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12月9日に東洋大学白山キャンパスで箱根駅伝壮行会が行われた。箱根駅伝を控える選手へ向けて学生たちからエールが送られたこの会の後、酒井監督、そしてチームを支える3本柱である梅崎蓮(総4=宇和島東)、石田洸介(総4=東農大二)、小林亮太(総4=豊川)が駆けつけた報道陣の前に立った。(このインタビューはチームエントリー発表前に行われたものです。)
酒井俊幸監督
ーー出雲、全日本を振り返って
春先、トラックシーズンはしっかり力が上がってきた選手たちが夏以降あまり調子が上がらなかったというところと、出雲は若手でいこうというところから始まった三大駅伝でした。全日本に関しては4年生も復帰してきて、全日本をきっかけによくなってきた選手もいますので、トラックシーズンで走れていた力をしっかり最後の箱根駅伝で出していきたいなと思います。
ーー全日本が終わってからの調子は
復帰間も無く全日本に出場した4年生たちがそれを機にだいぶ良くなってきたことで、チームの中でもムードが良くなってきました。また松井、内堀、迎らの入学してすぐにAチームに参加していた1年生も故障があったりもしたんですが、そこがだいぶ良くなってきて戦力が整ってきていますので、あとはどれだけ箱根に合わせられるかかなと思っています。
ーー監督の中である程度構想はあるか
やはり何パターンかは準備しておかなくてはいけなくて、普段から1区間大体2人くらいの構想で戦術を、前半型やバランス型といったところで今考えているところです。特にエースをどこに置くのか、山の5区6区をどういうふうにしていくのか、あとは経験者を経験している区間に置くのか、大会全体の流れを見た上で主要区間に置くのかといったところなどです。今は大会の3週間前で、まだ追い込みの期間でもあるので、追い込みをしながら見極めのところでだんだん絞られていくと思います。
ーーチームのエースは
やはりこの4年間の中で梅崎が箱根では成績を残していますし、昨年も2区で1時間6分台で走っています。昨年も彼の2区の走りからだいぶ流れが変わって3区小林とうまくつないだうえで往路でいい順位で復路に行けましたので、梅崎の2年連続2区起用となれば彼の走りが重要になってくると思います。
ーー4年生に期待することは
このままいくと4年生が1番多くエントリーする予定でいますので、石田を含めて昨年走ることのできなかった4年生がどれだけ多く10人に入るか、また入ることができなくてもどれだけチームをしっかりけん引していけるか。やはり4年生の存在感というのがどの大学も重要になってくると思います。
ーー具体的な目標と意気込み
最低限19年連続のシード権の更新、そして昨年は4位という成績でしたが、明確な順位というのはここでは明言は避けさせていただいて、やはり上位というところはしっかりと狙っていかないといけないチームだと思っています。
ーー昨年と比べて、今の状況は
昨年レースの流れを立て直してきた子たちがまだ残っていますので、その子たちは昨年の流れというところが1つ安心感があるのと、昨年を経験した特に今の3年生の西村や緒方、岸本は昨年よりも力をつけてきていますので、彼らが今度は主力として卒業生たちが抜けた穴をうめて欲しいなと思います。あとは1年生を育成も含めながらどれだけ起用していくかというのを4年生の集大成と織り交ぜながら考えて行きたいなと思っています。
ーー小林選手も安定した走りを見せているが、小林選手に期待することは
小林は2年連続で3区を走っているので、3区で同じように起用する可能性もありますし、全日本の前後で練習が途切れたところもあるので、そこは様子を最後までしっかり見極めながら。他大の3区はだいぶ強いので、例年往路は強いと言いながら、今年は特に名前やタイムがある選手が十分に入ってくると予想されますので、もちろん実績も大事ですが調子のいい選手も起用していかないと、流れが途切れてしまうとなかなか厳しいかなと思っています。
ーー松井選手の現状は
出雲・全日本と本来は起用したかった選手ですが、なかなかエントリーに入れられない状況でした。ムラがある選手なのでここにきて練習に合流して、彼が入ると下級生の安心感というか、他の1年生もやっぱり違うなと。彼はやはりエースの器だなと思いますね。そういう彼の存在感というのは他の1年生たちの伸び率にもつながってくるので、1年生はここにきて非常に良くなってきていて、下の突き上げが頼もしいなと思います。
ーー迎選手の伸びしろは
入学してから大きな故障なく、ほぼすべての練習を主力の選手たちと背中を追いながらやってきています。10000m、ハーフともに1年生の中では良いタイムで走ってますので、箱根も経験しておけば来年主力として面白い選手になるんじゃないかなと本当に期待しています。
