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第97回日本学生氷上競技選手権大会の開幕まで残すところあと3日。スポトウではインカレカウントダウンとしてアイスホッケー部の皆さんのインタビューをお届けします!
5日目は3年生のFW柚木辰徳選手(ラ3=サウスケントスクール)。アメリカの高校生活の中で「自分の中で何を大切にしていけばいいのか」を考え、今につながる「チームのためのプレーを徹底する」というプレースタイルを強くした柚木選手。そして高校卒業後はプロの舞台を経て東洋大へ。インタビュー『後編』としてそのキャリアの中でのご自身の経験、そして今年最後の大会であるインカレに向けての思いをお聞きしました。(聞き手=髙橋生沙矢)
ーーアイスホッケーを始めたきっかけを教えてください。
兄貴がやっていたからなんですけど、兄貴が始めた理由が、両親がたまたま日光のプロチームの最終戦か何かのチケットをもらったみたいで、両親と幼いころの兄貴が見に行って柚木家にアイスホッケーが入ってきました。兄貴を見て、お兄ちゃんと同じことがしたいっていうのがきっかけですね。お兄ちゃんのまねっこが好きだったので同じことをというのはありますね。
ーー高校生でアメリカに留学した理由を教えてください
アイスホッケーがうまくなりたかったからですね。身長が高くてある程度のプレーはできていた、その中で自分が一番上じゃなくて、もっと上がいる中で揉まれたいというのもありました。向こうに行った中では、もちろん学業面や言語面で相当苦労しましたが、ホッケー面では小中の間強みとしていたものが武器じゃなくなり、自分のアイデンティティーを見失った期間があったというのも苦しかったところですね。
ーーアメリカ生活の中で楽しかった思い出はありますか。
アメリカの高校まではスポーツを2種類以上やる決まりがあったので、(昔に)少年野球もしていたので春には野球を選択していて、久しぶりにプレーできたのはうれしかったです。
ーーアメリカでのアイスホッケーの環境はどのようなもの
アメリカの高校のアイスホッケー選手は目標とするところが強い大学にスカウトされて、奨学金をもらって大学に行くのが一つとしてあると思っています。僕ももちろんそこを目指していたんですけど、力不足でそこにたどり着けなかったというのはあって。そんな中で「自分は何ができるんだろう」、「自分ってなにもできないな」みたいな時期もありましたし、苦しんでる中で見つけた今へつながるプレースタイルっていうのは自分としては大きいですね。
ーーそのプレースタイルを身に着けてからはプレーの充実感は変わりましたか。
そうですね…でもやっぱりチームが勝てばうれしいってのはあるんですけど、どこかで自分がもっとやらなきゃなとか、自分がもっと数字としてゴールやアシストを残せる選手になりたいなというのもありました。ですが、練習ではそこを求めていって、試合になったら勝てるチームにしたいし勝たせてあげるような選手になりたいってところで、自分の中で役割を明確にしているところはあります。
ーープロという舞台を経た上で、東洋大学への入学を決めた経緯を聞かせてください
アメリカに行って向こうの大学には行けなかった中で、アイスバックスにオファーをかけてもらいました。19歳の時に入団したものの2年でクビになってから、もう一度“プロになりたい’’というかもう一度「この舞台に戻ってきたい」と思ったのが大きいです。その中でどの道が一番そこに適しているのかを考えた時に大学を選んで、どこがいいのかなという時に、東洋が結果を出せるようになってきたチームで、これからもっと強くなっていくチームだし、スタッフ陣や施設を実際に目にしたときに、この環境だったらいい選手も集まるし、自分もその中でプレーしたらプロに戻る道は開けるんじゃないかなと思い東洋に決めました。
ーー実際にチームにいる中で、鈴木監督はどのような存在ですか。
監督自身が一番(アイスホッケーを)勉強されているし、いろんな人とコミュニケーションをとって、今のチームにとって何が一番大切なのかというのを考え抜いてくれているのは思いますし、そこに対してのリスペクトが厚いので、チームとして監督をリスペクトしているのはいい状況だなと思います。
ーー試合にもご両親が来られていますが、伝えたいことなどはありますか。
両親には感謝しかないですね。金銭的な支援というのも大きいと思いますけど、すごくいい環境に居させてもらっているというのもあります。特に留学では今でも驚くくらいのサポートをもらっていたのでそこはもちろんなんですけど、愛情的なところでも、僕からすると何不自由なく夢を追いかけるために100%で支えてくれているのはあります。中でも「お疲れ様、頑張れよ」という言葉の一つ一つに愛情を感じますし、感謝しかないです。
ーー印象に残っているご両親とのエピソードはありますか。
直接言葉にされたのかは分からないですけど、何らかの形で「お前が本気でやりたいならやりなさい」というのは言われたことがあって、その言葉の中にも愛情や「覚悟を持ってやりなさい」と教えられたと思いますし、本気になれることに対してならサポートしてくれるよって意味だと思うんですけど、だからこそ生半可な気持ちで(アイスホッケーを)やっていないですしやってきていないので、そこはすごく印象に残っています。
ーー試合に挑むにあたって大事にしていることはありますか。
規律を持ってプレーするというのは当然ありますし、自分がやりたいプレーというのもありますが、試合に挑むにあたってチームにとって必要なプレーをするのが僕の役割だというのは理解しているので、どれだけ自分をささげられるかというのは意識していますね。
◆インカレに向けて
ーーインカレへの目標を教えてください。
個人としては1つでも多くのゴール、アシストを決める。あとはチームのためにプレーするっていうベースがありつつ数字を追い求めていきたいので頑張った結果、個人賞やポイントで認められたらいいなとは思うんですけど、その前にそのベースは大事にしたいです。チームとしてはもちろん優勝なんですけど、どんな状況でもどこまで勝ちに執着できるかっていうのは大きいと思うので、試されるなと思います。
ーー注目選手を教えてください。
難しいけど複数でいいなら、4年生全員だと思います。春夏勝てなくていい本当に苦しんできた4年生で話し合って、いろんな方法を試してダメな時もうまくいったときもあるし。その中で4年生自体の仲もいいですし、高め合えるようになっているなと感じます。4年生の集大成としてどれだけチームのために徹することができるのかというのは各々感じていると思うので、そこに注目してほしいなとは思います。
ーーご自身のプレーの注目ポイントを教えてください。
チームのためにというところもなんですけど、守りだったら体でシュートを止めるみたいなところは得意にしていますし、攻めの部分はどこからでもシュートを打つというのは今年のテーマにしているので、見てほしいですね。
柚木選手ありがとうございました!!
TEXT/PHOTO=岡本后葉