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2024.06.21
水泳

[水泳]パリパラリンピック事前インタビュー 田中映伍選手&岸本太一コーチ 緊張に弱くても「自分の泳ぎ」で自己ベストを目指す!その先に金メダルを!

 今月18日、東京都内にて、パリパラリンピック内定を決めた田中映伍(福社2=二宮)選手、鈴木孝幸(GOLDWIN)選手らによる合同練習が公開された。(取材日・6月18日)


練習前に照れながらも撮影に応じてくれた


◇田中映伍 選手

神奈川県茅ヶ崎市出身。東洋大学所属。

【戦歴】2021年アジアユースパラ競技大会50mバタフライ、200m個人メドレー優勝。杭州2022アジアパラ競技大会50m背泳ぎで日本新記録樹立。マンチェスター2023世界選手権50mバタフライ、200m個人メドレーにて日本新記録樹立。現在4種目において日本記録を持つ。

 パリパラリンピックでは50mバタフライ、50m背泳ぎ、100m自由形に出場を内定した。


 中学1年生で水泳を始めた彼は、自身の性格上、人と比べることが好きではないという。それでも水が好きで水に浮いているだけで楽しい、そう思えるからこそ競技と向き合い日々練習を積み重ねている。ともに両上肢欠損でS5クラスのライバル日向楓(宮前ドルフィン)と切磋琢磨しながら、これまで数々の日本記録を塗り替えてきた。パリ大会においても、出場種目すべてで対決するという2人。日本勢のメダル争いだけでなく、日本人同士の熱い対決にもぜひご注目いただきたい。



ーー鈴木孝幸選手(GOLDWIN所属)との練習を終えてみて

 いつも(一緒に)泳がせてもらっているんですけど、隣にいてもらうと安心して泳げるなと思います。


ーーどんなところが安心するのか

 たぶん鈴木さんの人柄がすごく良くて、そのおかげなのかなと思います。


練習に励む鈴木(左)と田中


ーー鈴木選手とどんなことを普段話すのか

 前回話したのは、鈴木選手でも何回も出ているパラリンピックなんですけど、それでもやっぱり緊張すると言っていたので、緊張はもうするものだから、どうやってそれと向き合って行くのかという風にアドバイスをもらいました。


ーー鈴木選手などのトップアスリートの先輩と一緒に泳げる環境はどうか

 本当にありがたいなと思っていて、自分がきつい時とかにも「まだいけるぞ」という風に隣で励ましてもらえるのでいつも感謝しています。


ーー鈴木選手の姿を見て参考にしていることはあるか

ないかもしれないですね、ないと思います(笑)



ーー東洋大を選んだ決め手は

 練習をできる環境で、NTCって近くにあるんですけど、そこで練習したいなあっていう風に考えていて、そこから通える圏内の大学を探したときに自分の学びたかった社会福祉があったので東洋大学を選ばせていただきました。


ーー大学という環境の変化で以前と変わったことはあるか

 練習は大学というよりNTC(ナショナルトレーニングセンター)でやっているんですけど、そこだと水深3メートルで飛び込み台があるので毎日飛び込みの練習ができるようになったのと、あと練習場所と大学の距離が近くなったので練習に使える時間が増えたかなと思っています。


ーー環境が変わって具体的な変化はあるか

 全体的に調子も良くなってきて、体力面でもずっと課題だったんですけど最近は体力もついてきたという実感もついてきているので、そういうところは良くなってきているんじゃないかなと思います。


練習で見せた自由形


ーーご自身は緊張する方か

 緊張しますね。緊張するものだと思って、あとはその緊張の度合いがパニクらない程度に緊張していい状態に持っていければいいかなと思います。


ーー試合前のルーティンなどは

 大会前のルーティンとかは自分はそんな決まったのがないんですけど、鈴木さんがどうしているのかもあんまわかんなくて、(笑)


ーー体力づくりで意識していることは

 練習は鈴木選手と一緒にやらせてもらっていて、鈴木選手の練習だとやっぱり50(m)の種目というよりは100(m)とか200(m)寄りの練習をすることが多いので、そういう練習をすると今までは最後まで持たなかった体力が練習でも持つようになっていたり、最後の最後まで出し切ることができるようになってきたというところで、練習の成果が出ているじゃないかなという感じです。

