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2025.10.30
陸上競技

[陸上競技] 鉄紺女子、全日本大学女子駅伝19位 「このままではだめだ」意識の変化で見せた前進の走り

第43回全日本大学女子駅伝対校選手権大会

10月26日(日)

弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)発着


1区(6.6km) 渋谷菜絵 21'57(15位通過・区間15位)

2区(4.0km) 平方杏奈 13'33(14位通過・区間14位)

3区(5.8km) 松木七光 19'24(13位通過・区間13位)

4区(4.8km) 髙木杏珠 17'00(14位通過・区間17位)

5区(9.2km) 住野友理 31'29(17位通過・区間16位)

6区(7.6km) 峯尾沙也夏 26'40(19位・区間20位)




 雨の降る杜の都に、今年も鉄紺のたすきが駆けた。


 9年ぶり2度目のシード権獲得を掲げてきた東洋大は主力を起用できないチーム状況を受け、直前のミーティングで富士山女子駅伝への出場権を得られる12位以内に目標を設定しなおした。歴史に残る記録ラッシュとなった中、序盤から12位が見える順位でレースを進めた東洋大は、エースが集う長距離区間の5、6区でも粘りの走りを見せる。全員が全力を尽くしてつないだ鉄紺のたすきは19位でゴールを切った。


ゴール後の峯尾(中)と迎えた渋谷(右)と平方



 昨年の富士山女子駅伝、今年の関東女子駅伝に続き、今大会も1区を任されたのは渋谷菜絵(食4=駒大 ) 。「4年生の思いも力に変えて」。4年生唯一の出走メンバーとして、仲間の思いを背負って競技場をスタートした。

 レースは序盤から本間香(城西大)と細見芽生(名城大)がハイペースで展開。集団が縦に伸びる中、渋谷は自分のペースを刻み続ける。上位6人が区間新記録をたたき出すこととなった1区で、シード権ラインまで28秒、12位までは3秒の差で15位で走り抜いた渋谷は、「久々にいい形でたすきをつなげた」と充実の表情を浮かべた。


スタートを切る渋谷


 最短区間の2区はルーキーイヤーから活躍を見せる平方杏奈 (スポ1=千原台)。混戦の中でたすきを受けると、「最初から守りに入らずに攻める」と、区間4位の走りを見せた北野寧々(大阪学院大)につき、ハイペースでレースを進める。「2、3kmですごく落ちてしまって粘れなかった」と北野には離されながらも、14位に1つ順位を上げて3区へつないだ。


2区・平方から3区・松木へ



 笑顔でたすきを受けた3区・松木七光も12位を目指し、懸命に足を運ぶ。寒さから序盤は「体がなかなか動かなかった」という中で、後半に巻き返しを見せると、中継所直前まで繰り広げられた関西外大とのデッドヒートを勝ち切り、13位でタスキリレー。「順位を上げたかった。これだけはという思いで走っていました」と、執念の走りで12位まではわずか10秒差で4区へつないだ。

 

 3区松木から4区髙木へ



 平方とともに1年生ながら関東女子駅伝に続いての出走となった4区・髙木杏珠(食1=愛知) 。「先輩の笑顔を見たら、いい調子で走れそうだなと思いました」と、松木からのたすきを力に、大学初の全国の舞台に挑んだ。スタートから攻めの走りで大阪芸大を抜き去るも、「ペースダウンしてしまった」と再び先行を許す形に。ラスト1㎞で関西外大からも追い上げを受けると、14位でたすきを渡した。



 たすきはエース区間の5区へ。関東大学女子駅伝に続いてエース区間を任されたのは、住野友理(食3=斐太) 。「後ろから実力差のある選手が迫ってくることには不安はあった」と口にしながらも、「強い選手にもう一度チャレンジする」とレースに挑んだ。「中盤以降の粘りが足りなかった」と振り返りながらも、各校のエースと互角に戦い、17位でたすきリレー。「全国で戦える力をつけていきたい」とこれからのチームを担う覚悟をのぞかせた。



エース区間で健闘する住野



 最終6区は、峯尾沙也夏(社2=淑徳巣鴨)。前を行く駿河台大を目指し粘り強く走るも、ラスト1kmで中大、関西外大に抜かれると、2校に続く形で競技場へ。「自分の力のなさを実感した」と悔しさをにじませたが、ゴールで渋谷と平方に迎えられると笑顔を見せ、「もっと上の順位を狙えるチームを作っていきたい」と次を見据えた。



ゴール地点の競技場へ戻ってきた峯尾



 ひとつになったチームで迎えた全日本。「関東(女子駅伝)後、『このままではだめだ』という雰囲気が出てきた」。谷川監督も、チームの雰囲気の向上を語り、選手の走りを「力を発揮できた」と評価する。


