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2023.09.03
硬式野球

[硬式野球]接戦を制した!アクシデントをものともせず。1部復帰後の初戦を白星で飾る

東都大学野球秋季1部リーグ戦・亜大1回戦

9月2日(土)坊っちゃんスタジアム(愛媛県松山市)


亜大1-2東洋大○


亜大
東洋大


三塁打:花田(一回)


・打者成績

打順守備名前
(中)橋本吏(総4=花咲徳栄)
(遊)石上泰(営4=徳島商)

(三)宮下(総2=北海)
(指)花田(総2=大阪桐蔭)
(左)宮本(総4=大阪桐蔭)

(一)池田(営2=三重)

(捕)後藤(法4=京都学園)
(二)佐久間(済3=千葉黎明)


水谷(営4=龍谷大平安)


吉田(営2=龍谷大平安)


(右)楠(営3=佐久長聖)


29


・投手成績

勝敗名前球数四死球三振
野澤(総4=龍谷大平安)6 2/310282411

加藤慶(営3=龍谷大平安)22500200

一條(総3=常総学院)1/3300000



緊急登板ながら最高の投球でチームのピンチを救い1部復帰後勝利、自身も1部初勝利を飾った野澤


宮下(背番号2)と花田(背番号8)の二年生コンビを笑顔で迎える東洋大ベンチ


今試合4番を任され、マルチ安打に好走塁でチームに貢献した花田


愛媛県松山市出身。凱旋登板で好リリーフを見せ勝利に貢献した加藤慶


試合の最後を締め、存在感を見せた一條


激闘の入れ替え戦から2ヶ月。チームの誰もが待ち焦がれた1部の舞台でプレーをする瞬間がついに訪れた。今カードは東洋大ナインにとっては初となる東都大学野球1部リーグ戦の地方開幕。今季は愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで行われた。彼らの新たな舞台で頂点を目指す戦いが松山の地でついに幕を開けた。


1部復帰初戦。先発のマウンドを任されたのは入れ替え戦でも好投を見せた野澤(総4=龍谷大平安)。エース細野(総4=東亜学園)が体調不良により前日に決まった今日の登板。そんな緊急事態で迎えた初回、四球で走者を背負うも焦らず。自身の持ち味である”打たせて取る投球”で相手打線をしっかり抑えて初回を無失点。素晴らしい形で立ち上がりを終えた。


打線は初回から積極的だった。2死走者なしから宮下(総2=北海)が左前打で出塁。続くは今試合4番に抜擢された花田(総2=大阪桐蔭)。振りぬいた打球はライトへの適時三塁打となり宮下が一気に生還。さらに相手の送球ミスも絡み花田も一気に本塁へ。2年生コンビで2点を奪い、チームとしても1部復帰後初めての得点。井上監督も「いい投手」と称する亜大・草加から先制点を奪い、ベンチは大盛り上がりで二人を迎えた。


2点の援護をもらった野澤は「2点の援護は大きい、楽に投げられた」と、その後も走者を背負う場面がありながらも要所を締め、六回まで無失点投球。最上級生として、背中でチームを引っ張った。


試合が動いたのは七回。ここまで無失点投球だった野澤が走者を背負い、ライトフェンス直撃の適時打を打たれ1点を失う。1点差となり、なおも一打逆転の場面。ここで井上監督はすぐさま継投を選択。「ハートが強い。どんな場面でも任せられる。彼が打たれたらしょうがない」と絶大な信頼を寄せる松山市出身の加藤慶(営3=龍谷大平安)をマウンドへ。今試合最大のチャンスに亜大の応援が一気に勢いを増し、球場全体を包み込む中で凱旋登板を迎えた加藤慶は「相手の応援も聞きながら楽しく投げている」と強心臓ぶりを発揮。冷静に投げ込むと次打者を中飛に打ち取り、球場を静まり返させた。マウンドの加藤慶の顔には笑みがこぼれた。


次の回も加藤慶は、亜大の中軸を前に二者連続三振を含む三者凡退。完全に流れを断ち切ると、最終回も加藤と一條(総3=常総学院)で三つのアウトを奪い試合終了。「細野だけじゃない、他にも投手はたくさんいます」と自慢の投手陣が踏ん張り、アクシデントをチーム一丸となって乗り越え、開幕戦、そして一部復帰初戦を白星で飾った。


