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昨日発行されましたスポーツ東洋第71号にて、萩野公介主将のインタビューを掲載致しました。今回は、紙面に載せ切れなかったものも含め、インタビューの内容を完全版でお送りします。来年のリオ五輪、インカレに向けてチームを引っ張っていく萩野選手に、今の思いや意気込みを語っていただきました。(取材日・11月25日 聞き手・青野佳奈)
新年度は、主将としてチームをけん引する萩野選手
――東スイ招待(11月20~23日)での復帰戦を終えて、今のお気持ちは
やっと復帰してレースで泳ぐことができて、みなさんにも泳いでいる姿をお見せすることができたので、とりあえずはほっとしているという気持ちが一番大きいですね。
――今年はけがで泳げない時期があったり、主将に就任されたりと変化があったと思いますが、その中で感じたことは
泳げないことを経験して、泳げない時期にキャプテンという風に言っていただいて、自分で本当にいいのかなと思う時期もありました。キャプテンとしてそれ以外の指導とかいろいろ部の仕事もあるかもしれないですが、まずは泳ぎで引っ張っていけるように、自分自身みんなと頑張っていこうと思っています。泳げない時期に部員のみんなに助けてもらったので、恩返しじゃないですけど、少しでもみんなの力になれるように頑張っていきたいなと思います。
――今年のインカレを振り返って
女子の優勝というのはずっと狙っていましたが、実際インカレが始まる前から「みんなでインカレ優勝とりにいくぞ!」という強い気持ちがあまり感じられませんでした。このままだと負けてしまうかなと思っていたんですけど、その通りになったので、それもとても勉強になりました。来年のインカレが自分たちにとっては最後になりますので、女子は必ず優勝を狙っていこうということで、気持ちも新たに新シーズンを始めたつもりです。男子の6位というのは「もっと低い順位かな」と思っていて、シード権獲得というのを狙っていたんですけど、リレーも全部決勝に残ってくれて大健闘だったので、自分は参加することができなかったですが、来年度のインカレは必ずチームの力になれるように。チームとしては高いかもしれないんですけど、男子総合2位というのを目標にしているので、それに少しでも近づけるようにみんなで頑張っていけたらいいなと思います。
――インカレを終えて、どのような声掛けをしましたか
それぞれインカレが終わって国体に出たりオフになったりばらばらになってしまったので、直後にはなかったですけど、新チーム始動のみんなで集合した時には、以前の目標はこうでしたけど実際はこうだったよねといろいろ振り返って、何が足りなかったのか、これから何をしていかなくてはいけないのかをみんなで話し合いましたね。それで、みんなで考えたことをしっかり実行に移せば、来年は問題ないのではないかなと思います。
――主将を任されたときは
いや~、自分が一番ほど遠い立場だと思っていたので。平井先生もおっしゃっていたと思いますが、自分は以前はあまり人に興味がないじゃないですけど、自分の練習だけやっていればいいやということだったんですが、キャプテンに任命させてもらって、周りのことを見る必要性も出てきました。意識して他の選手を見てここがこうだな、といろいろ気づいたりすることが非常に多かったです。泳げない時期にみんなから助けてもらって、じゃあ泳げないならどうやってみんなにプラスになるように行動していったらいいかって考えてやっていたことも、主将になってから生きていることかなって思います。
――中学、高校でこのような立場になったことは
いや、なかったですね。まったくなかったです。なので、初めてですし、頑張ろうと思います。
――ここまでやってみて
出だしの2ヵ月くらい過ぎましたけど、それまでもいろいろありましたし、チームとしても自分としても、復帰したりといろいろありましたし、これから冬場のきつい時期に入っていって、4月の選考会とさらに忙しくなっていくと思うんですけど、一致団結してやっていきたいと思います。
朝練習を終えてすぐに取材に応じてくださいました
――目指すチーム像は
オフが明けてみんなでこういうチームにしていこうって話した時に、自分が言わせてもらったのが、『優しくて強いチーム』っていうので。やっぱり優しいだけじゃ勝てないですから。1位にもなれないですし、2位にもなれないので、他の人を気遣う優しさがありながらも、それが自分の強さに変わって、最終的に必ず勝つっていうのが理想かなって思ったので、みんなでそういうチームを目指そうという風に話しました。
――主将陣が決まりましたが、この学年でリーダーシップをとるのはもともとこの幹部メンバーだったんですか
そうですね…まぁ、それぞれ個性が強い年代なので、自分たちの学年は(笑)誰かがまとめるっていうのは今までそんなになかったんですけど…僕が一番べらべらべらべらおしゃべりなので、多分主将に選ばれたんじゃないかなって思いますけど(笑)
――東スイ招待後、3年生でミーティングをされていましたが、そういうものは意識して取り入れるようにしているんですか
やはり今まで自分たちの学年っていうのは、あまり3年生で何かを話してっていうのをしてこなかったので。でも一番上に立ってみんなのことを考えたり、自分たちの学年のことなどいろいろと出てくる中で、横での話し合いは必ず必要になってくると思います。今はLINEとかで連絡が取りやすくなっていますけど、面と向かって人の目を見て話を聞くっていうのはそれと違うものがあるので、以前よりは積極的に取り入りいれるようにはしています。
