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2023.11.12
硬式野球

[硬式野球] 岩崎、井上監督の思いに応える!駒大打線を1安打に抑え残留に王手

東都大学野球 秋季1部2部入替戦・駒大1回戦

11月11日(土) 神宮球場 

○東洋大4-0駒大



東洋大
駒大


二塁打:水谷(五回)


○岩崎、一條ー後藤


・打者成績

打順守備名前
(右)水谷(営4=龍谷大平安)
(中)秋元(済2=木更津総合)
(三)宮下(総2=北海)
(一)池田(営2=三重)
(二)吉田(営2=龍谷大平安
(指)嶋村(法3=栄北)


打指船曵(総3=大阪桐蔭)

(遊)石上泰(営4=徳島商)
(捕)後藤(法4=京都学園)

(左)山田(総1=木更津総合)


打左宮本(総4=大阪桐蔭)



32


・投手成績

勝敗名前球数四死球三振
岩崎(総3=履正社)8 2/3126

一條(総3=常総学院)1/3



盛り上がりを見せるベンチ


126球1安打無失点の好投で勝利に大きく貢献した岩崎


水谷は3打数に2安打主将としてリードオフマンとして

打線を引っ張った


宮下の出塁がチャンスをつくった


最終回2死満塁で登板し空振り三振を奪った一條


冬本番を思わせる厳しい寒さを感じる気候の中、1部残留を懸けた運命の入替戦が、神宮球場で行われた。相手は春の入替戦でも対戦し、2連勝をおさめた駒大。来シーズンも1部で開幕を迎えるためにチーム全ての力を結集させ、闘志を燃やし挑んだ。


初回、先頭水谷(営4=龍谷大平安)がフルカウントから四球で出塁すると、秋元(済2=木更津総合)の犠打と池田(営2=三重)のヒットで2死一、三塁の好機を早速つくる。しかし、続く打者が投ゴロに倒れ得点にはつなげられず。先制のチャンスを生かせない。


一方、この重要な一戦で先発のマウンドに上がったのは岩崎(総3=履正社)。初回、二回と三者凡退で相手打線を完璧に抑える好調の立ち上がりを見せる。


三回まで互いのスコアボードに0が刻まれていく中、4回。宮下(総2=北海)の左安打と、池田の右安打でチャンスを広げる。無死一、三塁で続く吉田(営2=龍谷大平安)が三塁手前にたたきつけるように放った内野安打の間に宮下が生還し、東洋大を勢いづける貴重な先制点をもたらした。


追加点を狙う打線は5回、主将水谷がチャンスメイク。勝利への執念をバットに乗せ、右中間への2塁打を放つとチームの頼もしい主将は二塁上でガッツポーズ。喜ぶベンチの仲間に応えた。続く秋元の中安打、宮下の右安打の3連続ヒットと相手の捕逸で2得点をあげる。


一方の岩崎は5回を終え、駒大打線を無安打に封じる好投。打たせて取る落ち着いた投球でスコアボードに0を並べ続ける。しかし3点リードの6回、味方の失策が重なり2死一、二塁とこの日初めてのピンチを背負うも後続を中飛に打ち取り、ノーヒットノーランを継続させ、相手に得点を許さない。リードを保ったまま7回へ。


東洋打線はなおも攻撃の手を緩めない。7回の攻撃、四球で秋元が出塁すると、宮下の犠打、池田の中飛と相手の暴投で追加1得点。4-0とリードをさらに広げた。


8回は守備陣の活躍が光った。二塁手吉田、遊撃手石上(営4=徳島商)、三塁手宮下の3選手が持ち前の守備力の高さを見せ、3者連続凡退。好投を続ける岩崎を頼もしい野手陣が救い、ナインは笑顔を見せた。

 

 リードを守る、初戦を取る、記録がかかるなど重要な最終回。「意識してしまった」と先頭打者に今試合初安打を許し、ノーヒットノーランが終わり、なおも駒大の粘りの攻撃に苦戦を強いられ2死満塁のピンチに。最後は代わってマウンドを任された一條(総3=常総学院)が空振り三振に抑え、試合終了。初戦を制した。


試合後の会見で井上監督は、今季全カードに先発登板をし投手陣を支え、重要な入れ替え戦第1戦のマウンドに上がって8回まで無安打無失点投球を披露した岩崎に「最高の準備をしてくれて、最高のピッチングをしてくれた」と今季最高の褒め言葉を送った。今日の投球は「来年は自分たちが引っ張っていく」と語った岩崎の強い思いが現れた投球だった。