ーーポテンシャル的には石田選手がエースと考えられるが、梅崎選手は実績を積んできてエースになってきたと言えるか
どちらかと言うと石田はトラックで中学、高校と名を馳せた選手ですし、梅崎はやはりロードで強く、関東インカレも3年連続表彰台、今年も日本人トップでした。マラソンに関しても将来マラソンをやりたいというのを学生のうちから挑戦しようということで、箱根の2区のあと、2月の西日本マラソンで2時間10分台で走って、今年の夏は北海道マラソンを練習の一環として走り、2月の大阪マラソンも出場予定です。彼はやはりロード、特に寒い時期になってくると非常に調子が上がってくる選手ですので、箱根駅伝からマラソンに挑戦するという他大もやっているところではあるのですが、エースとしてマラソンを目指しているところがけん引する力になって出てきたのかなと思います。
ーー箱根と言えば山ですが、5区6区を走る選手は
経験者をそのまま起用する案もあります。ただ緒方に関しては出雲1区、全日本7区と主用区間を走っていますので、彼には流れを作るという役割もあるかなと思ってます。彼は去年1時間12分台で登っているんですけど、11分ぐらいで登れる代わりの選手の目処が立てば緒方の平地もあるかなと思っています。
ーー学生のうちからマラソンに挑戦する意味は
1000キロ以上の走り込みをしてというところまでのマラソンではなくて、今の箱根駅伝の、特に往路の作り方はマラソン練習の下地になるので、その走り方でどこまで通用するのかというのを現時点でまずは確認をして。今の箱根駅伝の往路が10000mを27分、28分台で通過していきますので、それぐらいのスピードでやりながらさらにスタミナをというところを東洋大学もそうですけど、他大もそういうところをやっていけば、日本のレベルはどんどん上がっていくと思います。マラソンの2時間4分、5分台という記録、先日の吉田(祐也)くんの歴代3位の記録や、歴代2位の池田(耀平)くんの記録が今の学生にとっては身近になっていくようなスタンスであって欲しいなと思います。
ーー去年は往路の選手と復路の選手のつくり方が違ったと思うが、今年は具体的にどういったところを変えているか
できれば1番は選手層が分厚ければ全員往路の作り方でいいんですが、なかなか選手層や選手の個性にはそうもいかなくなってきています。三大駅伝同じメンバーで、年間トラックもインカレも全部同じ選手というのは、なかなか今のようにレベルが高くなってくると無理になってきますので、ある程度の試合分けと、箱根の往路と復路も初めから復路要員の育成の仕方とか、段階的に追っていかないと、一気に往路というのはよっぽどの能力と練習ができる体力がないと厳しいかなと思います。
ーー4年生が夏場以降苦しんだ中で、3年生以下に自覚と引っ張る意識を求めたと思うが、今の段階ではどうか
私としても腹を据えて、覚悟が必要かなと思ったんですが、3年生に種をまいたということが今、芽になってきて、3年生の自覚というのが出てきていますので、今回の箱根もそうですし、4年生が抜けた後のチームを作る上でもいい経験になったと思っています。
ーー次のエースというところの期待感はどうですか
練習は緒方と西村が引っ張ってくれて、網本はまだそこについていくという感じで、岸本は自分のペースがあるので。人数は少ないですけど、3年生の個性が4年生を支えて次の東洋を引っ張っていく、そういう存在になってくるので、緒方、西村の走りというのは今回の101回の箱根駅伝でも大事ですし、次の東洋にとってもすごく大事なところだと思っています。
ーー箱根で安定した結果を残す要因は
年間を通して箱根駅伝にしっかりピーキングを合わせるトレーニングと、チームづくりも1人が伸びれば伸びるほど…。箱根駅伝はそれだけチームとして準備していくことがすごく多い大会なので、どちらかというと個人の能力だけではなくて、チームの取り組み方、教育的な要素、大学の方針が非常に大事だと思っています。箱根駅伝はすごくいい教育だなと思います。チーム作りはチームカラーをしっかり作った上でそこから追ってチームビルディングを作っていますので、毎年トレーニングのやり方は変えますけれども、チーム作りというのはカラーで、やっぱりそこまで変更することはないので、東洋大学らしく実直に、凡事徹底など、そういったことをコツコツ大事にしています。
ーー具体的なライバルの学校、今年のチームの強み
出雲と全日本では上位3校は他大を圧倒した強さがありましたが、ライバルチーム、シード権となると、どの大学にもチャンスはありますし、ミスをしないでいかに粘っていくのか、上位3校についていくチームももちろんありますから、そこに入っていきたいなと思います。強みは、チームとして結束するところだと思っています。方針をみんなが理解してかみ砕いて、やるべきことを理解しながらまとまっているかなと。バラバラにやりながらまとまろうというよりは、チームの方向性を理解して、結束しているかなと思います。