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日本学生氷上競技選手権大会まで、あと2週間を切った今。東洋大を優勝に導くためには?スポトウが選んだ注目選手を5日間に渡り記者のコラムによって紹介する。
3年生の夏に思うようなプレーができず試合に出られない悔しさを味わったFW中澤(社3=軽井沢)。「ミスを少なくしチームに貢献したい」。監督からの言葉がアイスホッケーと本気で向き合わせ、彼を這い上がらせた。
東洋大ホッケー部を応援していた父に連れられ、東京で試合を観戦していた中澤は、走って当たる東洋大のプレーに魅了される。さらに地元・軽井沢の先輩が東洋大に進学したこともあり、早期から東洋大を志望する決意を固めていた。
「強い先輩もいたし、ある程度は覚悟していた」
念願の入部を果たすも、大学では個々の意識の高さを思い知る。2年生の春の大会まではほとんど出場機会がなかった。しかし転機が訪れたのはその年の夏合宿。自分の持ち味のスピードや体を張ったプレーをアピールするチャンスが巡ってくる。やっとの思いでレギュラーの座を勝ち取った中澤は、秋季リーグ初戦となる法政大戦で大学での公式戦初ゴールを決め、チームに先制点をもたらした。その後もセットを維持すると、要所でスピードを生かしたプレーで活躍した。
だが迎えた今年の春の大会とそして、夏合宿でもなかなか結果が出せずプレー中のミスも重なると、一年前とは真逆の降格を経験することとなる。
「自分のプレーを見直して、チームにプラスになるプレーを考えた」
中澤は我に返った。ここまでポテンシャルを信じてやってきたが、自分の一つのミスがチームのミスにつながることに無力さを感じた。だが鈴木監督から言われた「ミスが少なく、チームにマイナスの少ない選手の方がいい」という言葉は、中澤を奮い立たせるきっかけとなる。
「2年生のとき考えられなかったことを3年生になって考えられた」
求めてられていることは何か、チームのためにどう貢献できるのか、正面から自分と向き合うことができた。するとメンバーのけがもあり、秋大会の一次リーグの最終戦に出場すると、2得点を挙げ攻撃の起点を作った。二次リーグから本格的に復帰し、リーグ戦を通してセットを落とすことなく試合に出続けた。結果は4ゴール、7アシスト。同じセットを組む一年生コンビの阿部(社1・白樺学園)と古川誠(社1・白樺学園)との連携プレーもあり、このセットは得点を量産した。思考を重ね、苦難を乗り越えたからこそ、チームの勝ちにつながる献身的なプレーを披露する今の中澤が確立されたのである。
あの夏味わった試練は今となってはすべての原動力。与えられた壁を乗り越え、回り道をしたからこそ何倍も成長できた。仲間思いの中澤が求めるもの、それは「チームの勝利」。チームのために何ができるのか、考える日々努力を彼は惜しむことはない。
「インカレ優勝します!」
■中澤走飛(なかざわ・はやと)
175cm/73kg
H6・12・1/O型
趣味/YouTubeでNHLの動画を見ること
好きな食べ物/寿司
好きなタイプ/優しくて落ち着きのある人
プチ自慢/筋肉
座右の銘/日進月歩
次回は12月28日(月)の掲載です。お楽しみに!
TEXT=酒井奈津子