いが


3点目を奪い喜びを噛み締める村上(背番号㉚)


※掲載が遅れてしまい、大変申し訳ございません。 


後半戦を迎えた関東大学サッカーリーグ(以下、リーグ戦)。折り返し後の初戦である12節の相手は、2年連続でアミノバイタルカップを制し、勢いに乗る国士大だ。試合は、前半に湯之前のリーグ戦初ゴールで先制するものの、逆転を許してしまう。それでも、最近躍動の止まらない高橋輝が同点弾を挙げると、最後には村上が逆転ゴールを叩き込み、強敵相手にシーズンダブル(リーグ戦でホーム&アウェー共に勝利)を達成した。


 前節、リーグ前半戦最後の試合である東海大戦で、久しぶりの勝ち点3を手にした東洋大イレブン。第4節の国士大戦から第6節の明大戦以来となる、連勝を狙い、フィールドへ。前半、東洋大は早い時間帯に先制することに成功する。14分、味方のシュートのこぼれ球が、左サイドの高橋輝の下に。そこから、フェイントを入れた後に低く速いクロスを供給すると、湯之前が飛び込み先制。リーグ戦初得点について「素直にうれしかった」と光る歯を見せた湯之前は、最近今回の得点シーンのような練習が増えてきていること、その練習の中で「ポジション取りが被らないように、ポイントに分けて入っていく」ことを意識していると明かした。順調な先取点奪取で、連勝に向けて快調な滑り出しを見せたが、予測不能なのがリーグ戦。30分から36分の間に、左サイドからの折り返しと自陣でのクリアミスから2失点を喫(きっ)し、逆転を許してしまう。このまま前半を逃げ切られるとかなり流れが悪くなるところだったが、東洋の誇るスピードスターがこの窮地を救った。41分、国士大陣内で相手のパスミスをカットすると、小野田がサイドの高橋輝にラストパス。ボールをもらった高橋輝は、GKとの一対一で完璧に逆を突き、クールな同点弾を挙げた。東海大戦後に「前半中に1点返せて、同点で終えたところが今日の勝因」とビハインドでエンドを変えさせないことの重要性を語っていた高橋輝。自らそれを証明した1点となった。


 後半には、前線で常に味方の為に汗をかく男、村上が魅せる。55分に味方がハーフウェーライン付近でボールを奪取すると、ボールはすぐさま敵陣バイタルエリア付近へと運ばれる。小野田、田頭とパスが渡り、田頭が右サイドから流れるようなクロス。その先にいた村上は、ダイレクトかつ冷静にゴールネットを揺らして見せた。得点時の動き出しで村上は「クロスを入れるとき、一瞬相手がキーパーとセンターバックの間を埋める動きをしたのが見えたので、止まってマイナス気味にきた」と敵DFラインの動きを観察しながら、クロスに飛び込むのではなく、あえて、マイナス側の位置でボールを待つことを選択。湯之前の語ったポジション取りの練習の際も「1人がファー、1人がニア、マイナスっていう選択肢を増やせるか」と常に頭を使いながらプレーしているからこそ生まれたゴールと言えるだろう。貴重な逆転弾の後も、村上を前線の起点としながら攻める東洋大。相手のCKにも危なげなく対応し、無事に試合終了。第4節から第6節以来の連勝となった。


 リーグ戦の後半戦である今節で、幸先の良い勝ち星を手にした東洋大。しかも相手はアミノ杯で優勝を飾った国士大ということもあり、選手たちの自信につながることだろう。これまでは勝ちきれなかった、打ち合いの試合(第3節・桐横大戦●2ー3、第10節拓大戦●3ー4)にも今節で打ち勝てるようになった。この成長について井上監督も「ビハインドになっている状況でも、ポジティブな声掛けができて自分たちに流れを持ってこれている状況」とチーム自ら好調を作り出せていることに言及する。22試合あったリーグ戦も残り10試合。一試合一試合の重みを噛み締めながら、東洋大イレブンは闘志を奮い立たせる。


■コメント  

・井上監督

ここ数試合ホームでの勝ち点3が取れていなかったので、今節の目標はホームゲームで勝ち点3。もちろん後期の第1戦目であることも含めてなのですが、まずは自分たちのホームで勝ち点3をつかみましょうと。選手たちに話をしたのは、一番の目標(勝ち点3)は達成できて良かった。でも残念ながら、ミスで2失点目をするというところはあった。それでも追いついて逆転することができたのは我々の進歩しているところかなと。前節もビハインドからのスタートで、追いついてひっくり返してというところだったので。我々は毎回前節よりも一つ進歩する試合をしましょうというのを目標にやっている。その部分では少しずつタフにはなってきているのかなと思います。

(東海大戦で勝ち切れたことはターニングポイントになったか)

そうですね。今年のように前期と後期の間が無く、前期をあのまま負け越して後期に入るのと、五分に戻して今節を迎えるのでは、状況が違ったのかなと思います。

(逆転されてからの再逆転など様々なパターンで勝ちきれるようになってきた。それはポジティブな事か)

