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総合9位 東洋大 10:54'56
往路9位 東洋大 5:27'53
1区(21.3km) 小林亮太 1:02'52(11位通過・区間11位)
2区(23.1km) 緒方澪那斗 1:08'50 (19位通過・区間20位)
3区(21.4km) 迎暖人 1:02'40 (16位通過・区間8位)
4区(20.9km) 岸本遼太郎 1:01'15 (9位通過・区間3位)
5区(20.8km) 宮崎優 1:12'16(9位通過・区間9位)
復路7位 東洋大 5:27'03
6区(20.8km) 西村真周 58'56(9位通過・区間9位)
7区(21.3km) 内堀勇 1:04'16(12位通過・区間12位)
8区(21.4km) 網本佳悟 1:04’18(9位通過・区間2位)
9区(23.1km) 吉田周 1:09’22(8位通過・区間7位)
10区(23.0km) 薄根大河 1:10’11(区間10位)
鉄紺の底力が問われた2日間だった。2日、箱根駅伝スタート前に発表された往路の確定区間エントリーで東洋大は5区間中、4区間で当日変更。チームの中心であった主将・梅崎蓮(総4=宇和島東)と石田洸介(総4=東農大二)の名前がエントリーから消えた。エース2人を欠く中で戦うこととなった今年の箱根駅伝。それでも仲間の思いを背負った10人は鉄紺らしい粘り強い走りを見せ、20年連続のシード権を勝ち取った。
4校のアンカー対決を戦い抜いた薄根
1月2日の往路。1区では小林亮太(総4=豊川)が終始大集団を引っ張り、堂々たる走りを見せる。11位でタスキをつなぐと、急きょエース区間へまわった緒方澪那斗(総3=市船橋)も苦しい走りにはなったものの、過酷な2区を走り抜いた。3区迎暖人(総1=拓大一)が3人抜き、4区岸本遼太郎(総3=高知農)が7人抜きの快走で19位から一気にシード圏内の9位まで押し上げると、続く5区宮崎優(総1=東洋大牛久)もその順位を死守し、9位で往路を終えた。
往路、芦ノ湖のゴールを切る宮崎
翌日の復路。激しいシード権争いの中、緊迫の状況は続く。6区西村真周(総3=自由ヶ丘)が一時は前と離されるもラストで巻き返し、9位でタスキリレー。7区内堀勇(総1=巨摩)は12位に順位こそ下げたものの、粘りの走りでシード権に大きく離されることなくつなぎ、8区網本佳悟(総3=松浦)が区間2位の力走で再びシード圏内の9位へ入り込む。9区吉田周(総4=広島国際学院)も意地の走りを見せ、8位で10区薄根へつなぐと、シード権争いはアンカー対決に。4校の集団となり、シード権を取れるのはそのうち3校。勝負は最後までもつれ、レースが動いたのはラスト1kmを切ってからだった。東国大が飛び出すとそれを皮切りにスパート合戦。激しい競り合いの中、薄根は9位でゴールへ駆け込み、20年連続のシード権を手にした。ゴールでは走れなかったエース、梅崎と石田がシード権争いを勝ち抜いた薄根を笑顔で抱き止めた。
ゴール後の薄根(真ん中)を迎えた石田(左)と梅崎
「その1秒をけずりだせ」。チームがずっと大事にしてきた言葉だ。この言葉を体現するために彼らは努力を重ねてきた。2日間、「1秒」でも早く仲間へタスキをつなぐため、最後の最後まで力を振り絞った。離されかけても何度もくらいついた。彼らは確かに鉄紺の真髄を見せてくれた。217.1km、10時間以上に及ぶ戦いの末、明暗を分けたシード圏外との差はわずか9秒。シード権をつないだのは一人ひとりのけずりだした1秒だった。
そして彼らの腕や手袋にはエントリーを外れた選手の文字や名前が書かれていた。苦しい場面で彼らを後押ししたのは箱根路を走れなかった仲間への思い。間違いなく、チーム全員でつないだ20年連続のシード権だった。
TEXT=近藤結希、PHOTO=北川未藍、岡本后葉、森花菜