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[硬式野球]東都大学野球 秋季1部リーグ戦・青学大3回戦
10月16日(木)明治神宮野球場
〇東洋大4ー0亜細亜大
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
青学大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
東洋大 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | × | 4 |
向髙、馬庭、石澤、谷ー高山
本塁打:池田(7回)
二塁打:髙中(4回)、花田(5回、7回)
・打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打数 | 安打 | 得点 | 打点 |
1 | (一) | 髙中一樹(総2=聖光学院) | 5 | 1 | 0 | 1 |
2 | (二) | 吉田元(営4=龍谷大平安) | 3 | 1 | 0 | 0 |
3 | (三) | 池田彪我(営4=三重) | 4 | 2 | 1 | 1 |
4 | (右) | 花田旭(総4=大阪桐蔭) | 3 | 2 | 0 | 0 |
5 | (指) | 山田隼(総3=木更津総合) | 3 | 0 | 0 | 0 |
6 | (遊) | 宮下朝陽(総4=北海) | 3 | 2 | 1 | 0 |
7 | (中) | 山内教輔(総2=東海大相模) | 3 | 0 | 0 | 0 |
8 | (捕) | 高山亮太(総2=三重) | 4 | 1 | 1 | 0 |
9 | (左) | 秋元俊太(済4=木更津総合) | 3 | 1 | 1 | 1 |
計 | 31 | 10 | 4 | 3 |
・投手成績
勝敗 | 名前 | 回数 | 球数 | 被安打 | 四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 |
勝 | 向髙滉人(営4=報徳学園) | 5 0/3 | 77 | 5 | 4 | 4 | 0 | 0 |
馬庭優太(総1=大社) | 2 | 27 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
石澤順平(総1=木更津総合) | 1/3 | 5 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | |
谷公希(営3=三重) | 1 2/3 | 32 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 |
大学初先発となった向髙
ベンチにガッツポーズをする高山
第3号ソロ本塁打を放った池田
適時打を放ち、拳を掲げる髙中
青学打線を抑え、雄叫びをあげるルーキー・馬庭
王者・青学大から勝ち点をつかみ取るため、絶対に落とせない大1番を迎えた東洋大。先発のマウンドには、大学初先発となる向髙(営4=報徳学園)が上がった。向髙は5回を投げ5安打無失点と落ち着いた投球を披露し、青学大打線を封じる。向髙の好投に打線も奮闘し、秋元(済4=木更津総合)と髙中(総2=聖光学院)の適時打、池田(営4=三重)の第3号ソロ本塁打で4点を奪取。青学大から勝利を納め、勝ち点を獲得した。
3回表、空振り三振と一ゴロで2死とした向髙だったが、続く打者にフルカウントから四球を与えると、左安打を許し2死一、二塁のピンチを招く。ここで指揮官がマウンドへ向かい、間合いを取った。ピンチの場面でも焦りを見せず、続く打者を二ゴロに抑えた。
その裏、先頭の高山(総2=三重)が右安打で出塁。四球と池田の内野安打で2死満塁とチャンスを広げたところで打席に立ったのは、4番・花田(総4=大阪桐蔭)だ。花田は鈴木(青学大)が投じた球に粘り強く食らいつくと、それが相手のミスを誘い、暴投の間に高山が生還。貴重な先制点を手にした。
続く4回裏も、東洋大打線の勢いは止まらない。宮下(総4=北海)が三遊間を抜ける左安打で出塁。犠打で二塁に進むと、遊ゴロの間に三塁へ。これまでの試合ではあと1本が出ず好機を逃す場面が多かった東洋大だが、今日の打線は一味違う。秋元に中前適時打、髙中(総2=聖光学院)に中堅手と右翼手の間に落ちる適時二塁打が飛び出し、2点を追加した。
