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第71回国民体育大会 ボクシング競技
10月6日(木)~10月10日(月) 岩手県水沢体育館
◆フライ級
準優勝 星(済4=黒沢尻工)
2回戦敗退 馬場(文3=王寺工)
1回戦敗退 福井(営2=駿台学園)
◆バンタム級
1回戦敗退 工藤(営4=作新)
◆ライト級
準優勝 木村(営1=飛龍)
◆ウェルター級
優勝 金城(東洋大OB)
◆ミドル級
3位 原田健(営1=安芸南)
3位 高江洲(東洋大OB)
◆ライトヘビー級
準優勝 宮内(済3=習志野)
2回戦では相手を圧倒した木村
悔しさを糧に全日本では優勝を狙う
見事に初優勝を飾った金城㊨
岩手県で開催された国民体育大会(以下、国体)でライト級の木村(営1=飛龍)が準優勝、OBでウェルター級の金城(東洋大OB、現自衛隊体育学校)が優勝を果たした。木村はリオオリンピック代表相手に健闘するも、初優勝とはならなかった。金城は大会を通して安定した戦いを見せ、国体初優勝を飾った。
優勝まであと一歩だった。リーグ戦では1年生ながらすべての試合に出た木村。周りの期待も大きかった。その期待に応えるかのように、初戦ではTKO勝ちで相手を圧倒した。続く2回戦は危なげない試合運びで勝利を収めると、準決勝では相手の素早い攻撃をかわし続け、右フックで点数を稼ぐ。判定は2-1と接戦だったが見事に決勝への切符を勝ち取った。決勝進出を決め、「大学に入ってから初めての全国大会で1年から決勝に行けたのは素直に嬉しい」と語った。しかし決勝の相手はリオオリンピック代表の森坂(東農大)。一筋縄ではいかない相手に「もう最初から思いっきり打ち込んでいこうと思っていた」という言葉通り、1ラウンド目から持ち前の軽いフットワークを武器にパンチを出し続ける。しかし2ラウンド目は森坂のテンポに乗せられ、空振りが目立った。最後まで流れを変えることができず、主導権を握られたまま試合を終え、惜しくも準優勝となった。
試合を振り返って木村は「自分のボクシングをできなかったのが決勝戦の敗因」と悔しさをにじませた。だが「全日は結果にこだわって、優勝を狙っていきたい」と1ヵ月後の全日でのリベンジを誓った。三浦監督も「相手はオリンピアンだけど、差はほとんどない。勝ち切れるような練習をさせたい」と今後の伸びしろに期待している。
また、東洋大OBのウェルター級・金城は初戦を1ラウンド2分5秒のTKO勝ちで飾り、好スタートを切った。次の2回戦では、本人も「決めに行く所で大振りになってしまった」と振り返るようにパンチが思うように当たらない展開となる。それでも手数を出し続けてポイントを重ね、2-1で勝利を収める。続く準決勝ではガードの固い相手に対して積極的な攻撃でポイントを稼ぐ。これが奏功し、3-0の圧勝で決勝進出を決めた。「(相手は)元々下の階級だったので動きが速い。大振りにならないように集中したい」と警戒した中で臨んだ決勝戦。序盤は相手の軽いフットワークに苦戦を強いられるも、連打を浴びせ応戦する。徐々に動きに慣れてくると、今大会際立っている左右のコンビネーションで、リングサイドに押し込む。また、上下に打ち分けたパンチを次々と繰り出していき、攻撃のすきを与えない。3ラウンド目は相手が攻勢に転じるも、盤石な試合運びを見せて3-0の判定勝ちで、見事初優勝を飾った。終始試合の主導権を渡さず、三浦監督も「パーフェクトに近い試合だった」と称賛した。
金城は大会を振り返って「自分の距離でやれば勝てることが分かった。もっとディフェンス面を強化していきたい」と収穫と課題を語った。また、今後の目標については「全日本で優勝して、日本代表に選ばれたい」とさらなる飛躍を誓い、次のステージを見据えた。
■コメント
・三浦監督
現役学生3名が決勝に行って、3名とも決勝で負けてしまった。やはり、優勝の壁はひとつ高いものがある。各選手頑張ったが、足りないところがあるので詰め直す。結果から言ったら去年より成績は良い。優勝するには大舞台での精神状態が必要。練習は良い練習を積めているので、メンタル面も含めて強さ。星の相手はテクニックがある選手。そこを崩しきれなかった。もう少し出入り、前のプレッシャーのかけ方をやれたら、もう少し崩せたかな。木村は自分の力をフルに発揮した。負けはしたが、周りの選手から「すごい良いね!」と言われる選手になった。相手はオリンピアだけど、差はほとんどない。勝ち切れるように練習させたい。宮内の相手はライバル。同学年で7戦しているが、今のところ全敗。その中でも差は縮まっているがもうひと山、ふた山欲しい。山場を多く作ることが課題な中で、当てて終わっていた。そこで当ててその後連打をして山場を作ることが出来なかったので残念。金城は前にもいけるし、手数も出るし、山場も作れるという意味でパーフェクトに近い試合だった。誰が見ても金城が勝ってた試合。安定してきた。ベースは東洋大のときと変わらないが、手数と技術が付いてきている。全日本はもう一段階レベルが上がる。国体のように決勝に何人も行くことは難しいと思っている。ただチームとしてみんなで声を出しあって練習することで、チームの勢いを持ったまま愛媛に行きたい。今回は秋山と原田直がまだ出てないので、全日本でどこまでやれるのか楽しみ。
・金城(東洋大OB、現自衛隊体育学校)
しっかりと打つことができた。クリーンヒットを多く当てるようになれたので良かった。(収穫と課題は)自分の距離でやれれば勝てる。課題としてはディフェンスをもっとつき詰めていきたい。(東洋大から3人決勝進出したが)木村は1年生なのにすごい。宮内は差はそんなにないと思う。星は地元開催ということもあってすごく練習してたと思う。その成果が結果に出た。(次の目標)全日で優勝したい。それで日本代表にも選ばれたい。
・木村(営1=飛龍)
相手はオリンピアンだったので、自分がどこまでいけるかわからなかったし、1回級上だったので、1ラウンド目は自分の距離でやろうと思ってた。1ラウンド目は結構やりあえたが、これじゃ勝てないなと思ったので、2ラウンド目からは自分から前にいったのが逆に仇となって相手にはまってしまった。相手はさすがはオリンピアン。ラウンドごとに修正してきたので、そういうところは実力差を感じた。自分のボクシングでできなかったのが決勝戦の敗因。1ラウンド目は距離を取ったので、その距離でどれだけパンチをもらわずにするのかが今後勝因になると思うので、これからはそれを磨きたい。結果はこだわっていなかったが、全日は結果をこだわって、優勝を狙っていきたい。
TEXT=阿部未央奈、豊川拳大 PHOTO=高橋雪乃、豊川拳大