Article

記事


2016.10.25
硬式野球

[硬式野球]主将が猛打賞もVならず 指揮官「東都で優勝するのは大変だと痛感した」

平成28年度東都大学野球秋季1部リーグ戦・日大1回戦

10月25日(火)神宮球場

●東洋大3-4×日大

(イニングスコア)

1回戦









東洋大




日 大2×


(東洋大)

片山翔、山下、中田、●飯田(3勝2敗)、石倉―西川元

本塁打:笹川(一回)

二塁打:茶谷(五回)


・打撃成績

打順                    
守備
名前




(二)
阿部健(営4=帝京)

(右)
安西(営4=聖光学院)
4


(指)
中川(法2=PL学園)

(中)
笹川(営4=浦和学院)
(一)蛭田堅斗(法3=平塚学園)

打一上島(営4=佐久長聖)

打一鳥居(営4=愛工大名電)
(三)田中将也(営3=帝京)
(捕)西川元(営3=浦和学院)
(左)茶谷(営4=東北)


打左西村(営4=広陵)

(遊)津田(総1=浦和学院)





30


・投球成績


名前


球数

四死球


片山翔(法3=大社)72/330119
山下(営1=東邦)0/3
中田(営2=大宮東)0/3
●飯田(営3=常総学院)
2/321
石倉(営4=帝京)0/3



チームのための一発を放った笹川


主将はピンチのときでも表情を穏やかにしていた



日々「優勝したい」と口にしていた阿部健はその場で肩を落とした



 日大との優勝を賭けた大一番は、まさかの逆転サヨナラ負け。初回に主将・笹川(営4=浦和学院)の一発で2点を先取し、五回には副将・阿部健(営4=帝京)の犠飛で1点を追加。先発の片山翔(法3=大社)は、六回にクリーンアップを三者凡退に仕留めるなど、8回途中6奪三振の好投を見せる。しかし、後続の投手陣が粘り切れなかった。日大の12年ぶりとなる優勝を目の当たりにし、チームは涙に暮れた。


 初回、2死から中川(法2=PL学園)が出塁すると、笹川はその隙を逃さず3球目をフルスイング。打球が左中間スタンドに入った瞬間、右の拳を突き上げた。三回には二塁打を放ち、八回には前の打者二人が凡退するも、中前打を放った。この試合3安打の猛打賞。主将が勝利への粘りを見せた。

  「優勝しなくていい」。毎日のミーティングでそう言い続けてきた。その理由には、自身が夢とぶつかったときに抱いた感覚があった。主将という重圧なのか、夢のために結果を出せなければならない焦りなのか―。今春の終わり、自らの進路を気にするあまり、自分のプレーが最大限にできていないことに気がついた。自らが経験した“あの感覚”をみんなには味わってほしくない。「優勝を目指すということはそれだけ大きなことだから」。自身の大きな夢と、チームが目指す大きな目標を照らし合わせると、あえて「優勝しなくていい」と声をかけることにした。「優勝を考えるのではなく、試合になったときに自分のその場ですべきプレーを考えていてほしい。その結果に勝敗がついてくればいい」。八回裏、満塁のピンチの際、守備陣全員で円陣を組んだときには「勝ったら神宮大会、負けたら引退。自分の出来るプレーをしよう」と、みんなが硬くならないよう、終始表情はやわらかいままでいた。

 奇しくも、言葉通り優勝は逃してしまった。「詰めの甘さが出てしまった」と涙をぐっとこらえながら語った主将のシーズンはまだ終わっていない。タイトル獲得も目前に迫っているが「それよりもチームが勝つことが大切。勝ててないから意味がない」とバッサリ。明日からの試合は「4年間教わってきたことをすべてプレーに出したい」と指揮官への感謝を込め、残りの学生野球に全力を注ぐ。


■コメント
・高橋昭雄監督
 勝ちゲームだったから悔しいね。日大はよく粘って、最後は執念で叩きつけてきた。選手は責められない。東都で優勝することは大変だと痛感した。今日は色んな勉強をしました。(明日からは)このまま負けるわけにはいかない。頑張ります。

・笹川主将(営4=浦和学院)

今まで負けた試合は全て勝てたはずだったからもったいない。勝ち切れなかったのは詰めの甘さがあったから。今日の試合は下級生があまりよくなかったから、今度は優勝したいな、とか後輩がこれで何か感じ取ってくれればいい。チームが勝てないならタイトルは意味がない。自分のために戦っているわけではない。

・阿部健(営4=帝京)
 秋のリーグ戦をやってきて、こういう負け方は初めて。自分たちの弱さを知った。(片山翔は)立ち上がりは硬かったが、回を増すごとに勝ち急いでしまったのではないかと思う。(明日は)優勝はないができることをやって下の学年に残せるものは残したい。

・安西(営4=聖光学院)
 悔しいという思いしかない。(片山翔は)片山なりに頑張っていた。もっと打者が点を入れられればよかった。悔しさしかない。(明日の試合に向けて)このまま負けて終わりたくないので、明日勝って1試合でも長く試合をしたい。

・鳥居(営4=愛工大名電)

 向こうが勝ったら優勝という状態だったので、もちろん勝ちたかった。平常心でいつも通りいこうと思っていた。明日は優勝の可能性はなくなったけれど、悔いのないようにやっていきたい。

・田中将也(営3=帝京)
 3年生が4年生に付いていけなかったと思う。本当に悔しくて残念。詰めの甘さが出てしまった試合だった。
(次の試合に向けて)まだこれで終わりではないので、最後の試合は必ず勝って、来年につながるような試合にしたい。

・西川元(営3=浦和学院)
 勝ちゲームを落として負けて、悔しい。とにかく悔しい。片山翔は真っ直ぐも走ってて、スライダーも切れていたので、もう少し投げれたかなと思う。飯田も真っ直ぐもカーブも、コースに投げれてた。自分は、送球、バッティングともにリーグ戦の中盤まで調子よくなかったが、最近持ち直してきた。優勝は逃したが、負けられない。勝ち点だけは取れるように頑張りたい。

TEXT=美馬蒔葉  PHOTO=美馬蒔葉、永田育美