5回表、打線の好調により試合を優位に進めていた東洋大がピンチを背負うも、今度は守備で魅せる。先頭打者に四球を与え無死一塁の場面で、フェンス際ギリギリの難しい打球を、左翼手の秋元が体を張って好捕。ビッグプレーでチームを救った。その後、右安打と死球で1死満塁のピンチを背負うが、向髙は自身のリズムを崩さない。三塁線に転がった打球を池田が冷静に本塁でアウトにし、続く打者を中飛に打ち取りスリーアウト。ピンチをしのぎ、「ナイス向髙!」とベンチに迎えられた向髙の顔には笑顔が見えた。
6回表、先頭の渡部(青学大)に左二塁打を許したところで、投手交代。向髙の後を任されたのは、ルーキー・馬庭(総1=大社)だ。死球で1死一、二塁の場面、抜ければ失点につながる強烈な当たりを一塁手の髙中が鋭い反応で好捕。打撃だけでなく、守備でも投手陣を力強く支える活躍を見せた。ストライクを取るごとに歓声が沸き、東洋大の一体感が球場を支配する。続く打者を二飛に抑えると、馬庭は雄叫びを上げ、ルーキーらしからぬ気迫の投球を見せた。
7回裏、追加点が欲しい場面で打席に立った主将・池田は、髙木(青学大)が投じた低めの緩い球を巧みに捉えた。打球は右翼線に上がり、そのまま右翼席へ吸い込まれる第3号ソロ本塁打となった。池田は拳を突き上げ、引き締まった表情でダイヤモンドを回る。試合の流れを決定づける一発は、チームに自信と勢いを与えた。
8回表、馬庭に変わってマウンドに姿を現したのは、同じくルーキーの石澤(総1=木更津総合)だ。渡部(青学大)から見事に空振り三振を奪った。石澤の1打者限定の起用について、指揮官は「渡部選手に合わせた戦略だった」と満足げに語る。逆転を許せない大事な場面で、任された仕事をきっちりこなした石澤の表情には自信が満ちあふれていた。4番手には、谷(営3=三重)が登板。指揮官も信頼を寄せるコントロールの良さで、空振り三振と左飛に打ち取り、危なげなくこの回を締めた。
4点をリードして迎えた9回表。「最後まで」という池田のかけ声に象徴されるように、東洋ナインに慢心はない。右安打と四球で出塁を許すも、中堅寄りに上がった打球を山内(総2=東海大相模)が滑り込みながらキャッチ。続く一塁線への打球も二塁でアウトにし、丁寧な守備を見せた。最後は二ゴロに打ち取り、試合終了。開幕6連勝で圧倒的な力を見せていた王者・青学大を完封で下し、勝ち点を獲得した。
この勝利で勝ち点2とした東洋大だが、一部残留に向けて油断できない状況は続く。しかし、最終週を前にして大きな一勝になったことは間違いない。なにより、チーム全員が自分から声を出し、笑顔でプレーする姿が印象的だった。秋季リーグ戦も大詰め。次戦は最終カードとなる中央大との一戦。選手たちはどのような戦いを見せるのか、期待は高まるばかりだ。
TEXT=佐藤結芽 PHOTO=山本華子
■コメント
◇井上大監督
ーー価値ある一勝だったかと思いますが、改めて試合を振り返っていかがですか
この一勝は本当に大きいです。ただ実は勝ち点2でも油断できない状況です。でも勝ち点2で最終週を迎えるのと、勝ち点1で迎えるのとでは絶対的に違いますし、本当に今日の一勝は大きかったと思います。
ーー今日は打線がかなり活発だったが
この青学戦から活発になり始めていたので、それでも今日はしっかり4点目を取ってくれたので勝てたと思います。
ーー青学の安藤監督は守備も含めて際の部分が素晴らしかったとおっしゃっていましたが
選手も全員、俺たちが今年最初に青学に土をつけるんだという思いでやっていたと思います。実際そうですよね。うちですよね、まず1番初めに青学に勝ち点を取ったのは。
ーー谷投手の後は考えていましたか
大坪で考えていました。
ーー辛抱してような印象だったが
結構辛抱しましたよ。でも、谷でいけるだろうと思ってましたよ。
ーーどの部分を1番信頼して起用したのか
谷はコントロールがある程度いいので、全然大丈夫だとは思っていました。
ーー石澤投手は1アウトだけの起用でしたが、それは渡部選手に合わせての戦略だったのですか
もちろんそうです。1人だけ行くぞと言って、きっちり仕事をしてくれたのでよかったです。
