スポトウ｜東洋大学スポーツ新聞編集部

東都大学野球 秋季２部リーグ戦 駒大戦 第３回戦

10月29日（火）UDトラックス上尾スタジアム 

◯東洋大４×－３駒大

岩崎、島田、一條ー政所 

本塁打：池田、花田（九回）

・打者成績

・投手成績

サヨナラ打を打った花田

力投を見せた島田

打線に火をつけた池田の一発

タイブレークでの落ち着いた投球を見せた一條

表彰式の主将・嶋村（右）と副将・岩崎（左）

スタンドも声援を送り続けた

集合写真

会見の井上監督（中央）・花田（左）・一條（右）

勝てば優勝の大一番。春季リーグ戦の最終戦と同じ上尾の地で、共に頂点を狙う宿敵・駒大との最終決戦が行われ、延長十一回に及ぶ死闘の末、息の詰まる接戦を東洋大が制した。

　この試合先発登板の岩崎（総４＝履正社）が、初回から駒大打線につかまり２失点。優勝をかけた重要な一戦は序盤からリードを許す展開となる。

　二回からは代わって島田（総３＝木更津総合）がマウンドに上がる。ここから島田の気迫と粘りの力投が始まる。予想より早い登板となった中で、走者を背負いながらも丁寧に球を投げ込み八回まで無失点。「焦らない気持ちでマウンドに向かいました。１点も許さないように投げていました」とマウンドでの心境を振り返った。

　なんとか得点を挙げたい打線は六回、山田（総２＝木更津総合）が四球で出塁すると、投手牽制の悪送球の間に一気に三塁に到達。この１死三塁の好機で続く髙中（総１＝聖光学院）が左犠飛を放ち、１得点。０が並んでいたスコアボードに１を刻んだ。

　逆転を望み追加得点を狙うも、その後打線からは快音響かず。九回表に駒大打者に本塁打を放たれ、１－３と２点を追う展開で試合は九回裏の攻撃へと進む。

　得点を挙げられなければ敗戦のこの場面。東洋の主砲たちが目を覚ます。反撃の第一手目は先頭打者の４番池田（営３＝三重）。相手投手が投じた四球目、真っ直ぐを弾き返し右越え本塁打を放った。後続の２者が打ち取られ２死に迫られるもここで終わる東洋打線ではない。この緊迫した場面で、池田に続き球場に快音を響かせたのは花田（総３＝大阪桐蔭）だった。粘った八球目を振り抜くと打球はいい角度で左翼へ上がった。試合を振り出しに戻す、この回２本目の本塁打。チームを救う大きな一打にナインは大盛り上がりを見せた。長く、耐え続けた悔しい時間をこの一振りで晴らした。「このリーグ戦でずっとチームに迷惑かけてきて勝つことしか考えてなかったです」と語った池田。やはりチームには頼れる主砲たちの一発が必要だ。

　３－３で九回を終え、試合は延長タイブレークへと突入する。

　息の詰まる延長戦では、一條（総４＝常総学院）が登板し、十回は両チーム無得点。１つの安打も許さない完璧な投球で相手を圧倒し、十一回も抑え攻撃に望みを託した。その裏、試合を決めたのもやはり彼だった。２死満塁で打席に入ったのは、前の打席で本塁打を放った花田。緊張の一瞬。ガッツポーズを見せたのは東洋の選手たちだった。花田の左決勝適時打でサヨナラ勝利。この瞬間、東洋大の優勝が決定した。ベンチから飛び出したナインに揉みくちゃにされる花田。「チームに迷惑をかけてばっかりだったので、最後に決めて、みんなが喜んでくれて本当にうれしい気持ちでした」と語った。選手の中には涙するものもいた。悲願の２部優勝、入替戦神宮への切符を勝ち取った。

　主砲の一発と粘りの投手陣、そして堅い守備。全員野球で戦い抜いた。花田や山田、髙中ら野手陣の数々の好守で相手のチャンスの芽を摘み、得点を許さず流れを渡さなかった。戦っていたのはユニホームを着た選手だけではない。應援指導部、硬式野球部の部員、球場に駆けつけ熱い声援でナインの背中を後押しした全ての人々、まさにチーム東洋大全員で手にした大勝利だった。試合後に嶋村主将（法４＝栄北）も「応援がＭＶＰです」とチームを勢いづける声援への感謝を口にした。

　入替戦へと駒を進めた東洋大。指揮官は「うれしい反面、まだ挑戦権を得ただけ」と気を引き締めた。１部復帰を目指す勝負の試合は神宮球場で行われる。帰ってきた聖地神宮で東洋大の選手たちの最高の笑顔を見届けたい。

■コメント

・井上監督

ーー劇的な勝利でしたが今の素直な気持ちは

うれしい反面、まだ挑戦権を得ただけですので、もう１回気を引き締めてやらないと。負けちゃうと思うので。その農大（東京農業大学）さんも一期、一部でやっているわけですから、力を持っていると思うのでそれ以上に、うちが粘り強く、胸を借りるつもりでやるしかない。

ーー選手の粘りは評価しますか

もちろんです。本当によく粘りましたよ。

ーー９回ツーアウトの時の監督の心境は。

それはもう、監督なので腹はくくっています。それでもやっぱり花田は、一発があるバッターなので、向こうのピッチャーが一発出るところに投げてくれた。でもそれを打った花田はすごいと思います。

ーー一條投手もタイブレーク２イニング連続で点を与えなかった

さすがドラフト３位です。

ーー今季５回目のタイブレークで勝ったが選手達はよくやったと思うか。

本心はタイブレークに行くまでに決着をつけてほしいっていうところはありますけど、粘り強くはなっているんじゃないかなと思います。ピッチャーが特に粘ってくれていますし、バッターがもう少し粘れるようになるといいと思います。でもいい雰囲気でやっていますよ。

