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平成27年度東都大学野球秋季2部リーグ戦・東農大2回戦
9月13日(日)東農大グラウンド
東洋大0-3東農大
三回無失点と好投した甲斐野
会心の投球だった。いきなり三塁に走者を背負った状態からの登板した甲斐野(営1・東洋大姫路)。しっかり腕を振る、それだけを考えて投げ込んだ。2球で追い込むと、3球勝負で挑み見逃し三振。ここから波に乗ると、九回途中に後続の投手にマウンドを譲るまで、相手打線を封じ込めた。
昨日は三番手として登板するも、適時打を浴びわずか4球で降板。「本当に悔しかった。もし登板するのであれば結果を残そうと思っていた」。今日の甲斐野は一味違った。
これで今季3試合連続登板の甲斐野。しかし、春に登板の機会は無かった。「高校時代では打ち取れていたところが、打ち取れない」。春先は高校と大学のレベルの差に戸惑っていた。そこで彼の中に芽生えたのは「数段と意識するようになった」というコントロール。大学進学後、なかなか思うようにいかなかったが、その意識が甲斐野を変えた。この試合、対戦した11人の打者に対して、初球をストライクで入ったのが8人。ひと夏を越え、気持ちの変化がようやく結果に結び付いた。だが、「今日の結果に満足することなく、次の試合もいい結果を残せるように頑張っていきたい」と気を引き締めることも忘れなかった。
甲斐野の左手に身に付けられていたグラブ。ウェブの部分にどこか見覚えのあるマークが。甲斐野に聞いてみると「原(営4・東洋大姫路)さんのもの。自分から欲しいと言った」と即答。やはりそうだった。春のリーグ戦で原が使用していたもので「もらった以上は結果を出さないといけなかったので、結果が出て良かった」と安堵の表情を見せた。エースから未来のエースへ渡ったそのグラブ。原の言葉では表せない期待が込められているはずだ。「いつか追い越したい」先輩の大切なグラブと共に、甲斐野の成長は続く。
■コメント
・甲斐野(営1・東洋大姫路)
(今日の登板は)監督さんから今日も行くぞと言われていたので、準備はしていた。昨日は4球で降板して本当に悔しかった。もし登板するのであれば結果を残そうと思っていた。(自己最長のイニングを投げたが)疲労は全く感じなかった。城戸さんと後藤田さんがしっかり腕を振ってこいと言ってくださったので、それを意識して投げた。城戸さんとバッテリーを組んだのは初めてだったけれど、練習中からも仲良くさせてもらって、しっかりコミュニケーションも取れていた。だから、初めてとは思えないくらいスムーズに投げることができた。大学に入ってから、高校とは違ってバッターもしっかり振ってくるし、実力も高いと感じていた。それについていくために、コントロールは数段と意識するようになった。失投すると、今日の左翼線に打たれたように捉えられてしまう。高校時代では打ち取れていたところが、打ち取れないとも感じている。3試合登板しているけど、今はとにかく全力で投げることを考えている。(今日つけていたグラブは)原さんのもの。自分から欲しいと言った。このグラブを使わせてもらえて、ありがたい。もらった以上は結果を出さないといけなかったので、結果が出て良かった。原さんは厳しさもあるけど、その中に優しさもある先輩。いつか追い越したいとも思っている。今日の登板に満足することなく、次の試合もいい結果を残せるように頑張っていきたい。
TEXT=菅野晋太郎 PHOTO=二又士隆