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平成28年度東都大学野球秋季1部リーグ戦・日大2回戦
10月26日(水)神宮球場
◯東洋大10―5日大
ルーキー佐藤は、得意のバッティングで爪痕を残した
意地の中前適時打で得点を重ね、日大を突き放した
電光掲示板の下段に“7”が点灯した。点差を広げられ、迎えた7回裏。東洋大学の校歌が球場を包み、応援団をはじめ観客は逆転勝利を望むのみ。その想いはナインのバットに乗り移り、「打の東洋」を象徴する猛攻で一挙7点と試合を決定づけた。口火を切ったのは、今季初スタメンでクリーンアップの5番を任せられた佐藤(営1=聖光学院)。先頭で打席に立つと、右中間に三塁打を放ち、「良い結果につながって良かった」と安堵の表情を見せた。
先発メンバー入りに、「正直びっくりした」と佐藤は目を丸くした。昨日ベンチ入りメンバーに登録され、日大の優勝を目の当たりにした。一夜明けた今日、「新チームで一丸となって頑張ろう」と全員で気持ちを新たにし試合に臨んだ。3年生以下で組まれたスタメンに、ただ一人1年生の佐藤が名を連ねた。「出ても代打だと思っていた」と驚きを隠せなかったが、それでも「使ってくれるならやるしかない」と闘志を燃やした。
七回、先頭打者として打席に向かう。「相手ピッチャーの球が高めに浮いている」と田中将也(営3=帝京)にアドバイスをもらっていた。「思いっきりフルスイングしよう」と気を奮い立たせ、甘く入った2球目の直球を右中間に運んだ。「打った瞬間、無我夢中でベースを駆けた」と渾身の走塁で無死三塁の好機をつくった。また、2巡目の打席では「(この回代打で出た)安西(営4=聖光学院)さんが必死につないでくれた」チャンスを活かし、得点を積み重ねた。
終わってみれば、2安打と指揮官の期待に大いに応えた。「チームに貢献したい」と評価の高いバッティングで勝負を3戦目に持ち越した。明日の勝ち点をかけた一戦が4年生との最後の試合になる。お世話になった4年生に、 “佐藤の恩返し”として勝利を贈る。
■コメント
・佐藤(営1=聖光学院)
(試合を振り返って)劣勢の状況で、自分がなんとか打ってチームに貢献しようと思って打席に入った。それが点につながって良かった。昨日負けて優勝を逃して、監督さんをはじめチーム一丸となってこれからの新チームで頑張っていこうとなった。その中で自分を使ってくれるなら必死にやるしかないという気持ちだった。(今季初スタメンで5番を任せられて)正直驚いた。出ても代打かなと思っていた。昨日ベンチ入りして、強いバッティングを期待されていたので、期待に応えたいと思っていた。それがいい結果につながってよかった。(7回に田中さんに)相手ピッチャーの球が高めに浮いてる、甘い球が来たらどんどん思いっきりフルスイングで強く振っていけばいいよ、と言われた。言われてほっとして、気が抜けて打席に入れた。まっすぐを打った。感触は覚えていない。打った瞬間無我夢中でベースを駆けた。(2巡目では)相手ピッチャーが変わって、安西さんが必死につないでくれたので、そのチャンスを生かそうと思った。ぼてぼてのヒットだったが、いい形になってよかった。(明日に向けて)キャプテン笹川さんをはじめ4年生と最後の試合で大事な一戦なので、チャンスをもらっている中、期待に応えられたらいいなと思う。
TEXT=星川莉那 PHOTO=望月優希