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第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第15節
9月30日(土) 東洋大学朝霞キャンパスサッカー場
東洋大1-4明大
〈得点者〉(アシスト)
32分 小野田(梅澤)
〈出場メンバー〉
▽GK
川上康平(国4=JFAアカデミー)
▽DF
梅澤魁翔 (国3=大宮U-18)→70分 中村琉聖(国1=横浜FC・Y)
稲村隼翔(国3=前橋育英)
徳永祟人(国2=前橋育英)
山之内佑成(国2=JFAアカデミー)
▽MF
高橋輝 (国1=大宮U18)
中山昂大 (国3=大宮U18)→82分 渡井翔琉(国3=千葉U-18)
清水祐輔(国4=柏U-18)
新井悠太(国3=前橋育英)→68分 増田鈴太郎(国3=東海大相模)
▽FW
小野田龍剛(国4=常葉大橘)
町田悠(国3=三菱養和SC・Y)→70分 村上力己 (国2=尚志)
リーグ戦6試合ぶりの出場で活躍した清水
前半に同点弾を放った小野田
関東大学サッカーリーグ戦(以下、リーグ戦)第15節の相手は、昨年度のリーグ戦王者である明大。前期に2-0で勝利しており、シーズンダブルを狙った。先制点は明大に許してしまうが、小野田が1点を返し前半を終える。しかし後半は明大に流れを持っていかれ3失点。リーグ戦再開も黒星スタートとなった。
明大応援席の大合唱と太鼓の音がグラウンドに響く中、最初のチャンスは試合開始2分。新井が相手に倒されフリーキックを獲得。ここは清水が落ち着いて蹴るもゴール上へと流れた。その後は相手にボールを拾われ、守備の時間帯が続く。先制点は20分、相手のスローインからハイボールが蹴り込まれると、明大のFW中村にトラップの隙をつかれボールを奪われる。すぐにDF陣が戻るも走ってきていた明大の太田に決められ失点。続く31分、右サイドでロングボールを通すと、梅澤からペナルティーエリア内にいた小野田へ。小野田はワンタッチで相手DFをはがすと、右足を振り抜きポスト直撃のゴール。東洋大はこの小野田のゴールで1-1の同点に追いつき前半を折り返す。
後半はお互い一歩も譲らぬ攻撃で時間が経過した。絶好のチャンスは54分。ペナルティーエリアやや手前でフリーキックを獲得すると、直接ゴールが狙える位置での好機に清水、稲村らが話し合い、この日同点ゴールを決めていた小野田が強烈なシュートを放つ。しかし、惜しくも枠を捉えきれず。東洋大はその後も果敢にシュートするも明大の守りは厚く、何度も止められてしまう。再び得点が動いたのは69分、左サイドで相手にスローインを与えると、明大の田中と中村にワンツーで守備をかわされ痛恨の失点。東洋大は直後にDF中村とFW村上を投入し、73分にコーナーキックを獲得するなど攻めの姿勢で試合を進めたが、試合の流れは一気に明大へ。75分に右サイドでクロスを上げられると、ヘディングで折り返したボールをうまく押し込まれ3失点目を喫(きっ)し、81分にもゴールを許すと反撃できぬまま1-4で敗れた。
強豪・明大に奮闘するも後半瞬く間に3失点を許し敗戦した東洋大。小野田は「常に相手のペースで、東洋らしいプレーができなかった」と試合を振り返った。次節は現在リーグ首位の筑波大と対戦。今回の反省をふまえてより強くなったチームの姿を期待したい。
■コメント
・井上監督
リーグの中断明け、そしてホームゲームであったところからしても悔しい敗戦となりました。1、2点目の失点が好ましくない仕方の失点だったことと、後半の10分間の間に立て続けに失点をしてゲームが決まった形になり、特に守備に重きを置いてトレーニングをしてきた週のゲームでの4失点。非常に課題の残る試合となりました。
(追いついて、2失点目をするまでは上手く試合を進められていた)
そうですね。自らの失点で崩れることなくしっかりと追いついて、後半の立ち上がりも内容的には五分の試合展開だったのかなと思います。何も崩されたということは無かったところからの2失点だったので、そこからですね。3点目のカウンターで少し顔が下を向いた感じがありますけれども、70分くらいまでのゲームはそこまで悲観的な内容では無かったかなと思っています。
(サイド攻撃が対策された結果として選手たちは2トップへのロングボールを使った攻めを見せた。危険なシーンも作れていましたが、井上監督から見てどのような感想をいだきましたか)