一回戦は勝利をおさめ、1部残留に王手をかけた東洋大。明日の2回戦について、「公表してもいいですよ、明日は細野で行きます。」と日本ハムドラフト1位指名、東洋大のエース細野(総4=東亜学園)をマウンドへ送ることを公言。水谷世代は4年分の成長を示す「最後の集大成」ともなる。明日勝てばこのチームでの最後の試合に「もう出し切ってもらうしかない」と井上監督は選手たちに思いを託した。スタンドには部員が応援に駆けつけ、力強い応援でナインを後押しした。戦っているのはグラウンドにいるメンバーだけではない。東洋大チーム全員で一丸となって勝利を掴み、必ず1部残留を決める。



■コメント

・井上監督

(岩崎くんが素晴らしいピッチングをしてくれた)何も言うことがないです。最高の準備をしてくれて、最高のピッチングをしてくれた。(最後変えるとこを迷ったのか)あれは僕のミスで(笑)マウンドに行く回数を忘れちゃって。変えることになってしまった。(8回までノーヒットノーラン)丁寧に低めに投げて。今日はゴロが結構多かったと思う。(一戦目を岩崎に任せたのは)色んな思いがあって、戦略もあって。四年生が抜けるので、三年生で勝ち切りたいっていう思いと。戦略の部分で、細野-岩崎-細野-岩崎でリーグ戦やってきて。青学大の時は入れ替えたんですけど。駒澤さんがどう思っていたかわからないですけど、細野か野澤だろうなって大半はそういう予想だったと思う。僕的には心理戦だと思っているので、先手を取りたかった。岩崎だからといって、向こうの打線が変わるなんて思ってないですけど。細野じゃないんだ、野澤じゃないんだってそこの心理戦を取りたかった。リーグ戦終わった直後に岩崎に言ったんですけど。誰にも口外するなと。口外したら使わないからと。誰にも言えないのは本人苦しかったと思うんですけど、それも彼のメンタルを鍛えるいい修行だと、そういう話もした。本当にいい準備をしてくれて、いい投球をしてくれた。

(細野も準備はしている)もちろんです。怪我とかではないです。公表してもいいですよ。明日は細野で行きます。

(明日は4年生投手陣に奮起してもらう)そうですね。(そんな期待を)最後の集大成というか、もう出し切ってやってもらうだけですね。(岩崎のメンタルなら乗り越えられると信じていた)思ってました。だから一戦目を任せました。(心理戦といっていたが今日の結果は大成功?)わからないですよ。ただ、少なからず細野じゃないんだって絶対思ったはず。それでいいんです。皆さん(メディア)も思ったんじゃないですか。(入れ替え戦の重々しさがあり、プレッシャーがあり、試合の終盤ではノーヒットノーランへの思いもあった)どうなんですかね、ベンチで見ててもそんな雰囲気を無かった。記録も大事ですけど、チームの招致が大事なので。(花田もベンチ外)4日前に怪我してしまって。



・岩崎

(最後まで投げたい思いはありましたか)最後まで投げたかったのは投げたかったんですけど、監督の判断なので仕方ないです(笑)(9回は意識してあがりましたか)そうですね。意識してしまったから打たれたっていうのはありますね。6回、7回くらいはあまり考えずに、力感なく投げてたのでそれがいい方向にいってたのかなって思います。(ノーヒットノーランの経験は)7回コールド試合で高校の時ありました。(9回のマウンド上がるのは初めて)そうですね。(開幕週で完封もされてましたが、今日はリーグ戦と比べてどうだった)途中までストライク先行で行けてたので。守備も助けてくれましたし、投げてて楽しかったです。(駒大主将・岩本がカットボールに苦しめられたとコメント)カットボールもそうですし、今日は変化球多めに行こうって話してたので、それが低めに決まってたので、いい方向にいってたのかなって。(入れ替え戦一戦目を任されることへの緊張)緊張もあったんですけど、一戦目任せてくれた監督さんとかに、期待に応えようって気持ちと来年は自分たちが、三年生が中心になってやっていかなきゃいけないので。今日、ベンチに入ってた投手も三年生以下なので。そこで勝てたのは良かったですね。(明日は細野先輩が投げる)普段教えてもらっている立場なんですけど、細野さんもライバルって言ってくれてるし、いいプレッシャー与えられたかなって思います。(今年一年やってきて、来年は自分がエースだって気持ちで投げたりしていますか)こんなこと言ったらダメですけど、細野さんに負けてるって気持ちはないんで。来年も引っ張っていけたらいいなって思います。(監督が最高の準備と言っているが、どんな準備をしたのか)三週間くらいしかなかったので。三週間でいきなり技術面、球が速くなるのか言ったらそれは難しいことなので。気持ちの面と今できる最高の体のケアやトレーニングをしてきました。(監督に口外するなと言われて苦しかったですか)親にも行ってないので。今日、兄と母が来てくれてるんですけど、一昨日の夜(9日夜)に言いました。



TEXT=北川未藍・一ノ瀬志織

PHOTO=成吉葵・青柳そよか・一ノ瀬志織