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2016.06.12
ボクシング

[ボクシング]「勝てなかったことは0点」 悔し涙でリーグ戦折り返し


第69回関東大学ボクシングリーグ戦 

6月11日(土) 後楽園ホール

東洋大4-5東農大

【LF】 ●村地(判定)桑原○

【F】○福井(判定)山内●

【B1】●木村(判定)中野○

【B2】○馬場(判定)北浦●

【L1】●吉田(判定)中島○

【L2】○中川(判定)山下●

【LW】●小林(判定)鈴木○

【W】○原田直(判定)村上●

【M】●宮内(判定)押川○


開幕3連勝中と調子のいい福井


階級を上げている馬場も3連勝と好調だ


今季初勝利の原田直



 リーグ戦の折り返し地点である3戦目は昨年4対5の僅差で負け越した東農大に皮肉にも同様の4対5と黒星に泣いた。軽量級の福井(営2=駿台学園)や馬場(文2=王寺工)の開幕3連勝の活躍や、リーグ戦好調な中川(ラ2=高知)の2勝利目、また今季リーグ戦勝ちなしだった原田直(営2=崇徳)の初勝利も決まったがチームとしては勝ち切れなかった。

 試合前、会場には緊張感が漂っていた。それもそのはず東農大は過去10年間で1度しか勝てていない苦手意識のある相手だ。格上に間違いないが、開幕2連勝の勢いをぶつけるようにフライ級でリングに上がったのが福井だ。前半は冷静に相手のパンチをかわすなど、攻守ともに安定感のあるボクシングを見せる。「(LF級の村地が)めっちゃいい動きしていたけど及ばなくて。ここで俺が取り返すぞという気持ちで戦った」と振り返ったように、最後には強気にロープ際に追い込み勝利を決めた。

次に白星を挙げたのはバンタム級の馬場だ。相手の北浦(東農大)は4度戦っている経験から、お互いの手の内を知っているというやりづらさを抱えていた。「自分のスタイルを崩されて立ち上がりに時間がかかってしまった」と苦い表情を見せたが、後半で立て直しに成功し顔中心に何度もパンチを決め込み、福井とともに開幕3連勝をつかんだ。二人の開幕3連勝について三浦監督も「練習見てもひとつレベル上がっているのはわかる。結果を出してくれているのはありがたい」と表情を緩めた。

 続く重量級で力を発揮したのは前回の法大戦でリーグ戦初勝利を飾った中川。足をしっかり動かし長いリーチを生かしたボクシングで2度目の勝利を決める。そしてもう一人調子を取り戻してきたのが原田直だ。駒大戦で起用されるも思うように勝てず、スランプが続き、いいコンディションとは言えない中で、なんとか今季初勝利。「絶対自分が取らないといけないと分かっていたので、負けたら東洋クビになるくらいの気持ちでいた」とミドル級の宮内(済3=習志野)に4-4でバトンをつなげる。勝利の明暗を分ける試合にリング下の応援にも熱がこもり、宮内も必死に相手選手に食らいつくが勝利には及ばず4対5で東農大に敗北した。

 「チームが負けたのが悔しい」。勝利を決めた選手たちは口をそろえて悔しさをあらわにした。三浦監督も「接戦もなにも我々に求められているのは勝つことで、勝てなかったことに関しては0点」と厳しく振り返る。「(接戦は予想がついていたが)わずかながら相手を上回り、勝ちを拾うような試合をしてくれると思った。勝ち切れなかったのは自分の責任でもある」(三浦監督)。接戦で勝ち切る力を養うことが今後の課題として見えた試合となった。リーグ戦は早くも折り返し地点に突入し、今の戦績は2勝1敗。まだまだ優勝に望みは持てる。しかし次なる相手は絶対的王者日大だ。日大を倒せなければ優勝は間違いなく遠のく。今回の東農大戦で目立った接戦で勝ち切れない“もったいない試合”を減らし王者日大に挑む。

■コメント

・三浦監督

開幕2連戦していたので勢いをぶつけていったが、東農大という伝統校の壁にやられた。接戦もなにも我々に求められているのは勝つことで勝てなかったことに関しては0点。主力2人(秋山、齋藤)が出られない中でのオーダーだったが、少し農大のオーダーにもやられた、という感じ。勝った選手で良かったのは福井。常に冷静に先手打って、守れて、誰が見てもポイントを取っていったので実力を発揮できた選手。次は馬場と中川。馬場も強い相手に自分の力出して得点ピックアップできていたので良かった。(福井・馬場の開幕3連勝について)練習見てもひとつレベル上がっているのはわかるので、結果を出してくれているのはありがたい。ただ、原田直に関しては30点くらい。手数が少ないリードが少ない、あとクリンチが多かった。指導してきた目指しているボクシングとはかけ離れているものだった。(東農大戦は)競る試合にはなると思っていたが、厳しい練習もやってきたのでわずかながら相手を上回り、勝ちを拾うような試合をしてくれると思った。勝ち切れなかったのは自分の責任でもある。日大を倒して、次の拓大もたおすことができると、まだ優勝も残っているので精一杯やっていきたい。

