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第89回関東大学サッカーリーグ戦 2部リーグ(後期)
第8節(第19節) 10月25日(日) 東洋大朝霞グラウンド
東洋大2-1日体大
<警告>
34 分 仙頭啓矢
64 分 遊馬将也
<得点者>
59分 田中
91分 佐藤
<出場メンバー>
▽GK
沖野泰斗(国4=幕張総合)
▽DF
石坂元気(国4=広島Y)
郡司昌弥(国4=柏U-18)
浦上仁騎(国1=大宮Y)
長谷川優希(国4=帝京)
▽MF
小山北斗(国4=帝京)
小山大貴(国4=大宮Y)84分→MF小島正之介(ラ4=常総アイデンティティU-18)
田中舟汰郎(国3=横浜FC・Y)85分→FW佐藤仁紀(国3=武南)
高橋宏季(国1=FC東京U-18)
▽FW
遊馬将也(国4=武南)
仙頭啓矢(国3=京都橘)
先制ゴールを決めた田中
沖野はPKを止めるなどビッグセーブを連発した
佐藤の決勝ゴールに会場はひとつになった
首位・日体大に2-1で劇的勝利。84分に同点弾を許し暗雲が漂ったが、アディショナルタイムに途中出場の佐藤がネットを揺らし一部昇格へ望みをつないだ。この日、敗れた日体大は2部優勝を決め、残り一つの昇格枠は関学大、筑大、東洋大の3校で争うこととなった。
後半開始から勢いをもって前に出てきた日体大の攻撃をいなし、一気にカウンター。59分、仙頭のスルーパスに遊馬が抜け出す。ディフェンダーを切り返しで振り切るとペナルティーエリア内へ走りこんできた田中へ。田中が落ち着いて仕留め、待望の先制点を手にする。しかし63分、遊馬が自陣ペナルティーエリア内でファウルを取られPKを与えてしまう。絶体絶命の場面でチームを救ったのは沖野だった。相手が蹴るまでどっしりと構え、冷静にシュートをストップ。「本当に成長した選手」と古川監督も評価するように、PK以外にもビッグセーブを連発した。
「沖野がしっかり止めてくれたので、そのまま逃げ切るか、相手が前に出てきたところで追加点を奪いたかった」。84分、勝利がすぐそこまで近づいてきた中での失点に、監督は悔しそうに唇をかんだ。CKから一瞬の隙を突かれ同点に。16勝1分1敗と圧倒的な成績で首位をひた走る日体大の底力を見せつけられた。しかし、今季最後の朝霞グラウンドでの試合は、最後の最後までドラマが用意されていた。
試合終盤投入された2人が大仕事をやってのけた。この日も前線で走り続けた遊馬がボールを背負いキープし、ファールを受ける。すると仙頭が素早くリスタート。ペナルティーエリア内に走りこんだ小島にボールを送ると中央で待っていた佐藤へパス。フリーの佐藤が落ち着いてネットを揺らすと、朝霞グラウンドは歓喜の渦に包まれた。一瞬の出来事だった。前節、途中出場の小島が怪我から復帰後初ゴールを決め、今節はその小島のアシストから同じく途中出場の佐藤が決めた。出番約5分で、ゴールへの「嗅覚」を爆発させた。「いつでも出られる準備をしていた」という佐藤。「できることなら全員スタメンで使ってあげたい」。監督も嬉しい悲鳴を挙げる。ピッチに立てるのは11人。一部昇格へ向かってチーム全員が自分の役割をしっかり理解している。
敗れた日体大は二部優勝が決まり、残る昇格圏は一枠。残り3試合、可能性は3校に絞られた。勝点39の筑大、38の関学大、そして36の東洋大。ライバル2校は首位日体大との対戦を残し、東洋大は最終節に筑大との直接対決を控える。昇格争いは史上まれに見る混戦となった。まずは、次節の朝鮮大戦。前期は完敗を喫し、またエース遊馬を出場停止で欠くという不安材料もある。それでもそれ以上に期待できる明るい話題が今のチームには溢れている。悲願の一部昇格へ、勝つこと以外許されない戦いが続いていく―。
第89回関東大学サッカーリーグ戦 2部 | ||||||
順位 | チーム名 | 勝点 | 勝数 | 分数 | 負数 | 得失 |
1 | 日体大 | 49 | 16 | 1 | 2 | 31 |
2 | 筑大 | 39 | 12 | 3 | 4 | 18 |
3 | 関学大 | 38 | 12 | 2 | 5 | 16 |
4 | 東洋大 | 36 | 11 | 3 | 5 | 19 |
5 | 朝鮮大 | 28 | 7 | 7 | 5 | 4 |
6 | 青学大 | 27 | 8 | 3 | 8 | -6 |
7 | 東学大 | 25 | 7 | 4 | 8 | 3 |
8 | 東海大 | 20 | 6 | 2 | 11 | -16 |
9 | 拓大 | 18 | 4 | 6 | 9 | -10 |
10 | 東国大 | 18 | 5 | 3 | 11 | -10 |
11 | 産能大 | 13 | 3 | 4 | 12 | -19 |
