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2025年春。東洋大に、新たなる精鋭が集結した―。そこで、スポトウ記者である“俺たち”が日々取材を重ねる各運動部の中から東洋大の未来を担うであろう8人の“怪物たち”を厳選。
可能性と存在感を兼ね備えた唯一無二のルーキーズを、今ここに紹介する。次世代のスターを見逃すな。
第3日目は東洋大学アイスホッケー部の三浦彪我(スポ1=駒大苫小牧)。輝かしい高校時代を経て、三浦は「大学アイスホッケー」という銀盤に突き進む。TOYO PRIDEの下で奮闘するルーキーに迫る。
北海道苫小牧市に生まれ小学1年生からアイスホッケーを始める。小さい頃からの憧れだったという駒澤大学付属苫小牧高校に入学し高校3年間のインターハイで4連覇、3年時の公式戦では無敗という順風満帆な高校時代を過ごした。最後のインターハイでは9得点10アシスト。一つの試合で4得点をあげる快挙も成し遂げた経験を持つ。この3年間には三浦も「駒大苫小牧を選んでよかった。」と語る。
高校を卒業した後、舞台は大学へと移り変わった。同じ高校出身の先輩も所属している東洋大学に入学を決めた理由は、自分のプレースタイルに東洋大があっていること。また、伝統のある強いチームに入り成長していきたいと将来への展望も語った。東洋大に入学してすぐに、三浦はU18世界選手権にて日本代表として出場。選手権での結果は6位に終わった。しかし世界を相手に三浦は得点を決め、選手権でのプレーには本人も納得の結果だった。
三浦が大学で初めて試合に出場したのは秩父宮杯アイスホッケーリーグ戦。初戦からスターティングメンバーとして闘った。三浦の持ち味はなんといっても強靭なフィジカルと圧倒的なパックキープである。記者が実際に秩父宮杯で見た三浦は、相手に恐れおののくことなくパックを追う姿だった。「氷上の格闘技」とも呼ばれるアイスホッケーには激しいぶつかり合いが付きものである。三浦も相手に負けじと体を激しくぶつけながらパックを取り合う様子が見られた。
5月11日に行われた専大戦では、相手のゴール前に飛び込み上級生のパスをつなぎ見事にゴール。大学初得点を決めた。これには本人だけでなくチーム全体が歓喜した。その後に行われた試合でも、1年生ながらシュートと得点を重ねる。普段冷静なプレーをする三浦であったが秩父宮杯最終戦、中大の試合では感情を露わにする光景も見られた。一体何が三浦を熱くするのか。
「得点をして、チームの目標である三冠を達成したいです。」
笑顔でそう語る三浦の瞳の奥には炎が宿っていた。いかなる相手にも臆さず果敢に攻め、華麗なスティックさばきでパックをゴールへと運ぶ。FWらしく攻めるだけでなく、フィジカルを生かしたブロックで相手選手を崩す。それが三浦の「すごみ」である。
中大戦は惜しくも敗退となりリーグ戦では3位という結果となった東洋大。そんな中大戦を三浦は「自分たちのやりたいホッケーをスタートからできなかった。逆に相手が自分たちのやりたいことをスタートからやっていたため、なかなか良いリズムで試合を進めることができなかった。」と言葉をこぼした。秩父宮杯で三浦が2得点をあげることができた背景にはのびのびとプレーできる環境にあるという。先輩に優しくしてもらったことと、繋いでくれたパスで、自分のやりたいホッケーを貫くことができたと語った。
目標である3冠。今年度は果たすことはできなくなってしまったが、三浦は諦めの表情を見せない。やりきれなかった秩父宮杯と自分たちのやるべきホッケーを再確認できた関西遠征を乗り越え、向かう戦場は秋のエイワ杯。そのエイワ杯で私たちが見る景色はきっと、彪のようにスケートリンクを駆け巡る彼の姿だろう。巧みな技術とフィジカルを最大限に生かし、今後も活躍することが期待される。
TEXT=村田旺亮
PHOTO=村田旺亮・高梨美遼