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2024.12.30
サッカー

[男子サッカー]「全員の力があって優勝できた」総合力で手にした初の大学日本一!

第73回全日本大学サッカー選手権大会 決勝ラウンド ノックアウトステージ 決勝

12月28日(土) 栃木県グリーンスタジアム


○東洋大1-0新医大


〈得点者〉

39分 新井


〈出場メンバー〉

▽GK

前田宙杜(国4=京都橘)


▽DF

大橋斗唯(国2=柏U-18)

稲村隼翔(国4=前橋育英)

山之内佑成(国3=JFAアカデミー)

荒井涼(国3=日大藤沢)


▽MF

渡井翔琉(国4=千葉U-18)

中山昂大(国4=大宮U18)

新井悠太(国4=前橋育英)→90+3分 福原陽向(国3=鹿島Y)

湯之前匡央(国3=柏U-18)→63分 増田鈴太郎(国4=東海大相模)


▽FW

高橋輝(国2=大宮U18)

村上力己(国3=尚志)→70分 梅津凜太郎(国4=鹿島Y)



ゴールを決め、仲間の元へ駆け寄る新井


 28日、大学日本一を決める第73回全日本大学サッカー選手権大会決勝が栃木県グリーンスタジアムで行われ、4424人の観客が見守る中、MF新井のPK弾で先制した東洋大がその1点を守り切り、1-0で新医大を下して大学日本一の称号を手に入れた。


 決勝戦の相手は、今大会決勝ラウンドグループステージを唯一の負けなしで3連勝とし、関東リーグ王者の明大を準決勝でPK戦の末に破った北信越地区第1代表の新医大。試合序盤、前線にボールを入れてくる相手に対し、東洋大のDF陣はボールを跳ね返しながら、センターバックのDF稲村、DF大橋を中心にロングパスを前線へ送る。左サイドでは新井がドリブル突破を図りながら、チームでセットプレーからの得点を狙った。


 26分、大橋から空いたスペースへのボールを受け取った稲村は、DF山之内に左サイドで縦パスを出す。山之内は崩れた相手DFラインの間を通して、ペナルティーエリア内に走ってきた新井へとつなぐ。ここはきれいな形でパスをつないだが、右足のシュートは惜しくもゴール上へ飛び、新井は頭を抱えて悔しがった。東洋大は、中盤でのパスカットやロングスローで、新医大にペナルティーエリア内への侵入を許し、シュートチャンスを与えるも、GK前田の安定したキャッチを中心に堅い守りを続ける。


前田は安定した守備でチームを支えた


 続く34分、コート中央付近でFW高橋輝が相手背後からボールを奪う。高橋輝はすぐさま前を向くと、スピードを生かしたドリブルでボールを運び、右サイドを走るMF湯之前へ前のスペースにパスを出した。湯之前は落ち着いてコースを狙ったが、わずかにゴール右へと流れ、天を仰いだ。それでも東洋大のリズムは変わらず37分。稲村のロングパスを収めた相手DFの隙をつき、FW村上が回収して相手GKと一対一の状況に。村上の突進に相手GKが手を出したところ、審判がファウルを取ってPKの判定が下った。


 この重要な場面で蹴るのは背番号10をつける新井。新井は、準決勝のPK戦で明大のシュートを止めている新医大のGK桃井を相手に、緩い真ん中へのシュートでゴールネットを揺らした。決勝での先制ゴールに会場は沸き、大いに盛り上がる。前半は東洋大のペースで試合を展開して1-0で折り返した。


 勝負の後半。ハーフタイムに「守りにいかずもう1点」と話し合った東洋大は攻めの姿勢を続ける。51分、新井のクロスを相手が胸で弾くと、村上のシュートが一度は阻まれるも、CKから前に残っていた稲村が左足を振り抜き、強烈なシュートを放った。ここは絶好の場面だったが、ボールはわずかゴールの上を通過した。


今大会、チームに貢献し活躍を見せた増田


 相手の連続CKを耐え、迎えた63分。東洋大は湯之前に代えて、準決勝で貴重な決勝弾を放ったMF増田を投入する。縦パスを交えながら、両サイドで攻撃を展開し続けると、82分。稲村が逆サイドの増田にロングパスを出す。増田は右足のトラップで相手DFをかわし、ペナルティーエリアやや手前からそのままフリーで左足を振り抜いた。しかし、ここは決勝でのゴールにも期待がかかったが、相手GKにセーブされ追加点とはならず。


 以降、ディフェンスラインをしっかりと固め、全員で1点リードを守り続けた東洋大。歓喜の瞬間は90+3分、相手のロングスローを外に弾くと試合終了を告げるホイッスルが鳴った。選手たちは両手でガッツポーズを見せ、ベンチから飛び出した仲間と抱き合って、喜びをかみ締めた。


ベンチから飛び出して抱き合う選手たち


試合終了の笛が鳴り、ガッツポーズする中山


 「全員の力があって優勝できた」。優勝後の記者会見で主将の中山が口にした。グループステージでは中1日で試合が行われる中、メンバーを入れ替えても堅い守りと連係の取れた攻撃でチーム力の高さを保持。リーグ戦の後半から調子を上げると、東洋大史上最強のチームは試合ごとに成長して、勢いのまま日本一の座まで駆け上がった。この経験を糧に、4年生が抜ける来シーズンも東洋大の強さを証明し続けてほしい。




TEXT=青柳そよか PHOTO=望月桜、森花菜