 

 

・馬場(文3=王寺工)

相手が今日4度目でやりづらかった。どんな選手かは把握していたのでイメージはしていたが、お互いに手の内を把握しているため、かわされたり、ぶつかったりが多かった。また思ったより相手が前に出てきて最初は困惑した。相手の動きが予想と違ったため、自分のスタイルが崩され、立ち上がりに時間がかかったところが悪かった。良かったのはその後にきちんと立て直して自分のボクシングが出来たこと。東農大は去年も一昨年もずっと意識していた。しかし、今まで勝てていなかったので気合は入っていた。(開幕3連勝について)チームに貢献できているのはいいと思う。だが、自分の試合内容にはまだ納得できていない。自分の思うように出来るようにしていきたい。(日大戦に向けて)自分が勝つのはもちろんだが、チームの勝ちを意識してやっていきたい

 

・福井(営2=駿台学園)

今日は理由は特にないけど緊張してしまった。いつも一緒に練習しているライトフライ級の村地と一緒に勝とうなって言っていて、(村地は)めっちゃいい動きしていたけど及ばなくて。ここで俺が取り返すぞという気持ちで戦った。(3連勝と好調だが)一戦一戦集中してるのであまり好調な実感はない。(昨年はライトフライ級だったが)フライ級のほうがやりやすい。前は減量きつかったので。今はちょうどいい。今日は少し力んだけど、相手のパンチが見えた。アッパーの右ボディで返せた。(反省点は)気持ちの弱い部分が出てしまった。もっと強気でいける場面があった。気持ちを強く、強くといつも心がけているのでまだいけたかなと。本番じゃないとそういうのは、試せないので。練習中で強くても試合で弱かったら意味がない。(チームは負けてしまったが)悔しい。宮内さんは自分的に勝ったと思った。あと吉田さん。もったいない。(次戦に向けて)次当たる相手が個人でも負けている相手。高校時代に。次は勝ちます。リベンジします。それしかないです。

 

 

・中川(ラ2=高知)

自分が勝てたのは嬉しかったけど、内容的に勝っていた人もいたのでチーム自体が負けたのがすごく悔しい。吉田さんと宮内さんは勝ったと思った。個人的には勝てたけど本当に悔しい。自分は安定していたところとそうでないところがあったので、もっと安定したボクシングができるようにスタミナをつけないと。基礎的なことをやらないと駄目だなと。前の試合で秋山さんがけがしたので自分がライト級になるだろうなと思っていた。チームのために頑張れた。みんなの応援のおかげで気持ちが出せた。みんなのおかげで勝てた。自分が勝ってもチームが勝てないと意味がないので、終わってからもチームが勝てるように応援した。(収穫は)ボクシング自体は攻撃的で良かったが、あとはスタミナをつけたい。(前回村田さんに褒められたが)すごく嬉しくて。それが全部今回に繋がった。相手は東農大でいつもは下からの気持ちで臨んでたけど、今日は対等な気持ちでいけたのでそれは良かった。今、チームが勢いに乗っていて、まだ優勝できなくなったわけじゃない。全員が勝てるように練習から頑張っていきたい。

 

・原田直(営2=崇徳)

チームが負けたことがめっちゃ悔しい。自分の勝ち負けよりもチームが負けたのが悔しい。でもすぐ日大戦なので切り替えて頑張っていきたい。(東農大は)自分が1年生の時に負けた相手で、それで優勝が遠のいたという負い目があったので、今回は絶対取らなきゃという気持ち。個人的に内容はダメだったけど勝てたということは良かった。この勝ちが次また勝てる弾みになればいい。比較的やりやすい相手ではあったが、リーグ戦の圧力と緊張でやられて思うようにやれなかった。自分のコンディションは悪かった。海外の試合から帰ってからずっとしんどくて体調管理もできず、正直ボクシングが楽しくないなと思う瞬間も多くて、でもそんな中で今回なんとか勝てたことは次に繋がりそう。(4-3で負け越してる時に順番が回ってきて)絶対取らないといけないのはわかっていたので、やるしかないな、俺負けたら終わる、負けたら東洋クビになるくらいの覚悟でやった。個人でも勝たないとチームの勝ちも出てこないので、勝って、大学リーグ優勝に向けて頑張りたい。



TEXT=玉置彩華     PHOTO=稲垣碧、阿部未央奈、中村緋那子