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平成28度関東学生アメフト秋季リーグ戦
11月5日(土) 大井第2球技場
東洋大10-10成蹊大
0|1Q|7
7|2Q|0
0|3Q|3
3|4Q|0
伊勢馬場がチーム待望の得点を奪う
長嶺主将は最後までチームを鼓舞し続けた
2戦連続無得点で敗戦し、迎えた成蹊大戦。第1Qから先制のタッチダウン(TD)を奪われるも、第2Q開始早々にTDを奪い振り出しに戻す。その後は一進一退の攻防が続き、決定打となる得点は生まれず。10―10の痛み分けに終わり、3部との入れ替え戦の危機が迫ってきてしまった。
今日の試合は開始から今まで以上に声が出ていた。長嶺主将(済4=函館ラサール)を中心に1つ1つのプレーが終わるごとにピッチに響く大きな声。「常に笑顔で雰囲気良くやることを意識していた」と本人が振り返るようにベンチからもしきりに「スマイル!」という言葉がかけられ、自分達の空気を作って試合を進める。
3連敗中ということもあり、攻守ともに立て直しが求められたが、第1Q開始6分ロングパスを通され、この日も先制のTDを許してしまう。しかし今日は早いうちに試合を動かす。状況を打開したのは前の試合で悔しさを露わにした伊勢馬場(食3=横浜栄)だった。第1Qこそ失点の契機となるパスミスがあったものの、第2Q早々、効果的なスクランブルが決まり、2試合ぶりの得点を生み出した。同点に追いついてからはチームの士気もさらに高まり、初戦以来の勝利を目指していい雰囲気のまま前半を折り返す。
後半に入ると、ディフェンス陣の気迫のブロックが目立つも、じわじわとゴールラインへ迫られていた。残り約20ヤード地点まで運ばれると、相手はフィールドゴール(FG)を成功させ、再び3点を追う展開になる。焦る気持ちが出てきたか、その後はチーム内の声かけも少なくなっていった。またこのままずるずるいってしまうのだろうか、そんな悪い流れを変えたのは長嶺と共にずっとチームを鼓舞し続けた長岡(ラ4=北多摩)のインターセプトだった。「チャンスは取れるときに取れれば」と相手の隙を逃さなかった。エンドゾーンまでボールを運ぶことはできなかったが、こちらも同様にFGを成功させ、試合を振り出しに戻した。その後は両チーム激しい攻防を繰り広げるも、なかなか残り30ヤードから先に進むことができない。最後は30ヤード程の距離でのFGを狙ったが、ゴールへは届かず試合終了。もう少し何かできたのではないか、といった悔しさが試合後の選手達の表情に出されていた。
勝ちこそ逃したものの、前回よりもディフェンス陣は確実に失点を減らしていた。課題であった集まって囲む守り方ができてきたことはこの先の戦いにプラスになるだろう。長岡は「この引き分けはマイナスではなくプラスに見ている」と今季4勝の相手に分けたことを前向きに捉えた。西村ヘッドコーチが「大事なのはみんなでやる意識」と締めくくったように、ピッチ上の11人のまとまったプレーがこの先の戦いで大事になっていく。
■ コメント
・西村ヘッドコーチ
勝ちきれる試合だった。出だしはインターセプト2回され、自滅から始まったゲームだったが最後はよく引き分けに持ち込めたなと思う。相手にもミスはあったがよく耐えた。勝ち点1を最低限取れたのは大きかったけど、悔いの残る試合でもあった。プレーに対する精度がまだまだ低い。(ディフェンス陣の奮闘は)最初のTDもオフェンスのミスから始まったものなのでそっちが悪かったかな。でもあの1点を取られたのはマークを間違えて取られた点数だった。結果自滅だよね。でもそこは自分達コーチ陣がうまく選手をコントロールしてやらないとね。(声がよく出ていたが)基本的には緊張して黙るとコミュニケーションも取れなくなるので、人任せにせずに喋ることが大事。連絡を密にすることでミスは減らせる。11人で止める、11人で攻めるという意識づけで“スマイル”という言葉を使った。うちには格別上手い選手がいるわけではない。例えるならリオ五輪のリレーのように全員で差を埋めていく、チームスポーツである以上そういうのを目指していきたい。(前回までの課題の克服は)前回までの試合に比べれば、ディフェンス陣は集まって囲む、など修正しなければならない所は直せてきたかなと思う。(次節に向けて)今回の大きいミスっていうのは交代の失敗。そこで落ち着きがなくなったり不安になったりして入ってしまっていた。結局入る人間がその都度名前を呼べばいい所を人任せにする。そういうところがまた自滅の部分でもある。大事なのは自分がやるのではなくみんなでやるという意識を作っていくことだね。
・長嶺主将(済4=函館ラサール)
今日は下の入れ替え戦を回避するために絶対負けられない試合で、相手が4連勝していて、こっちは1勝3敗で気持ちが入っていた。しかし、いい雰囲気の中でチャンスを点数に繋げられなかったから引き分けてしまったと思う。(選手全員声がよく出ていたが)相手は今日取れば上の入れ替え戦に進めるという独特の緊張感があるのは分かっていた。相手が格上であってもそれを利用して雰囲気で圧倒することをみんなで統一させていた。どんな悪いプレーをしても常に笑顔で雰囲気良くやることを意識していた。(次節に向けて)今日出た勝負どころでの課題をオフェンス、ディフェンスともに見直していく。うちが勝つパターンっていうのは僅差になると思うので、そういう勝負どころを修正して絶対に勝って下の入れ替えを回避したい。
・長岡(ラ4=北多摩)
勝ちきれなかったのが悔しい。(2試合ぶりの得点に関して)ディフェンスだけでなくチーム全体が気持ちが折れていたので、今日まで気持ちを作るじゃないけど、雰囲気よくできたと思う。チャンスは取れるときに取れればいいし、オフェンスだけに任せてはもったいないから、積極的にインターセプトをしていった。引き分けは正直悔しいけど、今後プラスに生きてくる。次からは勝ち切ることを目標にできることをしていきたい。
TEXT=美浪健五 PHOTO=美馬蒔葉