12 | 日大 | 10 | 2 | 4 | 13 | -30 |
※残り3試合を残し、日体大の優勝が決定。2位以内が一部昇格となるため、残り1枠を筑大、関学大、東洋大で争う。
【3校の残る対戦カード】
2位 筑大 vs産能大(11/1) vs日体大(11/7) vs東洋大(11/14)
3位 関学大 vs東海大(11/1) vs東学大(11/7) vs日体大(11/14)
4位 東洋大 vs朝鮮大(11/1) vs東国大(11/7) vs筑大(11/14)
■コメント
・古川監督
これまでの戦績が物語るように本当に力のある相手だった。ただ、我々としては毎試合勝点を積み上げていくしか(一部昇格は)ないと思っていたのでまずは結果を得られたということがすべてだと思っている。(PKの場面は)苦労して取った先制点があっという間になくなってしまうと覚悟したところはあった。最終的には、あそこで決められていたらということを考えると本当に大きな場面だったなと思う。逆に言うとあそこで沖野がしっかり止めてくれたので、そのまま1-0で逃げ切ったり、相手が前に出てきたところで追加点を奪ったりしたかった。(交代選手が結果を出しているが)それだけの準備をトレーニングの時からやってくれている。本当に頭が下がる思い。できることなら全員スタメンで使ってあげたい。残り時間も少なかったが何かビッグチャンスを作ってくれると思っていた。短い時間で結果を出すことは難しいが、やはり得点の嗅覚がある。練習試合や紅白戦からずっとやってくれていることをこうした大一番で出してくれたのは本当にありがたい。
・沖野泰斗(国4=幕張総合)
みんなが頑張っていた中で先週は4年の小島や小山北が決めて、今日は3年生の仁紀が決めたのはチームの一体感があるなと思ったし、勝てたのはすごく大きかった。(チームを救うセーブをしていたが)PKの場面は先週もPKを決められて、苦しみながら勝ったイメージだったから、あそこを止めて試合を安定させることが大事だと思った。先週も真ん中に決められて、ある程度真ん中に来る感覚があったのでチームに貢献できて良かった。(同点に追い付かれた時は)直接話し合ってはいないけど、みんな自分達は引き分けではダメだというのは分かっていたし、とりあえず前にボールを早く運ぶことをみんな考えていたと思う。(次節に向けて)今日は勝てたが、あと3試合勝たないと意味がないので、とにかく一戦一戦トーナメント戦のような気持ちで戦っていきたい。
・佐藤仁紀(国3=武南)
1-0で勝っていてこのまま終わると思っていたけれどやっぱり上手くいかなくて1-1になり、これは自分の出番があると内心思っていていつでも出られる準備をしていた。(監督からは)とにかくシュートを打ってこいと言われた。(ゴールシーンは) トラップが流れてしまって最後はゴールを見ないでシュートを打つだけだった。逆にトラップが流れてしまったことで何も考えずに打つことができた。(次節にむけて)遊馬くんが出場停止で、次節出られないのでどうなるか分からないけれどいつでも出られる準備をしていきたい。
・田中舟汰郎(国3=横浜FC・Y)
前半風上でチャンスも多かったが決めきれず、後半は先制した後も風下ということもあり押し込まれる時間が多かった。前半のチャンスを活かせれば、もっと楽な試合になった。最後勝ち切れたのはチームに勢いがあると思う。(得点シーンは)遊馬くんが良いタイミングでくれたので、僕は押し込むだけだった。(チームとして勝負強くなった印象があるが)夏に天皇杯予選や総理大臣杯など大きい舞台を経験して、チームに自信と粘り強さが出てきた。後期の最初、拓殖と東海に負けたことで、改めて自分たちで引き締めようとなって、それが上手く出ている。(時節へ向けて)筑波とやるまでは一つも落とせない。最後に筑波と直接対決で、昇格を決めれるように残り試合全勝でいきたい。
・遊馬将也(国4=武南)
日体大は前節で昇格を決めて今日勝てば優勝のチャンスがあった中で難しい試合になることはわかっていた。最終的に勝ち切れたということは自分たちにとって昇格のチャンスがあるので、チーム一丸となって戦えた。(残り3試合へむけて)次節は出場停止になってしまったが、次の朝鮮大も難しい試合にはなるけど、みんなならやってくれると思う。自分が累積あけで出場した時には、その試合で迷惑をかけた分、もっと得点に絡みたい。最終節の筑波との直接対決で昇格を勝ち取りたい。それにむけて準備をしていく。
TEXT=吉本一生 PHOTO=豊川拳太、藤井圭
[次節試合予定]
第89回関東大学サッカーリーグ戦 2部リーグ(後期)
第9節(第20節) 11月1日(日) 対朝鮮大戦 朝鮮大グラウンドにて 13:50キックオフ