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第88回日本学生氷上競技選手権大会
1月8日(金) 栃木県立日光霧降アイスアリーナ
東洋大2-3中大
[ゴール・アシスト]
39:33 阿部(人里、古川誠)
53:28 出口(人里、田中)
FW阿部はPPのチャンスをしっかりとものにした
GK古川駿は何度もチームのピンチを救った
春と秋を制した王者を、またも倒すことはできなかった。延長戦でも決着がつかず、試合はGWS(ゲーム・ウィニング・ショット)へ。二巡目にゴールを決められ2-3とすると、東洋大は最後までゴールを揺らすことができず、準決勝で敗退となった。
いつもその夢は指をかすめる。試合前に日体大が劇的勝利を収め、決勝進出。秋季リーグでは2勝と相性の良い日体大を倒し優勝をつかみたい東洋大は、準決勝で宿敵・中大との大一番を迎えた。序盤から激しい攻防を見せるも、お互い譲らず0-0で迎えた2ピリ。開始1分でFW今村(社4=白樺学園)が退場処分と5分間のペナルティを受け、最初の山場を迎えるも、このピンチを守り切る。ここから波に乗りたい東洋大であったが、一瞬の隙を突かれ連続失点。2点を奪われてしまう。「2失点して気持ちが切れてしまった」と秋季リーグ中大戦では3失点し交代となったGK古川駿(社1=八戸工大一)。しかし、今日の彼は違った。そこから見事な好セーブを連発し味方の反撃を待つと、2ピリ終了間際のPP(パワープレー)でFW阿部(社1=白樺学園)が1点を返し、3ピリに勢いを付けた。
すべては4年生のためだった。3ピリでFW出口(社1=駒大苫小牧)が同点ゴールを決めるなど、インカレという大舞台で多くの活躍を見せた1年生。その1年生からも、出てくる言葉は4年生を思う言葉だった。特に秋季リーグからほとんどの試合でマスクを被ったGK古川駿は、GK脇本(社4=苫小牧工)の内に秘めた“悔しさ”を感じていた。「脇本さんのためにも」。4年生との最後の大会で気持ちを切らすわけにはいかなかった。GWSまでもつれ込んだ試合のゴールを必死の思いで守り切ったGK古川駿に「ここまでの試合ができたのは駿のおかげ」と、今野主将(社4=清水・北海道)も感謝の言葉を述べた。
勝っても負けても残す試合はあと1試合。3位決定戦の相手は、4年もの間白星を挙げていない明大だ。「今の東洋大学にとってはすごく大切な試合」と鈴木監督が話すように、明日の一戦に勝つことは、3位という順位以上の大きな意味を持つ。FW阿部も「4年生といい形で終われるように」と意気込んだ。失った目標は大きいが、気持ちを切り替え明日の最終戦に挑む。
■コメント
・鈴木監督
結果的にはすごい悔しいゲームでしたけど、本当に今持っている力を選手は全部出し切ってくれた試合だった。(昨日から1年生の活躍が目立ったが)もともとポテンシャルのある選手たちなので、まだまだだが少しだけ精神的なところ、体力的なところで成長が見られたシーズンだった。(GKの起用は)基本的にリーグ戦の出来が大きく左右しているが、その中でも最後の合宿を含めて考えた。二人とも素晴らしいGKだが、リーグの成績を見て古川の起用を決断した。(次戦に向けて)選手たちは1番の大きな目標を失ったということで、気持ちを切り替えるのがすごく大変だと私自身も思っているが、やっぱり今の東洋大学にとってはすごく大切な試合ですし、しばらく勝っていない明治さんとの対戦なので、今シーズンの締めくくりとしてしっかりモチベーションを明日までにアップして挑みたい。
・FW今野主将(社4=清水・北海道)
すごいみんなハードワークしていて、日頃の練習の成果が出せたと思う。中大はすごいスキルの高いプレイヤーが多くいるので、ピンチが多くなるのはわかっていた。試合前から我慢して我慢して、少ないチャンスをものにしようと話していた。2失点したが、まだ2ピリだったので焦りはなかった。選手一人一人信じてプレーしていた。古川駿はとてもいいプレーをしていて、ここまでの試合ができたのは駿のおかげなのでプレイヤーが点を取れなかったのは反省している。前の法大戦でいい試合をいたので、その勢いと雰囲気で挑めた。(次戦に向けて)明大は1回も勝っていない相手なので4年生として今まで東洋でやってきた経験と練習の成果を発揮できたらいいかなと思う。
・DF田中(国3=ロックリッジ・カナダ)
出だしから自分たちらしいプレーができていて、準決勝という緊張感の中最初からいいプレーができていた。監督からは特別な指示はなく、集中力を持ってリラックスして自分たちのホッケーをやれば勝てると信じていた。(1ピリの守備は)反則だったり苦しい時間はあったが、その分練習から一人一人守る気持ちはあるので、それが表れた結果最小限に抑えられた。(意識していたことは)自分が出ているときは失点を0に抑えるという意識はあった。(延長戦前は)朝練や合宿中の陸トレなどを積んでいるので、スタミナ的にはみんな不安はなかった。4対4の状況で、一つのミスで失点につながるので、100%のプレーだったり決めるところは決めるという指示は監督から出された。(GWSは)3回目なので緊張はしていなかった。古川がしっかり守ってくれたので、最後に自分で入れて勝ちたいという気持ちはあった。(次戦に向けて)シーズン最後の試合だし、このチームでできる試合も最後なので、4年生の思いをしょって、この悔しい気持ちをエネルギーに変えて、3位という順位を持って帰りたい。
・GK古川駿(社1=八戸工大一)
2ピリで2連続で失点してしまって、もう少し粘っていればすぐに流れも引き戻せたと思うし、2失点目が当たって入ったので余計に悔しかった。(自分のプレーについて)秋リーグの中大戦は序盤で3失点して下げられてしまったので、今日は全体で2失点で抑えられたことは成長した部分だと思う。今日の中大戦も昨日の法大戦も、脇本さんから「1ピリ乗り切れば後はプレイヤーが点数取ってくれるから頑張れよ」とアドバイスをもらったが、そう言っている姿は悔しそうで、脇本さんのためにも勝ちたかったが申し訳ないなと思う。(FW面とDF面は)最初からガンガン攻めていって、チェックも当たっていたので、相手DFにも影響はあったし、いつも以上に気合いが入ったプレーだったので守りやすかった。(3位決定戦に向けて)明大にはここ何年も一度も勝ってなくて、3決で勝って、最後をいい形で終わりたい。気持ちを切り替えて、絶対に勝ちたい。
・FW阿部(社1=白樺学園)
流れ的にも悪くなかったし、3ピリも東洋らしくできて試合的には良かった。(先制点は)昨日の試合も今日の試合もチャンスがある中で決められなくて、PPのときに自分に回ってきて絶対決めようという気持ちが得点につながった。試合前に4年生からは絶対勝とうと声をかけてもらっていた。4年生には今まで本当に良くしてもらっていて、優勝させたかったが、明日3位決定戦があるので、最後4年生といい形で終われるように頑張りたい。明治に勝って今までとは違う東洋を見せたい。
TEXT=中田有香 PHOTO=坂口こよみ 星和典