――どのようなことを話すんですか
うーん…いろいろですね、本当に。いいことも悪いことも、それを全部経験して、だからまた一歩前に進めるんじゃないかなと思っているので。
――今の3年生の雰囲気は
みんなのことをよく見るようにはなったんじゃないかなと思いますね。各々がそれぞれやるべきことをやって、五輪に向けて精一杯やっていることをやっている選手もいますし、インカレに向けてやってやろうって気持ちを持って毎日毎日トレーニングを積んでいる選手もいます。だから上の学年が頑張っているから俺たちも頑張らなきゃなってなるように、あいつがやってないから俺たちもいいやって負の連鎖みたいにならないように、チームとしては非常にいいんじゃないかなと思います。これからきつい時期に入っていくので、みんなで鼓舞し合えればなと思います。
――下級生の印象は
みんないい子ですからどうこうってことはないですけど、まだみんな大学1、2年生であって、自分たちもそうなんですけどまだまだ未熟な部分がたくさんあって、大人になり切れていない部分とか、人間的にさらに成長しなければならない部分はたくさんあるので、それを水泳というものを通して学びながら、一歩ずつ進んでいるんじゃないかなという風に思っています。
――水泳は個人競技ですし、萩野さん自身代表チームの中にいることも多いと思いますが、萩野さんにとって東洋大水泳部はどんな存在ですか
僕は本当に、『家』だと思っています。なので、けがしたときに向こう(カネ・仏)にいましたけど、日本に帰ってもなー、「頑張ってきます!」って行ったのに結局何もせず戻るわけで、でも向こうにいたら向こうにいたでみんな頑張ろうって思っているのに一人だけ骨折して何もできないでいるっていうのもつらいし、もうどこにも居場所ねえなーと思って。で、日本に帰ってきたらみんながすごく温かく迎えてくれて、インカレに向けてやってやろう!って雰囲気がすごくあって、「頑張りましょう頑張りましょう!」「公介さん大丈夫ですよ!」とか言ってくれたりして、その時本当に、あ~、自分の居場所はここなんだなって思いましたし、復帰してからもこいつらのために精いっぱい頑張らなきゃいけないなって心の底から思いましたね。
――チームの強みとは
強みですか。そうだなあ。みんな水泳が大好きだと思いますけど、それが強みだと思います。東洋の水泳部ってもちろん練習もきついですし、日程とかもきついですし、他の部とか大学に比べてもいろいろとつらい部分は多いかもしれないんですけど、それでもみんな練習中もきつい練習も笑いながら頑張っていたりして、みんな水泳大好きなんだなこいつら!と思いながらやっています。
――今のチームの雰囲気は
今のチームは以前よりはチームのことを考えてこうしていかなければならないという意識が強いと思うんですけど、まだ始まって数ヵ月ですから、これからいろいろ変わっていくと思いますし、いいことも悪いことも経験してこのチームで良かったという風にならなければならないと思うので、つらいこと、いろいろ経験しなければならないこともあると思うんですけど、みんなで乗り越えていけたらいいなと思います。
――普段から全員で一緒に練習できる時間がそんなに多くはないと思いますが、その中でチームが一つにまとまっていくために心掛けていることは
さっきも言いましたけど、やっぱり直接顔を見てコミュニケーションを取ることって大事だと思います。海外にいて連絡とってどう?って聞くのももちろんいいですけど、近くにいて顔を合わせる機会があるなら、全員とコミュニケーションをとって、「最近どう?」でもいいですし、そういう風に少しでも話をするようにはしています。でないとばらばらになってしまいますし、そういうのが重要なんじゃないかなと思っています。
――来季に向けて、チームの目標、個人の目標
インカレでの目標は、女子総合優勝、男子2位という目標を掲げていて、それに向けて精一杯やっています。また、東洋大学水泳部は来年の4月の日本選手権で五輪選手を何人出せるかというのを目標にしているので、一人でも多くの五輪選手の輩出というのを目指しています。自分においての目標は、五輪代表になるのはもちろんのこと、五輪の決勝という舞台で東洋大学水泳部でやってきた練習、平井先生と田垣先生に教えていただいた技術・テクニック、気持ちの部分をすべてぶつけて、自分にしかできない泳ぎであったり、今までやってきたことは間違っていなかったんだと思えるような気合のこもったレースをしたいなと思います。
・萩野公介(はぎの・こうすけ)▽文3=作新学院▽177㌢/71㌔▽H6・8・15▽B型
▼2015年のインカレは、女子が総合優勝を目指した中で2位に終わり、男子はメンバーがそろわない状況でシード権獲得の6位と健闘した。インカレ後は、9月22日より新チームが始動。主将に萩野、副将に天井翼(文3=天理)と山口観弘(法3=志布志)、女子主将に宮本靖子(法3=九州学院)が就任。小日向恭太(済3=北越)が寮長、牧田卓也(国3=埼玉栄)が主務を務めて幹部体制をとり、来年に向けスタートを切っている。
スポーツ東洋第71号では、インタビューの他に萩野選手の復帰戦や近日中に行われた大会結果などを掲載しています。そちらも合わせてぜひご覧ください。
2016年も、主将の萩野選手をはじめ躍進を続ける水泳部の活躍にぜひご注目ください!