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第94回全国学生相撲選手権大会
11月5日(土)両国国技館
1日目 個人戦
準優勝 大波
第3位 村田主将
ベスト16 白石
ベスト32 城山、西野、中嶋
予選敗退 新保、寺沢
力のある相撲が持ち味の村田
自身の勝利に笑顔でガッツポーズする大波
表彰式後、握手でお互いの健闘を称えった
第94回全国学生相撲選手権大会(以下、インカレ)が開幕した。初日の個人戦では出場8人中6人が決勝トーナメントに駒を進めるという健闘ぶり。その中でも大波(法4=学法福島)が準優勝、村田主将(法4=金沢市工)が3位入賞と、ここまでチームを引っ張ってきた4年生がこれまでの稽古の成果を目に見える形で残した。
決勝の舞台、相手は学生ランキング1位のトゥルボルド(日大)。大波は右、左と脚を伸ばし、一呼吸を置くとゆっくりとした足取りで土俵へ向かった。何度も自分の体を叩き鼓舞すると、目の前の相手に集中。そして会場が静まり返った。そこから両者は勢い良くぶつかる。まわしを掴むも、土俵の際まで追いつめられ、寄り倒されて勝負あり。惜しくも学生横綱の称号を得ることはできなかったが、そこには、悔しさよりもやりきったという清々しさがあった。会場にも大波を称える温かい拍手と声援が溢れた。
10月に国体を終え、大波の目の前には4年間の集大成となるインカレが迫っていた。大好きな相撲をここまで苦楽を共にしてきた仲間とできるのもあと残りわずか。今季は個人戦で自分が納得するような成績は残せていない分、インカレへかける思いは誰よりも強かった。しかしそんな彼にアクシデントが訪れる。優勝するためにと必死に取り組んできた朝の稽古中、右足首を痛めたのだ。大会まで3週間を切っており、出場できるかどうかも分からない。怪我に対する不安や悔しさが顔に表れてはいたものの、「最善を尽くして出れるように」と、大波は前しか向いていなかった。もし出場できないとしても「チームが優勝出来れば」とチームのサポート役に回る決心もできていた。すべては4年間ずっと目指し続けてきたインカレの優勝の為に。
そんな大波が個人戦で準優勝という大きな結果を残した。怪我など感じさせない、まさに最上級生としての意地とプライド。全試合に全力で戦ってつかんだ栄光に、満足げな表情を浮かべていた。
「勝ちたかった」その一言が試合後の悔しさを表している。持ち前の力強い相撲で、初戦から危なげなく準決勝まで進んできた村田。そして、準決勝の相手はトゥルボルド。先に大波が決勝に駒を進めていたということもあり、決勝進出への思いは一層強まっていた。まさに気迫の溢れる相撲であった。立ち上がり、互いに最大限の力でぶつかり合う。激しい取り組みの中、はじめはトゥルボルドの体制を崩し、村田優勢のかたちにもっていく。しかし、最後には突き倒され勝負あり。自分の相撲を取り切れなかったというやり場のない悔しさ、強く握りしめた拳を思わず土俵へぶつけた。「押せなくて止まってしまい、自分の相撲がとれなかった」と試合後に敗因を振り返る。しかし、素早い気持ちの切り替えが求められるのもインカレならでは。「明日あたったら自分の相撲でいきたい」と村田主将はすでに前を向いている。
2日目の団体戦は東洋大にとって大切な一戦。3年ぶりの団体戦覇権奪還を目指し、チームの士気は一層高まる。村田主将を筆頭に「絶対に取れるメンバー」である今年、一人一人が自分の相撲を取り切れば優勝は見えてくる。
♢コメント
村田主将(法4=金沢市工)
今日の調子はまあまあ。勝ちたかった。(大波)渥が決勝いって「決勝にいくぞ」っていう気持ちは強くあった。立ち合いは良かったが、そこから押せなくて止まってしまい、そこで自分の相撲がとれなかった。そこが敗因。準決勝の前の取り組みも危なげなかったが、しっかり相手を見て落ち着いてとることが出来た。明日はメンバーを見て負けられないとは思うが、気負わずに自分の相撲を一番一番集中して取りきるということを意識してやっていきたい。(団体戦で東洋大と日大が当たることになれば、先鋒同士で戦うことになるが)今回はトゥルボルドに合わせてしまった相撲なので、明日あたったら自分の相撲でいきたい。
大波(法4=学法福島)
今日の調子は想像以上に良かった。準優勝という結果は、勝ちたかったが自分の力を出し切れたので良かった。全試合全力でいったので試合の内容は覚えていない。明日は出るかどうか分からないが、自分の相撲をとり切ってチームに貢献したい。
TEXT=永田育美 PHOTO=伊藤梨妃、永田育美