いろんな対策をされてきたなという印象は受けました。その中で少し高橋(輝)のサイドの立ち位置を変えて、攻撃の起点を作ろうといった中での得点だったので、その部分では上手く機能したなとは思います。ですが、相手のゴール前まで(攻める)の回数はそれなりに行けているけれども、シュートで終われていないというところは少し課題かなと思います。
(どのようなつなぎをすればシュートまでの回数を増やせるか)
チームとしては、CBの背後を狙っていきましょうという中で、縦方向にボールを入れるか、それともサイドから、外から入れようかというのは攻撃の時によって変わってくるとは思う。でも、最後の縦パスの精度は、もう少しダイレクトに選手に付けると良かったかなとは話をしました。
(清水選手も後半から村上選手に上手く縦パスを通せるようにはなったという話をしていた)
相手の背後の狙いは積極的にやってくれましたし、それが狙いで(村上は)交代で入っていったので、非常によくやってくれたと思っています。
(中断前に比べて、小野田選手のFWとしての怖さが増したように感じました。中断期間中に彼に求めたプレーは)
中断前は最前線でのプレーを要求していたのですが、前の組み合わせを変えて、最前線に張り出しているというよりかは、1.5列目くらいのところでポジション取りをしながらボールを受ける。またはボールに向かって持つという回数を増やそうということで、ポジションを変えているという形ですかね。本人もその形がやりやすいというので、バリエーションの一つとしては十分機能するんじゃないかなとは思います。
(セカンドトップ気味にしたという形)
はい、そうですね。
(リーグ戦初出場の町田選手。1点目の起点にもなりましたが、彼のプレーは井上監督にはどのように映りましたか)
なかなか出場機会に恵まれなかったのですが、この中断期間中にもインパクトを出していましたし、リーグ再開に向けてのトレーニングゲームの中でもいいプレーが見られたので。前線で起点になることを求めました。前半得点になったところには関われたのですが、それ以外のところ。後半の立ち上がりから交代するまでの方が、(攻撃に)関わる回数が作れたのではないかなと思います。もうちょっと前半できるのではないかなと思っていたんですけど。
(尻上がりには良くなったけど、もう少し早く後半のプレーをできればよかった)
そうですね。段々相手に対しての自分の良さの出し方が慣れてきたというか、試合の中に入れてきたのかなとは思います。少し時間がかかったかなという印象でした。
(点差が付いても選手たちは最後までゴールを狙いに行った。そこの姿勢は評価できるものですよね)
点差がかなり離れているので、得失点のところも含めると1点でも差を縮めてというところもありますし、1ー4のままゲームが終わってしまうのは、彼らにとっても避けたい気持ちが出てたのではないかなと思います。
(その気持ちが次のゲームでは勝ち越し点や先制点につながる可能性もある)
そうなってほしいなとは思いますけれども、3点差をあの時間帯でひっくり返すというのは相当なエネルギーが必要なので、それがきっちり出せるようなことを考えないとな、とは試合の後には考えています。
(本日の試合では清水選手も久しぶりの出場。中断期間と怪我の期間が被りましたが、清水選手にかけた言葉などはありましたか)
中断前の試合くらいから怪我で抜けたりとか、中断に入って復帰するまでに時間もかかったというのもあるのですが、その間に彼の来年度の大宮への加入が決まったりとか、将来的な進路が明確になった、というのもプラスに働いているかなと思います。怪我で少し気持ち的に焦りが見えるところはありましたけれども、徐々に回復して、自分のパフォーマンスを出せるという状況までは戻してこれたのかなと。特に言葉をかけたかといったらそんな事はないと思います。
(稲村選手からけがで焦っていた時に井上監督からの言葉で、メンタルの落ち着きを取り戻せたという話もあった)
それは...受け取り方次第ですね。その時の選手のタイプにもよりますし、選手の精神状態によって、ケースバイケースかなと思います。特にけがをしているから、ということはあんまり。ちょっと焦りが見えたりした時には、慌てて復帰すること自体がプラスになるのか、もう一つ将来を考えるのかという話をするときはありますが。それもケースバイケースですね。
(選手に簡単に答えを与えずに考えさせるという話も聞きましたが、そのような選手のメンタルコントロールはどこで学びましたか)
どうですかね(笑)。学んでいるのか...まだまだ彼らと同じように毎回毎回ぶつかってくる問題に直面しながら、上手く解決するときもあるし、選手と同じように成長していかないとと思っています。
(それこそチーム目標と同じく一歩前進)
そうありたいですよね。前進できればいいんですけど、今日みたいに大きく後退する日もありますからね。