 「駅伝が形になっていた。すごくワクワクした」と語ったのは、4年生の渋谷。目指した順位には届かずとも、レース後の選手らの顔には晴れやかな笑顔が浮かんでいた。


 年末に行われる富士山女子駅伝では、今大会の上位12校に加え、7名の5000mの記録により10校が出場権を得る。磨きをかけたチーム力で、もう一度、全国駅伝の舞台へ。富士の麓で、鉄紺女子が“歴史を刻む”瞬間を見届けたい。




■コメント

◇谷川嘉朗監督

ーー全体のレースを振り返って

 今日は関東(女子駅伝)の時よりもだいぶ練習もできて、コンディショニングも上がってきていたので、4区までの選手に関しては今の状態の中で力は発揮できたと思っています。

 5区、6区もそれなりには走れていますが、エース区間と距離が長い区間なので、他校の選手たちの方が力が上だったということで、仕方ないかなという感じです。


ーーオーダーの意図や戦略は

 なるべく前半にレースの流れにのらないと、エースもいないですし流れを変える選手もいないので。前半を重視して組みましたが、どこも前半重視で組んでいるので、その中でぎりぎりの12~15番あたりで行けたことはよかったと思います。


ーー主力の4年生を起用できなかったことについて

 やっぱり主力がいないと、なかなか順位というのは。どこもエース級がいる中で精いっぱいやっているので、そこでコンディションの調整がうまくいかないというのは痛かったですね。チームとしての緊張感や、目標を見据えるというところで甘さがあったのかなと思います。


ーー今回のレースでポイントとなった選手は

 本当は5区がポイントかなと思って、5区の頑張りはもう少し欲しかったですが、やっぱり1~4区がすごく力を発揮できたのではないかなと思います。


ーー今後へ向けて

 関東(女子駅伝)が終わって、みんなが練習をやる雰囲気や、「このままではだめだ」というような雰囲気が出てきています。今練習もやれてきているので、このままけが人も回復して、全体的にレベルアップできるような練習をしていきたいなと思っています。



◇渋谷菜絵

ーーレースを振り返って

 今日は4年生が1人ということで、4年生の思いも力に変えてというのと、個人的に1年生の時に2区を走ってボロボロだったので、そのリベンジというところで。タイム的には22分を目標にしていたので、タイムはクリアできたし、自分としても合格点というか。久々にちゃんといい形でつなげたので、よかったなと思います。


ーー上位6人が区間新記録となったが、体感でも速いと感じたか

 そうですね、去年とかに比べてもめっちゃ速い中でしたが、自分は自分のペースでいっていたので、そんなに速すぎず、きついところでちゃんと粘り切れました。


ーーこの全日本大学女子駅伝に懸ける思いというのは他と比べても強いか

 この全日本(女子駅伝)を目標に1年間やってきたので、やっぱり特別です。


ーーその中で、昨年からシード権獲得を目標にやってきたと思うが

 今回、1年間シード権を目標にしてやってきましたが、直前のミーティングで目標を12番に変えました。12番以内を目標にしてやってきて、達成できなかったことは悔しいですが、関東(女子駅伝)より駅伝が形になっていたし、自分たちのやり切ったという達成感もあるので、やっとまとまってきたというか、富士山(女子駅伝)に向けての良い兆しになった大会でした。


ーー4年生として、自信がたすきをつないだあとの後輩たちの走りをどう見ていたか

 前半は12番が見えてきていて、すごくワクワクしたし、楽しかったです。後半はやはり少し他大学との力の差を感じましたが、富士山(女子駅伝)までにそれぞれが頑張って力をつけて、しっかり発揮できれば、全然もっと上に行けると思うので、富士山こそは8位というところを目標にできるようなチームにしていきたいと思います。



◇平方杏奈

ーーレースプランは

 関東の時よりも距離が短くて、前半区間に置いてくださったので、最初から守りに入らずに攻めて最後粘って走ろうと思っていました。


ーーどんなレース展開でしたか

 最初は大阪学院さんが前にいて、できるだけついていこうと思ったんですけど、1kmまでついてそこからペースがどんどん落ちてしまって、結局入りから2、3kmですごく落ちてしまって粘れませんでした。


ーーレースの手応えはいかがでしたか

 関東の時よりも一つひとつ取り組みをしてきた部分は活かすことができて、関東の時よりはいい走りができたと思いますが、関東や今回のレースを含めてたくさん課題がありすぎるなと思いました。


ーー関東駅伝から修正できたことなどはありますか

 走れる体づくりを最初にどうにかしたいと思ったので、そこを関東の時よりはちゃんと改善できたかなと思います。


ーーたすきリレーの時の心境

 きつかったけど、最後はちゃんと笑顔で先輩に渡そうと思っていました。


ーー今後の目標

 毎年この全日本に戻って来れるように頑張りたいのと、最終的には4年目で他校の強い選手とちゃんと戦って、ずっと目標としている8位入賞まで自分がみんなを引っ張っていけるくらい強くなりたいです。



