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2016.10.28
準硬式野球

[準硬式野球]リーグ最終戦 8点差を返す大逆転劇

平成28年度東都大学準硬式野球秋季1部リーグ戦・日大3回戦

10月26日(水) 上柚木公園野球場


東洋大10×―9日大(九回サヨナラ)


(イニングスコア)

3回戦










日大
30
0
5
00
0
0
1

東洋大
00
0
3
6
0
0
0
1x10


(東洋大)

川合(工1=日本文理)、割石(社2=越谷南)、木村(工1=青森)、瀬下(営1=藤代)-佐藤弘(法3=星稜)


黒瀧がサヨナラのホームを踏んだ瞬間、喜びを爆発させた


サヨナラ打の若原は猛打賞の活躍


笑顔で引退を迎えた3年生メンバー


 上柚木球場で行われた秋季リーグ最終戦。日大の強力打線が襲い掛かるも、8点差をひっくり返す猛攻。9回に追いつかれるも最後はサヨナラでゲームを閉め、勝ち点を獲得し総合5位という結果でリーグ戦の幕を閉じた。

 10月とは思えないほどの強い日差しが照り付ける中、リーグ最終戦は始まった。先発の川合(理1=日本文理)は立ち上がり、四球と失策が絡みピンチを作ると変化球が甘く入り適時打を許す。その後も立て直しが効かずこの回3失点。その後も走者を出すも要所を締め、なんとか得点は許さない状況。対する東洋打線は相手投手の力強い直球に差し込まれ、好機がつかめない。すると2番手の割石(社2=越谷南)に日大の強力打線が襲う。失策、四球を含めた5安打で一挙5得点、点差を8点に広げられる。

しかし今日は選手たちの目の色が違った。3年生にとってはこれが最後の試合。試合に出られない3年生も今回はベンチ入りしボールボーイなどの雑用を進んで取り組んだ。「3年生のためにという気持ちで試合に臨んだ」との若原(社1=九州学院)。さっそく同じ1年生の木村(理1=青森)が3番手として登板すると打者3人を完璧に抑え流れを呼び寄せる。4回に3点を返すと、5回には投手の代わり端を叩き、打者一巡の猛攻で一挙6得点の大逆転。随所に1、2年生の活躍が見られた。

9回の表に1点を返されると、同点のまま勝負は9回の裏へ。3時間半規定によりここで決めなければ再試合という状況でまたしても勝負強さが見られた。六番黒瀧(社2=朋優学院)が併殺崩れの間に出塁すると続くバッターは稲川(文3=稲毛)。「学生野球最後の打席だと思った。意地でも汚くていいから。」という強い気持ちがヒットを呼び、二死一、二塁のチャンスで若原がショートの真横に強い当たりを飛ばしこれがサヨナラの決勝打となった。

今期は一部の強い壁に苦しんだ。少しの差で勝ち点を落とすことが多く、チームは下位の5位に沈み優勝争いに加わることができなかった。しかし、レベルの高い一部で経験を積めたことは大きな進歩だ。3年生は抜けるが主力の1,2年生は残るため、来年こそ接戦を制し春のリーグ戦での1部優勝に向け大きな期待がかかる。

■コメント

・木藤主将(法3=浦和学院)

有終の美を飾ることができたと思う。(打撃陣について)アウトにならないっていう気持ちで打席に入るのが、最後の最後に結果として出たと思う。(リーグ戦を振り返って)うち以外の5チームはそのターニングポイントでエラーしないしフォアボール出さないし、ヒットを打てるっていう点で力負けしたかなっていう風には思う。(3年間を振り返って)楽しかった。どうしても立場上厳しいことを言うこともあった。傷つけることを言うけど、その後のフォローを彰哉(佐藤彰)だったりとか弘士(佐藤弘)だったり和樹(稲川)だったり。その3人を初めとして3年生が支えてくれた。(後輩へのメッセージは)勝ち負けというよりも、その前にどれだけ仲間を大切にして、仲間がいることに感謝してほしい。仲間意識を持てるかどうかによって結果も変わってくると思う。一人一人が、こいつがエラーしたから今度は俺が捕ってやるぞ、こいつが打てなかったからカバーしてやるぞっていうような仲間意識を持って。もちろん技術的な練習も必要だと思うが、そういうメンタルを持てれば1部で戦っていけると思う。


・佐藤彰(ラ3=早稲田)