まだここから10試合ありますから。彼らがどんな風な進歩をしてくれるかを楽しみにしたいなと思います。そうなる次のゲームにしたいなと思いますが、毎回大変ですよね(笑)。

拓大戦の時には打ち勝てる試合で打ち勝てなかったとおっしゃっていましたが、今節は打ち勝った。それも一歩一歩の成長か)

そう思いますね。フィールドの中でのお互いの声掛けもかなりポジティブな物が聞こえてくる。それがビハインドになっている状況でも、そのような(ポジティブな)声掛けができて自分たちに流れを持ってこれている状況なので、いい方向に転がっているのかなと思いますね。

(ハーフタイム時に、相手のプレッシャーを受けるか、剥がすかという話をしていましたが、答えはどうなりましたか)

ハーフタイムに言ったのは、1失点目も相手のプレッシャーを受けた結果、屈してボールロストをしての失点。2失点目は相手が狙っているカウンターを受けての2失点目。このまま終わると今の我々はそこまでのチームだよね、と彼らには本当にこのまま終わっていいんですか、と確認をした。それを、相手のプレッシャーに屈するチームじゃないという結果に結び付けてくれたことはうれしく思います。

(次節の東国大戦に向けて)

アウェーゲームになるのですが、暑い熊谷での試合となるので。時間は夜ですが、天候的にどうかなと。いつも東国大とやる時は、非常に激しいバトルになるのですが、前回の対戦時は相手に退場者が出たこともあって、後半少し有利な形で試合を進めることができた。今回どういう形になるかは分かりませんが、しっかりと我々にとってはプラスな結果に結びつけたいなとは強く思っています。


・湯之前匡央 (国2=柏U-18)

自分たちのいい形で先制点を取ることができて、その後立て続けに失点してしまった。しかし、前半で2ー2まで持っていけて、後半いい形で得点して勝利することができて良かったです。

(リーグ戦初ゴールのお気持ちは)

素直にうれしかったですし、チームの力になれて良かったなと思います。

(今季のリーグ戦では右サイドハーフでの出場が多い。柏のユース時代のポジションを教えてください)

柏のユースでも右サイドをやることもあったり、トップ下の位置をやらせてもらったり、前目のポジションを取って、自分のいい形で受けるポジションを見つけながらという感じでした。

(1点目のシーンで考えていたことを教えてください)

高橋(輝)選手が、縦に突破する力があるというのはチームで共有できている。だから縦に突破してくるだろうと思っていたので、中で詰められたらなというポジション取りでした。

(チーム全体でもあのような得点シーンが増えている)

サイドからの攻撃というのは、ストロングになってきているのかなと思います。

(高橋輝選手が左サイドに移ってから、得点シーンのような形の練習をすることは増えましたか)

そうですね、はい。

(その練習時に意識していることを教えてください)

中に入っていくときに、一人一人のポジション取りが被らないように、ポイント、ポイントに分けて入っていく練習はしています。

(次節に向けて)

次節も勝って3連勝で一戦一戦勝ち点を積み上げていきたいなと思います。


・村上力己 (国2=尚志)

前半、自分たちが先制点をいい形で取れて良かったのですが、最近自分たちのミスが多くて逆転されてしまった。でも、皆でカバーして前半のうちに追いつけたことは良かったと思います。後半、相手に先制点を取られて負けてしまっている事が多かった。しかし、自分が1点を取って最後勝ち切ることができたのでよかったと思います。
(今節も試合終了まで走り切った、あの走力の源は)
きついのは自分だけではないし、どれだけ前線から頑張って、後ろを助けられるかというのを常に意識しているので。
(ベンチやスタンドからの応援も源になっているのか)
周りからの「いけいけ」「もっといけるよ」という応援がもっとやらないと、という気持ちにさせます。先輩たちからの声かけとかもあるので後輩として出ている以上、自分が先輩たちの勝利のために頑張りたいなという思いでいつもやっています。
(3点目のシーン、右サイドからのクロスにダイレクトで合わせた形となりました。得点時のスペースに入る際に考えていたことを教えてください)
亮太君(田頭)が右サイドから駆け上がってきてクロスを入れるとき、一瞬相手がキーパーとセンターバックの間を埋める動きをしたのが見えたので、止まってマイナス気味にきたのが、上手く外せて後は流し込むだけでした。

(湯之前選手がサイドからのクロスに対して味方同士で被らないように、ポジションを取る練習もしているとおっしゃっていましたが、今回の得点はその練習が生きた形でしたか)
同じ選手が同じ場所に入らないように意識しているのは練習からやっているし、どれだけ1人がファー、1人がニア、マイナスっていうチャンス、選択肢を増やせるかを意識してます。
(次節に向けて)
後半戦まず1試合目で勝利できたので、次も勝って3連勝していきたいと思います。


 TEXT=髙橋生沙矢 PHOTO=北川未藍、髙橋生沙矢