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第65回関東大学バスケットボール新人戦
6月9日(木) 大田区総合体育館
東洋大67-80中大
9|1Q|18
15|2Q|12
22|3Q|11
21|4Q|29
スターティングメンバー
7 大野太聖(文2=市立柏)
28 佐久間澪(済2=東海大相模)
30 川上海斗(済2=市立船橋)
35 杉田諒(済2=市立船橋)
38 福井歩(済1=日大山形)
無念にも退場となってしまった大野
プレーでチームを引っ張った杉田
完全復活を果たした佐久間
目標のベスト4へ向け、第一の関門となった中大との試合は出だしの悪さが響き、67対80で敗北。順位決定戦へも回れず、新人戦を終えた。敗戦はしたものの、今大会でけがから復帰した佐久間がまたもチームを盛り上げた。
試合開始4分間、オフェンスは沈黙の時間が続いた。反撃を試みるも今一つ追い上げムードにならない。ここで目(さっか)監督から「佐久間を4番のポジションに」と指示が出る。佐久間は普段、シューティングガードだ。4番はパワーフォワードで、センターと一緒にリバウンドに入るポジション。この采配を受け臨んだ3Qで、佐久間が爆発する。「相手のファールがたまっていたのでそこを攻めようと思った」と、絶妙な演技力で相手のファールを誘っていく。ゴール下まで切り込んだり、リバウンドに絡んだりと、ファールが生まれやすい状況を作り上げた。「相手が来るなというのを予想してできたので相手のエースを退場させられた」と策士はにやりと笑った。触発されるように攻め続け、4Q4分でついに同点追い付く。だがファールが取られやすくなったことは、自身のチームも苦しめた。ここまでチームを支えてきた大野が5ファールで退場。大野の穴はプレー面でも精神面でも大きく、逆転したいという焦りから手が出る。そして、さらに川上も退場となってしまう。残りのメンバーで必死に食らい付こうとするも、ブザーが鳴り67対80で試合終了。「出だしの点差が最後に響いた」という佐久間の言葉通り、13点という点差を覆すことはできなかった。
勝利が一瞬見えたために、「もったいない」と監督は顔をしかめた。目標はベスト4、最低でも前年越えだった。さらに、昨年新人戦7位という最高位の更新に貢献したメンバーが数多く残っているため、期待は高まっていた。ベスト16という結果に「納得はしていない」(川上)、「自分たちのやるべきことをやれずに負けた」(杉田)と悔しさをあらわにした。この悔しさは全てリーグ戦へ。新人戦で、杉田・佐久間が公式戦に復帰したことはチームにとっても吉報だ。「4年生を昇格させたい」と下級生の思いは強い。目監督も「優勝を狙います」と語気を強めた。新人戦での悔しさをバネにパワーアップした下級生と、後輩から絶大な信頼を集めている上級生が一丸となり、「1部昇格、インカレ出場」を実現すべく、秋に向けて走り出す。
■コメント
・目(さっか)監督
うちの試合によくありがちだけどもったいない。ディフェンスの失点が多かった。抑えどころも分かっているのに、ゲームになると忘れてしまっていた。やることも忘れてしまうというのは良くない。インサイドに使えるやつがいなくて。佐久間を4番のポジションにもっていったのが良かった。佐久間は2週間前に復帰したのに、よくやってくれた。杉田は今日も制限して出した。前半なるべく休ませて、後半勝負になることが分かっていたので。プレータイムが少し長くなった。(ベスト16で敗退となったが)今日勝ってベスト8で、それから4っていきたかったけど残念。(次はリーグ戦となるが)優勝を狙う。これは本当に。出だしがどうなるか分からないけど、ガチで優勝を狙います。
・川上(済2=市立船橋)
自分はキャプテンとしてやってきたが、大野や佐久間、杉田が引っ張ってくれていて自分は何もやっていない。全然点も決めていなくて、納得はしていない。(キャプテンとして)最初のときはまだ杉田と佐久間が復帰するか危うい状態で、そこでは気合いが入っていた。でも二人が戻ってきたら、余裕だみたいな感じで油断してしまった。1年生も思いきりはあるが、まだ緊張する部分もあって自分らがその部分を補えなかった。(個人としての課題は)去年のリーグ戦や今年のトーナメントでスタメンで出ることが多かったが、そのときは自分はシュートを決めるだけだった。でも今回新人戦になったら、自分が攻めて周りを生かすことを考えなければならない。それができなかった。リーグ戦では自分も先輩たちを生かせるようにしたい。(リーグ戦へ向けて)先輩たちは1部にいけるレベルがあるので、今年を締めくくれるように1・2年生がサポートできるように頑張りたい。