ーー向髙投手を先発に起用した理由は
昨日試合終わった時点ですぐに言いました。こんなこと選手の前で言ったら怒られるかもしれませんが、(2戦目の)7回、8回くらいから3戦目のシュミレーションをしていたんです。そこで、向髙で行けるなと思って起用しました。向髙は細かい指示いっぱいしやがってと思って投げていたと思いますけど。
・向髙滉人(営4=報徳学園)
ーー以前、ずっと先発をしたかったとおっしゃっていましたが
先発したいなというのはずっと思っていたのですが、やっぱり島田や大坪がいい中で自分ができることというのをずっと考えて今までやってきました。
ーー大事な場面での先発は緊張しませんでしたか
はい、しました。
ーーどう緊張と向き合ったのですか
気負いすぎず、後ろにいっぱいピッチャーがいるので、自分は最初から行けるところまで行く、自分の持っているものを全部出していけるところまで行こうと思っていました。
ーー青学打線は何があるかわからないという怖さはありましたか
低め低めに変化球を集めるという意識で投げて、それが結果的に0点で抑えられたということでよかったです。
ーーよかったボールは何ですか
今日はスライダーとシンカーを多く投げたのですが、そのシンカーでしっかりタイミングを外して前に打ってもらうということができたので、よかったです。
ーー動くボールが持ち味かと思いますが、今日はいかがでしたか
左右に曲がる幅を作ってピッチングできたと思います。
ーー青学に初めて土をつけた今の心境はいかがですか
全員で勝てたということはすごく嬉しいなと思います。
ーー以前はもう少し上から投げていたと思うが
4年生になってから下げて投げるようになりました。
ーーどうして下げて投げるようになったのか
上から投げている時に、何も特徴がない普通の右ピッチャーだなということはずっと言われていたので、キャッチボールなどで遊び感覚で横から投げていた時によかったので、そのまま横から投げて特徴をつけようと思って変えました。
◇池田彪我(営4=三重)
ーー大きな1点をもたらす1本でしたが、どんなお気持ちで打席に入られたのですか
今日はしっかり振れていて、結果的にホームランになったのですが、やっぱり大きいのを狙わずに逆方向という意識で打席に入りました。
ーー打った球のコースを教えてください
真ん中少し低めのチェンジアップかフォークの緩い球でした。
ーーベースを回っている時の気持ちはいかがでしたか
すごく嬉しかったのですが、昨日は点をとった後から崩れたので、気を引き締めながら回っていました。
ーー青学に土をつけた今の心境はいかがですか
自分たちが2部にいる時もずっと勝ち続けていた王者の青学から、2勝して勝ち点を取れたというのはすごく大きな勝ち点だと思います。
ーー打線でこの3試合、徹底していたことは何ですか
鈴木泰成投手(青学大)をはじめ青学のピッチャーから真っ直ぐも変化球もどっちも打つというのは難しかったので、全員でまっすぐを打っていこう、ゾーンを上げながら真っ直ぐをコンタクトしていこうと話し合いをしていました。
ーー変化球は捨てる意識でしたか
はい。変化球でカウントを取ったりストライクを取れていなかったので、基本フィニッシュのストライクからボールになる球は捨てていこうという話はしていました。
ーーキャプテンからみてこの青学戦はどうだったのか
最初の駒澤、國學と負けが続いてしまって、チーム的にもすごく苦しい場面だったんですけど、春に負けた亜細亜からも勝ち点を取れて、すごく1戦目からいい流れで試合に入っていけて、そこで監督さんの試合前に絶対勝ちつけるぞという言葉で全員で1つの方向に向けたので、それがすごくよかったと思います。
ーー開幕5連敗は悔しかったと思いますが、何がチームとしてよくなったことだと思いますか
雰囲気作りから始まって、初回の入る雰囲気であったり外でアップをする時の雰囲気であったりシートノックの雰囲気であったり、そこで自分たちがゲームに入っていかないと相手に呑まれてしまうということがあったので、まずは技術より雰囲気からみんなで変えていこうという話をしていました。
ーーそれで雰囲気が前向きに明るくなったということですか
そうですね。声を出してくれる後輩もいますし、そこで明るく自分たちの色を出せたかと思います。