(次の筑波戦に勝てれば大きな前進)
そのように言える結果に持ってこれるように頑張りたいなと思います。
(次の筑波の攻撃陣は強力な選手が多い。今回の明治も攻撃陣の強さがあったが、筑波戦につなげられるポイントは)
明治らしさを出させてしまったなという反省があるので。次は、より個々の能力が高い攻撃陣がいるので、彼らのリズムで展開されることは少なくしたいなとは思いますけど、なかなか強力な相手ですからね。
(筑波らしさを出させない)
そうできればベストですかね。
(次節に向けて)
結果的には完敗。内容的にそこまでとは思わないですけど、自分たちが積み上げていこうという守備のところが出せなかったというのは、謙虚に反省をして、次の強力な攻撃陣のチームに対してどれだけ失点をしないで、タフなゲームに持っていけるか。それが一つの目標になるかなと思います。
・小野田龍剛(国4=常葉大橘)
前半から常に相手のペースで、東洋らしいプレーができなかったなというのと、球際とか移り変わりのところで全部相手に上回れたなと思う試合でした。
(最初からロングボールに対して2トップが走る形だったが、攻め方は決めていたか)
決めていたわけではなかったですけど、まず鉄則としてディフェンスラインを下げて空いたところからっていう狙いはありました。けど、また改善が必要だなと思いました。
(前半の得点シーンは、最初のタッチで上手く相手をはがした形だったが)
あれはイメージ通りのゴールでした。
(清水選手から何度も配給されたロングボールはどうだったか)
いつも練習からボランチの選手とかCBの選手は自分を見てて(今日も)いいボールが入ってきたんですけど、また次の試合から自分がゴールにつなげられればなと思います。
(次の試合に向けて)
今回出た課題はすごく多いんですけど、改善して次は首位の筑波ということで、今回の試合よりも気持ちを引き締めて頑張っていきたいと思います。
・清水祐輔(国4=柏U-18)
3か月前にけがをして練習の中断があり、より強くなって臨めた試合だと思いましたが、明治の方が強度もうまさも上回っていた結果かなと思います。
(GKまでプレスをかけにいくなどの気合の入ったプレーは久しぶりのリーグ戦だったからか)
そうですね。(コンディションは)良くなかったが、動く・走るができると思うので、まだまだコンディションを上げないといけない。もっともっと上げれると思うので、元に戻って成長できるように頑張ります。
(今日は中盤からロングボールを小野田選手や町田選手のツートップに向けて蹴り込むシーンがあったが、基本の戦術だったのか)
相手も結構悠太(新井)への対策で左サイドはケアされていて、自分の右側がフリーになると分かっていたので、そこでもっとうまく配給できたり飛びだしたりすれば良かったです。
(理想の配給は)
後半何回か代わった村上が出場していますが、中央突破というか、中でCBからもらってFWに向かってシンプルな縦のラインで。相手は警戒しているので1番難しいと思いますが、そこでパスを通せれば点に直結するので、そういうプレーが増えればいいなと思っています。
(中断期間中はどのようなところを鍛えたか)
守備のところで明治の強度が高いと分かっていたので、相手のFWに入った時のボランチのプレスバックだったり、中盤に入った時の自分たちのFWのプレスバックを囲んで取るというのは、結構言われてきたりしていました。逆に攻撃では取った後は、相手の陣形が崩れているのでそこでいいパスをサイドハーフなりFWなりに通せば一気にチャンスになるので、この2つは重点的にやってきたが試合であまり生かせませんでした。
(2失点前までは良い形で明大を追い詰められていたが、ギアチェンジなどはあったか)
70分まではいい勝負だったが、点を取られても自分たちも2点取れるチームにならないといけないなと思います。後半、相手も自分たちもきつい中で、どれだけ相手を上回ることができるのかが大事だと感じました。
(次節に向けて)
次節は首位の筑波で相手も1戦も落とせない状況だと思いますが、今日出た課題をしっかり克服して練習からチーム全員で。出場している自分たちもメンバーを代えられるような競争が大事かなと思います。
[次節試合予定]
第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第16節
10月7日(土) vs筑波大 筑波大学第一サッカー場 14:00キックオフ
※関東大学サッカー連盟公式Youtubeチャンネルにてライブ配信が予定されています。
TEXT=鈴木真央、青柳そよか PHOTO=髙橋生沙矢