1部での新たな幕開けを白星という最高の形で飾った東洋大ナイン。しかしまだ初戦。入れ替え戦後に水谷主将(営4=龍谷大平安)「挑戦者」という言葉を何度も使ったように、挑戦者としてここから強敵たちと戦い、今まで以上の高みを目指していく。新たな舞台で躍動する東洋大ナインの戦いに目が離せない。



■試合後インタビュー

井上監督

(1部復帰後の白星)試合の内容通りしんどかったですよね。1部は甘いところじゃないなって。(1部で一勝したというのは大きいのでは)野澤中心に、投手中心に粘ってくれた。打者もそこそこチャンスはあったけど活かせなかったので苦しい試合展開になってしまった。亜大・草加くんもいい投手なのでそう簡単に打てない。そういう意味では初回の2点は大きかった。(その2点を守り切った)ほんとにそうですよ。野澤様々です。緊急登板で。(細野に何か)今朝発熱しまして、本当に緊急登板でした。(加藤慶もしっかり投げた)期待通りです。フル回転です。(最後に一條はインパクトがあった)投げさせたかったんですよね。いつも一條までいかないので。深い意味はないです。細野だけじゃないんだよ、投手陣たくさんいるよってことを見せたかった気持ちは少しありますね。(細野の見通しは)日大戦くらいですかね。39度の熱でインフルエンザでした。彼が一番悔しいと思うので、次の登板で晴らしてほしいと思ってます。(今季の戦いの見通し)最下位を回避。これは僕の目標です。チームの目標ではないです。ただ、チャンスがあれば獲ります。(1部初勝利のウイニングボール)マネージャーがくれました。ボールが4つくらいある。(監督初勝利・2部優勝・1部昇格・1部初勝利)ありがたくもらっておきます。


野澤

(緊急の先発を終えて)それなりに。緊急登板だったんですけど、一応準備はしていたので。結構打たれたんですけど、0だったので良かったと思います。(初回の2点は)結構楽に。相手のミスだったので気楽に投げられました。(今日の良かったところ)良かった所はなかったですけど、悪いところもなかった。ピンチでギアを上げられたのは良かったです。(ギアを上げた場面は)走者二塁に進んだらですね。連打多かったので、次の試合からは慎重に打者を抑えていきたいです。(緊急登板が決まった時の気持ち)細野がいなくても、投手陣個々の力が集まれば細野と同じくらいの力が出せる、勝てると思っていたので勝ててよかったです。(今試合で1部初勝利)そうですね。1年生のころ、四回くらい登板して苦しい経験をしてきたのでよかったです。


加藤慶

(今日の登板、凱旋登板を振り返って)ああいう場面で投げることが今までも多かったので、いつも通りしっかり投げれたと思います。(この球場で投げるのは)中学生の時以来です。(地元の友達も来ていた)来ていたと思います。(東洋のユニフォームを着て投げたことは)地元の友達とかに野球してる姿を見せたことないので、野球してる姿を見せられて良かったです。(ご家族は)両親と姉が二人来ていました。(一部上がって松山で投げる夢がかなって結果も出せた)一番はチームが勝つことなので。自分はどこで投げてもいつも通りです。


監督:彼には相当プレッシャーをかけていた。結果出さないと地元帰さないよって。オープン戦でしっかり結果を出したから連れて来た。地元だからではないです。力があるから連れてきました。(加藤慶のどこを評価しているのか)僕の感性ですかね。抑えるだけじゃない。点を取られることもある。けど、そこばっかりを見ていない。投げてる姿とか日常生活とかですかね。(今日はどの球種も腕を振って投げきっていたが監督はどう見ていた)本当にいつも通りです。彼はハートが強い子なので、彼が打たれたらしょうがないくらいの事は思ってます。


(四国初開催の会場や試合の雰囲気)

野澤:いつも通りというか、入れ替え戦の時通りの応援で楽しかったです。

加藤慶:試合に入ったら応援も自分の力になると思って投げてるので、相手チームの応援も結構聞きながら楽しく投げてます。

井上監督:いろんな方の協力、支援で今回の松山開催ができていると思うので、そこに感謝の気持ちを忘れず。真剣勝負を一生懸命やって、見に来てくれてる観客の方々がどう判断するか評価するかですかね。今日見てると3試合とも面白かったんじゃないかな、満足されてるかなと思いました。とにかく真剣勝負を見てもらえるとありがたいです。



TEXT/PHOTO=成吉葵