ーー選手の成長を感じる部分は。

若い力、勢いのある力が、なんとかやってくれているとは思っています。少ない４年生はそれを見守る形で、よくはなっていると思います。

１番金丸、２番中村、３番山田この辺が踏ん張ってくれて、なんとか首の皮一枚までは残って最終戦を迎えられて、最後は３年の花田、池田、島田、４年生のピッチャーが結果残してくれたので良かったです。

ーー４年生野手が少ない中でベンチ入りしている嶋村主将の頑張り、働きは

キャプテンなので外すわけにいかないです。当然、ベンチで声も一生懸命出してますし、キャプテンはキャプテンのいろいろな仕事が野球だけでなくあると思うので、当然外しはしないです。他のベンチに入れない４年生も普段はサポートに回ったりしてくれているとこもあるので、それを見ている３年生以下が４年生のためにと思ってやったかもしれないので。

・花田（総３＝大阪桐蔭）

ーー最終11回ツーアウトになってからどのような心境で打席に入ったか

正直前のバッターで決めてほしいなって気持ちは少しあったんですけど、アウトになったときは自分が決めるしかないと。まっすぐだけ待っていました。

ーー打った瞬間抜けたと思った？それを選手みんなが集まってきてどう感じたか

本当に、今までの打率を見てもらったら分かると思うんですけど、チームに迷惑をかけてばっかりだったので、最後決めて、みんなが喜んでくれて本当にうれしい気持ちでした。

ーー９回のホームランの場面。ファールを打っている間に（タイミングが）あってきた部分はあったか

そうですね。ボールギリギリでも全部振っていったことによって、最後たまたま打てたかなと思います。

ーー手ごたえは。

少し先だったんですけど「行ってくれ」と思いながら走っていました。

ーー球種は。

甘めに入ってきたスライダーです。

ーー入替戦への抱負は

入替戦の難しさは僕らが一番知っていると思っているので、この勢いを持って圧倒したいと思います。

・一條（総４＝常総学院）

ーー追いついた後、盛り上がった場面での登板だったが、どういう思いでマウンドに上がった？

先発の岩崎と島田がそれまで頑張ってきたので、僕がへまはできないと思って投げました。

ーー今日の球の走りや変化球はどうだったか

球は良かったと思います。

ーー最後に三振をとったのは

ストレートです。

ーー先ほどドラフトの話もあったが、スッキリして試合に臨めたか

あんまり考えていないので。自分は。変わらずって感じです。

ーー入替戦に向けての抱負は

僕もまた後ろのほう（の登板）になると思うので、こういうピンチの場面でしっかりと抑えて、１部に上がれたらなと思います。

・島田（総３＝木更津総合）

ーー二回からの登板でしたが、それを言われたの時の心境は、またマウンドに向かう時の心境は

元々２番手と言われていたんですが、思っていたより早い登板となったので焦らない気持ちでマウンドに向かいました。その後は、１点も許さないように投げてました。

ーー今日の体の疲れは？

状態は良くなってきていたのでいいピッチングもできたと思います。

ーー何度もピンチを抑えました、今日のご自身の投球を振り返って（よかったところなど）

要所要所で三振をとって打たせるピッチングでテンポよく試合を進めることができたので良かったと思います。最後のホームランは今後の課題にしていきたいです。

ーー入替戦に向けての意気込み

マジで勝ちに行きます

・池田（営３＝三重）

ーー本塁打打った球は

真っ直ぐです。

ーー打撃面では悔しい場面もたくさんあったと思います、その中で打席に入る時の心境は

このリーグ戦でずっとチームに迷惑かけてきて勝つことしか考えてなかったです。

ーーあの本塁打、改めて振り返ってどう思いますか

気持ちの乗ったいいホームランだと思います。

ーー入替戦に向けての意気込み

ここで勝って上がらないと意味ないので絶対に一部昇格します！

・政所（営３＝天理）

ーーまず、今日の試合を振り返って

最初から最後まで気の抜けない試合だったけど勝ててよかったです。

ーー試合中、３人の投手のリードをする中で意識したことは

ピッチャーのボールを信じることです。あとピンチの場面でも冷静にいることです。

ーータイブレークの緊迫した場面の捕手は政所選手しか務まらないと思います！ご自身の守備を振り返って

春と比べて、ひとつひとつのキャッチャー技術が安定してきて心の余裕ができるようになりました。

ーーまたタイブレーク時の心境は

とにかく最少失点でおわらせることです。

ーー入替戦に向けての意気込み

自分のやるべきことをしっかりやって必ず一部に上がります

・嶋村主将（法４＝栄北）

ーーついに優勝を決めました。改めて今の心境をお願いします

最高です！

ーー今日の試合をチームとして振り返ってお願いします

なかなか点が入らない中ピッチャー、守備でよく粘ったおかげで最後サヨナラを決められたと思います。

ーーご自身が思う今日のＭＶＰは？

ピッチャー陣の好投やホームランを打った池田、花田もそうですが全員の応援のおかげで勝てたので、応援がＭＶＰです。

ーー入替戦へ向けて意気込みをお願いします

自分たちの目標は一部昇格です。東農大なにがなんでも勝ちます！

ーー最後に応援してくれてる人たちへメッセージをお願いします

東農大戦も最後まで諦めずに頑張ります！

そして必ず一部昇格します！応援よろしくお願いします！

【東都大学野球 秋季１部２部入替戦】

11月16日（土）vs東農大

@神宮球場  14:00PB予定（第３試合）

TEXT＝一ノ瀬志織／PHOTO＝青柳そよか、山本華子 、福田和奏、高梨美遼 、一ノ瀬志織