初めてみんなにナイスゲームって言った。ベンチが昨日から雰囲気よくて、ベンチの出てない3年生の力がバッターの背中を押してくれた。(3年生が雑務も務めていたが)いつも1、2年生のやってくれてるメンバーと入れ替えて3年生を(ベンチに)入れた。そいつらの代わりに仕事をしてもらった。(今季を振り返って)接戦を取れてたら優勝争いにも入れたのかなと思う。簡単には勝たせてくれないが、接戦を取れるチームになれたら来季以降も1部に残って、かつ勝ち続けられると思う。(3年間を振り返って)いろんな大学から集まってきたいろんな人がいるチームだった。いろんな考え方、いろんな野球を知れた。(同期の選手に関して)去年のこの日からキャプテンと僕でまずはチーム改革をしないといけないということを考えた。野球をやって楽しいのは何かって考えたときに“勝つこと”じゃないかと話をした。勝つためにはやっぱり練習しなくちゃいけないし、厳しいことを言わなきゃいけない。そんな中で3年生が最後やるしかない、付いていくしかないっていうので一つになろうとしてくれたから、このチームはこういうカラーになれた。それは3年生のおかげだし、感謝したい。(後輩へのメッセージは)1、2年生の力あってのチームだった。技術面では3年生に無いものを持ってるので、チーム力を上げるためにどうしたらいいかを2年生を中心に1年生も考えてもらいたい。(言い残したことは)ミーティングで、みんなが学生監督という立場でやらせてもらったことに対してありがとう、感謝してると言ってくれたが、むしろ付いてきてくれてありがとうと言いたい。


・佐藤弘(法3=星稜)

序盤試合を崩してしまったが、最後の試合ということで崩したまま終わるかという気持ちで巻き返しが出来た。今まで本当に打撃不振だった中で、今日は絶対チャンスが回ってくると想定して、間を抜くバッティングを心掛けた。そのためにどういう準備をするのかしっかり考えて試合に臨んだ。それが結果的にマルチヒットや連打につながったと思う。よく考えることができていい結果につながった。(リーグを振り返って)初めての1部だったが、非常にレベルが高い。レベルの高いとこでできるという楽しさはすごく感じたし、すべての面でちゃんとした野球が出来た。1年から試合に出ているが2年生のときに(日本代表として)グアム遠征に行くことができたことが印象に残っている。自分は引退だが、今年も代表に選ばれているので、レギュラーを目指して頑張っていきたい。野球を通していい経験ができたんじゃないかなと思っている。(後輩に向けて)1,2年が主軸のチームで強いチームではあったがそれにおごらず、1部優勝を目指してやっていってほしい。


・稲川(文3=稲毛)

最高でーす!今日は本当にいい集中力で、ベンチからも出てる選手からもいい気迫が見れた。今朝のミーティングで俺ら今日最後だから頑張ろうって(言った)。最後何とかサヨナラ勝ちをということで、自分も打てて若原が決めてくれて、チームとして本当にいいチームだなと改めて勝って思った。(今週の打撃について)びっくりするぐらい。最終打席は学生野球最後の打席だと思ったので意地でも汚くても良いからという感じで。自分の中では気合いで打った最後のヒットだった。(今季を振り返って)長かった。日程的にも長かったが、それ以上に充実していた。今までと違うレベルで初めてやってみて体の疲れは溜まったが、それ以上に心の中から野球を楽しんで試合に臨めたシーズンだった。(3年間振り返って)夏に1回肩を壊しちゃって、大丈夫かよっていうみんなの疑いの面を跳ね返してやろうという気持ちも持っていた。みんなとやれて良かった。特に3年生は学年全体で仲いいので、恵まれたなと思う。(後輩へのメッセージは)下級生のおかげで勝てたっていうのはあるので感謝したい。1個下とは本当に仲良くて、すごいフラットな関係でできて良かった。1年生は試合に出れない選手もいるけど練習にちゃんと来てくれた。そこも感謝したい。(残りの練習等で伝えていきたいこと)1個1個のプレーを雑にやらない。自分たちのミスで大量失点して負けたとかもあった。9人しか出れない中で、そのメンバーも今日の試合の雰囲気をオープン戦でも出せるように。大変だと思うが、普段のそういったところからやっていければ来季は確実に自分たちより成績を残せると思う。期待してます。


・若原(社1=九州学院)

今日は(リーグの)最後の試合だったので、3年生のためにという気持ちで試合に臨んだ。今までずっと調子が上がらなくてヒットも出ていない中でも、信頼して監督が使ってくれていたので期待に応えたい気持ちはあった。(サヨナラの心境は)チャンスで回ってきていたが次のバッターが主将の木藤さんだったので、次に回せばいいという気持ちで打席に入った。この秋のリーグ戦は自分の本来の実力がまったく発揮できていなかったが、監督がそれでもずっと使ってくださったので感謝している。(春のリーグに向けて)最後に勝ち点は取れたが、5位という結果だった。主力メンバーは大分残るので、次は優勝争いできるようにしたい。


TEXT=大谷達也 PHOTO=當麻彰紘