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第57回平成国際大学長距離競技会
6月25日(土) 鴻巣市陸上競技場
男子800m
7組
1着 海谷 1'56"81
2着 本平 1'58"69
引退レースとなった本平(左)、久しぶりのレースに出場した海谷
中距離陣の4年生、海谷(ラ4=東海大山形)と本平(済4=御調)が男子800mに出場。本平は引退レースという形で現役生活最後の走りを見せた。
海谷、本平は共に「今日は楽しんで走った」と語る。同じ組で出場した二人は、後続を寄せ付けない走り。400m付近ではほぼ互角の競り合いを展開する。ラストは海谷が抜き出るも、本平も粘り強さを見せた。そんな本平にとってはこれが競技生活最後のレース。「一番の目標は日本選手権の参加標準記録を切ることだった」と語った彼だが、先月の記録会でその目標は惜しくも叶わず、引退する決心がついた。1年生の時に出した51秒台のタイムは今でも印象に残っているという。あれからおよそ3年、最後のレースを終え「いざ終わってみると早かった。塩田先生にいいところを見せられなかったことが悔しい」と振り返る。悔しさを滲ませるも、「陸上をやっていなかったら今の自分はなかった」と陸上を通じて出会った全ての人に感謝の言葉を述べた。今後については、競技は続けず、後輩のサポートに尽力する。いままで長い間一緒に走ってきた後輩に誰よりも期待し、希望を託す。涙は見せず、表情は晴れ晴れとしていた。
海谷もまた、右アキレス腱の故障明けのため3ヵ月ぶりのレースとなった。練習不足も相まって、現状確認をテーマとしてレースに臨んだが、「今の段階としては意外ともった」と海谷。レース前は「ずっと走りたくてうずうずしていた」。レース直後は満面の笑みを浮かべた。タイムはまだまだだが、次回、次々回とタイムを縮め、全日本インカレの標準記録にのせるとの抱負を抱く。
「気持ちよく走る」。塩田部長の言葉が今日のレースを象徴づける。最後のレースとなった本平。けが明けでこれからが勝負の海谷。一見対照的な二人だが、両者走る喜びを噛み締めてのレースとなった。記録だけではない、様々な思いが込められての走りだった。残った選手はその思いを受け止め、さらなる躍進を誓う。
■コメント
・塩田部長
(今日の出場の意図は)本平はもしかしたらこれで引退かもしれないというのと、海谷は今まで故障をしていたので日本インカレの標準記録突破に向けてまずはレースに慣れることが目的だった。そういう意味では二人ともあまり積極的にいくことはなく、気持ちよく走るという感じ。次の記録会では何か試して課題を見つけられるような走りを期待したい。
・海谷(ラ4=東海大山形)
故障をしていて(右アキレス腱)、故障明け一週間しか練習していなかった。タイムを狙うというわけではなく、現状を知るという形で走ったが、意外と長くもったので自信につながった。久しぶりにレースに出場して楽しかった。走りたくてうずうずしていたので、走れてよかった。今後の展開については日本インカレの標準を切りたいと思っているので、来週、再来週と連戦が続く中で少しずつタイムを上げていければいいかなと思っている。
・本平(済4=御調)
今日は引退レースという形で出場した。特に設定タイムを持っていたわけでもなく、最後だからっていう意識もなく、本当に気楽に走った。楽しむことが目的で、記録が付いて来たらいいなとは思っていた。こういう結果で後輩たちには申し訳ない姿だった。これからマネージャーになるかどうかは分からないが、寮を出るまでは後輩たちのサポートをしていきたい。(引退の理由は)一番の目標だった日本選手権の標準を切れなかったのが大きい。(卒業後の競技は)続けない。(競技生活を振り返ってみて)中学1年から続けてきて、高校2年で本格的に取り組み始めた。色んなことがあったので刺激的だった。陸上が無かったら自分はここにいないし、塩田先生を始め、中学、高校の 先生がいなかったら今の自分はここにはいない。陸上を続けてきて良かった。(大学4年間は)塩田先生にいいところを見せられなかったことが悔いに残っている。(思い出に残るレースは)大学1年のときに初めて51秒台を出したとき。本当にうれしかったので、今でも印象に残っている。1年生の頃は「まだ4年間もあるのか、長いな」と思っていたが、いざ終わってみると早かった。(後輩の活躍については)眞柄(済3=三条)は3年間一緒にやってきて、色んなところ見てきた。増田(ラ2=北陸)と松崎(済2=中央学院)は寮の部屋子だし、長尾(社2=城西大城西)は自己ベストも自分より速い。本当にみんな頑張ってほしい。
TEXT=大谷達也 PHOTO=伊藤空夢