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第55回全日本50km競歩高畠大会
兼 第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)男子50km競歩代表選手選考競技会
10月23日(日) 高畠まほろば競歩コース(日本陸連公認2.0km周回コース)
一般男子20km競歩
3位 及川 1:22'55
7位 河岸 1:26'26
DQ 石川
DQ 山下優
3位で表彰台へ上がった及川
河岸は堅実な歩きで7位入賞を果たした
山形県の高畠町で行われた大会で20km競歩に4名の選手が出場。及川(済3=愛知)が序盤に前に出る歩きで3位に、河岸(ラ2=飾磨工)が7位に入賞した。好成績を納める一方で警告を受ける選手も多く、歩形に課題を残す大会となった。
曇天の下、スタートの号砲が鳴った。まず先頭へ出たのが及川だ。目標タイムをオリンピックの派遣設定記録である1時間20分12秒に設定し、開始直後から速いペースで足を進める。しかし長くは維持できず、トップ集団を形成していた二人の選手に前へ行かれ、じりじりと引き離されてしまう。前を追う展開となった及川であったが、終盤で2枚目の警告カードが出されてしまう。警告は3回出されると失格になってしまうため、速度を上げようにも失格の恐れがあり攻めきれない。「思うように歩けなかった」とそのまま差を詰められずに3位でゴールとなった。
20kmに出場するのは約4ヵ月振りであったという及川。前大会で警告を受け失格になったため、歩形に重点を置いて練習に取り組んできていたが「まだまだ身になっていないところや改善するところがある」と振り返った。だが、警告を受けた後の焦りが出やすくなる場面ではしっかりとフォームを保ち完歩できたことは杉本コーチも評価するところだ。及川は来年のユニバーシアードの代表を目指している。今大会で得た課題を克服できれば必ずや代表の座を獲得できるだろう。
また、河岸は縦長に伸びた集団の中ほどでレースを進め、徐々に順位を上げると7位に入賞を果たした。今大会は来年ロンドンで開催される世界陸上の50km競歩の代表選考も兼ねていたため、国際審判によるジャッジでのレースとなっていた。厳しい判定で失格になる選手もいた中で歩き切れたのは一つの収穫と言えるだろう。そもそも国際レベルのジャッジで完歩できなければ世界の舞台では戦えない。今回東洋大からも失格となる選手が出ており、「チームの課題として取り組んでいかないといけない」と杉本コーチは歩形の見直しや改善がチーム全体に必要だとした。
松永(工4=横浜)という日本を代表する選手を輩出した東洋大の競歩部門。その偉大な先輩に続けるか。今後の競歩部門の成長に期待がかかる。
■コメント
・杉本コーチ
(出場の意図は)今回初めて私が連れてきたが、まず一つは夏の成果を見ることと、1年生の石川は初めての20kmなので色んな意味での経験を積めるかなと思い連れてきた。3年生とかは上位入賞、優勝を目指した中での取り組みだったと思う。(レースの評価は)及川、河岸が入賞してくれたことは良かったと思うが、内容的にはこの条件のわりにはタイムが良くなかった。山下優と石川に関しては12km、14kmという早い段階で失格になってしまったところは歩形の問題などがある。しっかり改善してこの20kmを歩ききれるように取り組んでいかないといけない。トラックとロードの違いというのもあると思うが、国際審判の先生がおられる中での競技会というのは大変ジャッジが厳しいのでその中で歩き切れるような歩形を身に付けていかないと世界では戦えない。歩形の問題はあるにしても、きっちりチームの課題として取り組んでいかないといけない。今回失格にはなったが石川の前を追いかけようという積極的な姿勢は良かったし、及川も失格になりかけていたので最後は安全運転というようになったが最後まで歩き順位を残せたことや、河岸もタイムは悪かったが入賞できたという収穫もあった。個人の課題も見つかった大会ではなかったかと思う。
・及川(済3=愛知)
久しぶりの20kmだった。5月の末に20kmで失格してから歩形を1度しっかり見直して、間にインカレもあったりしたが今回の高畠に向けて4ヵ月間長い間準備をしてきた。しっかり準備はできていて、自分の中でいい感覚を持ってこの大会に臨めた。だが、歩形の乱れや安定ができていなくて警告を2枚貰う結果になってしまった。2位の選手を追いかけて行きたかったが失格の恐れがあったので追うことができずに出しきれないまま終わってしまった。思うように歩けなかった。(レースプランは)今回タイムを狙っていて、派遣設定記録の1時間20分12秒を目標に京大の2位の選手の山岸と二人でしっかり狙っていこうということで狙っていた。入りは4分ペースでタイムを刻めたが、2km、3km時点で4分を越えるペースになってしまってそこからはずるずると落としてしまい、あまりいいレースの流れではなかった。今回1番思ったのが歩形の乱れ、警告を2枚貰ってしまったことで、6月の失格を受けてから4ヵ月取り組んできたがまだまだ身になっていないところや改善するところがあると思った。その中でも手応えも感じているので、来年はユニバーシアードがあり3月には選考会があるので、次の20kmは2月、3月の日本選手権と学生選手権になるのでもう1回ここからしっかり頑張っていきたい。
TEXT/PHOTO=吉川実里