・大野(文2=市立柏)
7日は試合展開がゆっくりだったので、昨日の練習からゲームスピードを上げることを意識していた。今日は前戦よりはスピードを上げられて4Qで逆転したところまでは良かったが、その後相手の33番に2連続で決められてそこから流れを持っていかれてしまった。そこを抑えるための対策が足りなかった。オフェンスは1対1にもっていける選手が少なく、外からのシュートばかりになってしまった。シューターがドライブできるようになればもっとプレーの幅が広がると思う。追い上げたところは、相手のシューター3人を抑えれば自分たちの流れにもっていけるということで、ディフェンスから流れをつかんだ。佐久間が強い1対1で相手のファールトラブルを誘ってくれたので、そういうプレーが多くなるともっと早くいい流れに持っていけたと思う。(リーグ戦へ向けて)今年は1部昇格のチャンスなので、4年生に頼ってばかりではなく、下からも声を出したりしてサポートをしていきたい。
・佐久間(済2=東海大相模)
やはり大事なのは入りだった。入りが悪いと、相手が強いので同点にするのがつらいと思っていた。最初12対2くらいまで落ちて。最初の点差が最後に響いた。追いつくのに精いっぱいで、一回追いついたが貯金が相手にはあったので、余裕があった。去年の結果を上回りたいって思っていたので、悔しい。まだできた。今日は強い気持ちでいけた。7日が変な入り方で、五分五分の試合をやって最後変な感じで勝ったけど、今日は気持ちでも負けていなかった。2、3Qで周りが見れて相手のファールがたまっていたのでそこを攻めようと思って。冷静に相手を飛ばせてからファールもらいにいけたので、プレーの幅が広がった。ファールは相手が来るのを予想してできたので、相手のエースを退場させることができた。誘うことができた。(収穫は)去年は1年生だったので、ただプレーするだけで良かったけど、2年生になって後輩がいるので、引っ張らなければいけない。声を出すのも自分たちを筆頭にやらなければいけないので、いい経験になった。後輩のミスもチームで取り返さなければいけない。1年生の頃はミスしても先輩が声を出してくれていたが、去年の倍は仕事しなきゃいけない。キャプテン、副キャプテンはいるけど、2年生なので自分も声だそうって。他の役職ついてない人とも、盛り上げていこうと話した。(リーグ戦に向けて)今年は4年生が引っ張ってくれると思うが、それだけに頼らず、自分もプレーで見せつけていきたい。だけど、けがが怖い。去年沖縄合宿でけがしたので、そこから1年かけて復帰した。去年はけがに苦しんだ。新人戦も最後は脳震盪で出場できなかった。けががなければ自分のプレーができる。頑張ります。
・杉田(済2=市立船橋)
序盤から自分たちも飲まれてて、普段やってることができなかった。フリースローも入らなくて、自分たちのやるべきことをやれずに負けた。悔いの残る試合だった。(終盤に逆転をするなどわずかな差だったが)逆転できたときは良かったが、そのままディフェンスが緩んで、それまでの気迫がなくなってしまった。追いついてからのディフェンスが前半のように戻ってしまった。そういう甘いところがだめだった。(けが明けでプレーの制限はあったか)制限できる相手ではなかったので、できる限りのことはできた。(今大会での成長は)最初始まったとき、副キャプテンと言われたが復帰していなくて。外から言っている立場で、(プレーの)中に入ってみると、外で見えるものと違うので、外から言うときは言い方が強かったが、中に入ったら強く言うと、選手も萎えたりしちゃうので、言い方を変えたりして。タメはもちろんだが、後輩にも言葉の配慮とか常に声かけをして、率先してリーダーシップを取れるようになった。(リーグ戦へ向けて)今年の目標は昇格すること。4年生を昇格させて引退させたいので、4年生のために自分でできることを探してやっていきたい。
TEXT=髙橋雪乃 PHOTO=藤井圭、木谷加奈子