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平成28年度東都大学野球秋季1部リーグ戦・中大2回戦
9月6日(火)神宮球場
○東洋大6-1中大
快音を響かせた笹川
ベンチで仲間からの祝福に思わず白い歯を輝かせた
この男の勢いは止められない。三回、先頭の副将・阿部健(営4=帝京)が右翼席へ本塁打を放つと、後に続いて笹川主将(営4=浦和学院)も一振り。内角寄りの球を仕留め、豪快な2点本塁打をバックスクリーンの左横へ運んだ。春に放った本塁打も中大から。「ホームランを打った時の感触だった」と本人も納得の一発に、駆け抜けたダイヤモンドでは笑顔が止まらなかった。
長いトンネルから抜け出した。1年秋から股関節を痛め、2年秋に手術を決断。車いすや松場づえ生活が続き、「足を気にするあまり、フォームがおかしくなってしまった」と、思うように体が動かせない時期を過ごした。手術から2~3年で感覚が元に戻るため、「迷いはもうない」と晴れ晴れとした気持ちで試合に臨めている。高校時代から7年間笹川を見ている明石学生コーチ(法4=浦和学院)も、「打てていた頃のバッティングができている。これが本来の姿」とどこか嬉しそうだった。春の試合前には、一人で素振りする姿が多かったが、今日は後輩ともじゃれ合い、心の中につかえていたものが取れたように見えた。
連勝し、「初戦で勝ち点を取る」という第一関門は突破した。チーム全体も非常にいい調子に感じるが、「今日は雰囲気が良くなかったから、空き週でより精度を高めたい」とおごることはない。姿で引っ張る主将のさらなるパワーアップが続いていく。
■コメント
・笹川主将(営4=浦和学院)
犠牲フライを打とうと考えていたから楽に打てた。芯に当たったので、ホームランを打った時の感触だった。バッティングの調子は良く、思うように体を動かせている。気持ちの面が大きく、結果につながるのはここなんだと思った。今は悪い時に波をどうなくせるかが大事だと思う。来週は空き週だから、勝てて過ごせるのはよかった。より精度を高めて国学院大に臨みたい。
TEXT=美馬蒔葉 PHOTO=望月優希、美馬蒔葉