◇松木七光

ーー今回の大会に向けてのコンディション

 関東の時は自分の中でも走れてないみたいな感じで本当に状態が悪い中でした。ここからの3週間で関東までの練習に比べては練習量も増やして状態も上がってきている中でもレースでしたが、最初の2キロがなかなか動かず後半に地道にあげてくレース展開なってしまって。もう少し期間があれば状態があがったなとは思いますが、関東よりも良かったです。


ーー試合展開について

 体がなかなか動かなくて、雨だったことやアップ時間が早かったこともあって苦しかったですが、後半徐々に身体が動いてきて、どんどん抜かせたのでよかったです。


ーー最後の方がデッドヒートだったと思うがラストスパートはどのような気持ちで挑んだか

 ラストはひとつでも順位をあげようと思いました。ラスト400mくらいで一度抜かされましたが、順位をあげたい気持ちがあったので、これだけはという思いで走っていました。


ーー今後の目標

 今後は富士山女子駅伝を見据えて5000メートルのタイムをあげていきたいです。富士山女子駅伝ではタイム枠を狙うので、各チームのエースに並ぶ選手たちと良い争いをして、区間順位を最低1桁、できれば3位以内を目指して頑張りたいです。



◇高木杏珠

ーー今回の大会を迎えるにあたってのコンディションは

 関東(女子駅伝)の時と比べてそれなりに体重管理や練習以外の時も駅伝にむけて3週間行動してきました。


ーー雨の中での試合展開について

 (松木)七光先輩が順位を上げてきてくれて、前が見える状態でレースが始まりました。最初の1kmは大阪芸術大学が前にいたので抜かしましたが、(その後)ペースダウンをしてしまい、だいぶ置いてかれてしまいました。ラスト1キロで関西外国語大学に抜かされてしまってそこにつくことができませんでした。


ーータスキを受け取った時の気持ちは

 (松木)七光先輩がすごいスピードで笑顔で走ってきてくれたので、この先輩の笑顔を見たらいい調子で走れそうだなと思いました。


ーー今後の目標は

 富士山女子駅伝までに5000メートルのタイムをあげたいです。今回の全日本大学女子駅伝のメンバーで17分を切ってないのが自分のみなので、頑張ってこの2ヶ月で5000m16分台を出して貢献したいです。



◇住野友理

ーーレースを振り返って

 関東(大学女子駅伝)の時よりは自分の状態は上がっていて、関東の時は自分の中で最初から最後までうまく走れなかったので、今回は周りは強い選手ばかりでしたが、もう一度チャレンジする気持ちで積極的にレースをしようと思っていました。


ーー全国の舞台でエース区間を戦ってみて

 いつもそうなんですが、中盤の粘りが全然足りなくて、3㎞以降離されてしまうので、そこの粘りをつけたいなと思います。


ーーエース区間を任されたことへの戸惑いはなかったか

 去年の富士山女子駅伝を走らせてもらって、インカレなどの1万mとか、長い距離にも挑戦する機会がたくさんあったので、距離に対する不安はあまりなかったですが、やっぱり後ろから実力差のある選手が迫ってくることには不安はありました。まだ戦える力はないですが、これから全国でも戦える力をつけていきたいなと思います。


ーーこれからの富士山女子駅伝、最終学年を迎える来年に向けて

 エース区間でも戦える力をつけたいですし、チームとしても今年はまとまるのが関東女子駅伝後になってしまったので、最初からチームとして雰囲気よく駅伝に臨めたらもっといい結果もついてくると思うので、来年に向けても今年の富士山女子駅伝に向けても、もっとチームとしても頑張りたいと思います。



◇峯尾沙也夏

ーーレースを振り返って

 初めは駿河台大の近くにいましたがつけなくて、少しずつ離されてしまって、最後の1㎞で中大と関西外大に抜かれてしまってそれもつけなくて。自分の力のなさを実感しました。


ーーアンカーの長距離区間となったが、自身の役割をどのように考えていたか

 関東大学女子駅伝より距離が長くて不安もありましたが、下り基調なので楽に走れるといいなと思いましたが、結局順位も落としてしまって、あまりアンカーとしての役割は発揮できなかったかなと思います。


ーー関東女子駅伝後の心境の変化や意識して取り組んできたことは

 練習中の声掛けを積極的にしたり、自分の走り方を見直したりはしました。


ーーチーム力もあがってきている実感はあったか

 そうですね、全体的にみんながまとまろうという雰囲気があったかなと思います。


ーー最後の順位を決める区間だたが、たすきを受けたときの心境は

 前半は結構いい順位できていて、たすきを受けたときは最低ラインの17位で受け取ったので、変えずにいきたいという気持ちはすごくありましたが、厳しかったです。


ーー今後に向けて

 これからもけがせずに練習を続けて、個人的に区間順位も上げていきたいですし、チームとしてももっと上の順位を狙えるチームを作っていきたいと思います。

 


TEXT=近藤結希/PHOTO=近藤結希、窪内彩乃、佐藤結芽

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