 

ーーこれから強化していきたい部分は

 自分の課題としては、前半のスピードがもともと持ち味で、ただそれが最近1年くらい出せていないのでその持ち味をちゃんと出しながら、最近身についた後半の体力で後半もブレずに泳げればいいかなと思います。


ーーその具体的な練習法は

 スプリント練習をほとんどしていなかったので、これからどんどん増やしていって、ちゃんとスピードを出せるようにしていきたいと思っています。



ーーパリ大会ではどの種目が本命か

 本命としては50m背泳ぎなんですけど、日向選手とは全種目かぶっているので全種目(彼に)負けないように頑張りたいと思います。


田中にとって今大会の本命種目、背泳ぎ


ーー23年世界選手権では2人で頭を丸めていたが、今年その予定はあるか

 今年は、、多分しないかなと思っています(笑)


ーーパリ大会で楽しみにしていることは

 もちろん大会自体は楽しみですけど、開閉会式、出れるかわからないんですけどそれはすごく楽しみにしていて。アジアパラ(杭州2022アジアパラ競技大会)に出た時に、開会式は次の日が大会で出れなくて、閉会式は自分が体調不良で出れなくて。そういう大きい大会の開閉会式に出れたことがないので、パリでは出れるのかなあ、と楽しみにしています。


ーーパリ大会は有観客だが

 そうですね。自分本当に緊張に弱いので、観客からの声援に緊張しないように、(声援を)自分の力にできるように頑張りたいと思います。



ーーご自身にとって水泳とはどういものか

 自分の好きなものですかね。好きなスポーツ、やっていて楽しいなと思っています。水が好きなので、浮いているだけで水泳いいなあという感じです。


ーー憧れ、尊敬する選手は

 中国の選手なんですけど、鄭涛(テイトウ)選手です。引退しちゃった選手なんですけど、同じ両腕のない選手ですごい速かった選手ですごい憧れています。


ーー今後の目標は

 初めてのパラリンピックなので緊張すると思うんですけど、ちゃんとその中で自分の泳ぎをしてベストを出せるようにっていうのと、その先の目標としてはロスでは金メダルを獲れるようにという目標で頑張っています。


ーー応援してくれる東洋大生へメッセージをお願いします

 できる限り頑張りますので、応援よろしくお願いいたします!


談笑する岸本コーチ(左)と田中


◇岸本太一 コーチ


ーー田中選手の指導方針は

 本当は、学生なので部活動に本来は入って他の学生とクラブ活動できたら一番いいけど、それができないので、できないというよりかは本人も自分のそういうカテゴリでトレーニングしていきたいっていう気持ちもあるから、それでナショナルトレーニングセンターで一対一でやることも多いですし、そこに今日来ていた鈴木選手も来て、他の選手もたまに合同でやるから、「マンツーマンでやる良さ」と、あと「チームでやる良さ」と、そういうものを本人にいろいろ知ってもらって、その中でまず学生としても成長してほしいし、先輩選手からいろんなことを学んでもらってアスリートとしてのレベルを上げてほしいなという、成長してほしいなという気持ちで指導はしています。


ーーコーチから見て現時点での田中選手のコンディションは

 状態は本番に向けてすごく良くなってきて、自己ベストを出すと世界で5番目くらいに入れる(ほどの実力がある)ので、5番から4番に上げられるように。4番にいればもしかしたら何かがひっくり返って3番に入ってきたりだとかチャンスが巡ってくるので。状態はいいからその状態を本番でしっかり出せるように、気持ちの部分のケアもしながら。


ーー田中選手に本番で期待することは

 実は3月の(パラリンピック)選考レースで大失敗してるんですよ。選考会ってすごく緊張するんですね。今まで選考会っていうのを迎えたことがこのレベルではなかったので、緊張感とかを初めて味わって大失敗しているんです。だから、本番で期待することは、今までやってきたことを大きな舞台で落ち着いて出し切ってほしいな、そういう気持ちです。


パリパラリンピック競泳は

2024年8月29日〜9月8日開催予定です。

熱い応援よろしくお願いいたします!


TEXT、PHOTO、聞き手=望月桜、鈴木真央

ジャパンオープン2016
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