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2016.10.11
ボクシング

[ボクシング]星、宮内ともに初の準優勝!

 初の決勝進出にガッツポーズ


地元の声援を力に奮闘した星㊧

ライバル相手に果敢に攻める宮内㊧

リベンジは叶わなかった


 フライ級の星(済4=黒沢尻工)とライトヘビー級の宮内(済3=習志野)は国民体育大会(以下、国体)で準優勝に輝いた。星は昨年の国体の準決勝で敗れた相手、宮内は長年のライバルに雪辱を果たすことはできなかった。しかし、互いに最高位となる準優勝を飾った。


 大喝采の中リングを降りると、客席に向かい深く一礼をした。星にとってボクシング人生最後の大会。地元である岩手で開催される国体を最後の舞台に選んだ。8月から岩手選手団の合宿、9月には埼玉の自衛隊体育学校の合宿に参加した。「星は全てを懸けて練習してきた」と三浦監督。最後にして最大の戦いが始まった。

 昨年の和歌山国体では3位に終わり、初めての決勝にはあと一歩届かなかった。そのときの相手は林田(和歌山県庁)。フライ級元全日本チャンピオンであり、アジア大会でも3位に輝くテクニックも経験値も高い選手だ。岩手国体でも優勝候補だった。トーナメントの抽選の結果、彼とは反対のブロックになった。「林田選手と反対のブロックになった時点で決勝に上がってくるだろうと思った」と決勝での再戦に燃えていた。初戦をTKOで勝利し、2回戦、準決勝も順調に勝ち進む。そして迎えた決勝。それは彼にとっての初舞台だった。「やっとここまで来たか」。相手は星の予想通り、林田だ。地元の観客の大声援の中、始まりのゴングが鳴った。「自分のインファイトに持ち込めば、勝機はある」と攻略通りに果敢に距離を詰めようとするも、簡単に懐には入らせてもらえない。それでも、詰め寄り連打を浴びせたが、すかさず相手のカウンターが星をとらえる。声援が後押しするも、距離が遠い分手数が伸びない。結果は3-0で敗北。リベンジはかなわなかった。

 試合後こそ「最後じゃなかったら、2位という結果はうれしかった。最後だからこそ優勝したかった」と悔しさをあらわにしていたが、地元の声援に大きな力をもらったという。「いつもなら試合前に勝ちのイメージがつかない。だけど今回はすごい大声援で気持ちも楽になったし、勝ちのイメージもできた。応援も全部聞こえていた」と語った。最後は「楽しかった!」と笑顔で幕を閉じた。


 またライトヘビー級で出場を果たしたのは宮内だ。三浦監督いわく、「今大会のライトヘビー級のトーナメントを見る限り、決勝に行かないといけないレベル」。なんとしてでも決勝戦にあがりたいところ。そんなプレッシャーをよそに「もちろん優勝を目指して挑んだ」と宮内は初戦から強気に戦う。東洋大のチームメイトからも「宮内は調子が良い」と言われるほど快勝が続く。コーチからの「足をしっかり使って」というアドバイスを受け、調子が良くなったという。そのまま順調に決勝戦まで駒を進めた。

 その決勝戦の相手は高倉(日大)。今まで6戦6敗と勝利経験は一度もない。「次こそは勝つ」。そんな思いを胸に宮内はリングへと上がった。1ラウンドから積極的に手を出し攻めるが、相手のパンチはさらに力強く強烈。厳しい試合だったが3ラウンド目には最後の力を振り絞って果敢に攻め切った。しかし勝利の女神は微笑まず、今回も勝利には及ばなかった。試合後に「気持ちで負けた」と振り返った宮内。しかしながら、自己ベストの成績となった国体2位には「良かった」と初めて安堵の表情を見せた。全日本への出場が決まっている。目標は「優勝」と即答した。国体での収穫を胸に、宮内は1ヵ月後の愛媛を見据えている。


■コメント


・星(済4=黒沢尻工)
 相手の林田選手は去年の国体準決勝で負けた経験がある。距離がある選手なので、それをどう攻略するかだった。それに向けた練習をしてきたけど、今回もまた懐に入れてもらえず、思ったようなボクシングはさせてもらえなかった。準決勝突破したのがボクシング人生7年目にして初めてだった。やっとここまできたか。やっと来れたかっていう気持ち。林田選手と逆のブロックになった時点で、決勝に上がってくるだろう思ってた。相手と距離を詰めて、自分のインファイトに持ち込めば勝機はある。その距離を潰そうと思って練習してきたが、あんまりイメージ通りに行かなかった。地元での開催で気合いはかなり入ってた。むしろ気合いで勝ち進んだ。いつもリング上がる前や入場口に並ぶときに勝ちのイメージができない。今回はすごい大声援で気持ちも楽になったし、勝ちのイメージもできた。応援も全部聞こえてた。すごいありがたかった。ボクシングは国体で最後。最後じゃなかったら2位という結果は嬉しかった。最後だからこそ少し悔しい。でも、ボクシング人生は楽しかった!

・宮内(済3=習志野)
優勝を目指して挑んでいた。(決勝までの4戦はどうだったか)徐々に調子が上がっていたが、決勝は落ちてしまった。コーチから、ミットとか足をよく使えというアドバイスをもらって実践したら良かった。決勝に行かないといけない試合ではあったので、上がる自信はあった。6戦6敗している相手で、今回こそ勝ちたいなと挑んだが負けてしまった。気持ちで負けた。(国体2位は)自分の最高成績なので、まあ良かったかなという気持ち。自分のスタイルを崩さずに、足を使ってやっていきたい。


TEXT=髙橋雪乃、玉置彩華  PHOTO=稲垣碧、阿部未央奈、高橋雪乃