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2016.11.07
相撲

[相撲]3年ぶりに団体優勝!チームワークでつかんだ栄冠

94回全国学生相撲選手権大会・2日目

11月6日(日)  両国国技館

 

団体戦Aクラス 優勝

 

Aクラス優秀8校決勝トーナメント)

決勝

近大
2対3
東洋大
○元林
下手投げ
●村田
●吉
押し倒し
○城山
○中村
寄り倒し
●中嶋
●宮野
寄り切り
○西野
●谷岡
押し出し
○大波


大波は押し出しを決めると大きくガッツポーズ

仲間たちは笑顔でガッツポーズをし、大波を迎える

土俵を降りてすぐに4年生2人は熱く抱擁した

成長した姿を見せた中嶋

表彰式では笑顔が溢れた



 「チームワーク」の勝利だった。インカレ2日目の団体戦は、“絶対にとれるメンバー”一人一人が自分の相撲を取り切り、見事3年ぶりの団体優勝。秋の両国国技館にとびきりの笑顔と感動の涙が溢れた。



  しんと静まり返った国技館。大波(法4=学法福島)が深呼吸をして土俵に上がり、いよいよ日本一が決まろうとしていた。ここまでの勝敗は2勝2敗。優勝の行方はこの男の手にゆだねられていた。まっすぐ相手にぶつかっていくと、その勢いで一気に土俵際まで相手を追い詰める。そして押し出しで勝負を決めると、国技館の緊張は一瞬にして解けた。大波は土俵上で何度も何度も大きくガッツポーズ。土俵だまりにいた仲間も、花道にいた仲間も、そして観客席にいた人たちもみな大きな歓声を上げた。大波は土俵を降りるとすぐに今まで4年間ずっと一緒に戦ってきた村田主将(法4=金沢市工)の元へ行き、熱く抱きあった。その後も歓声はやむことはなく、花道へと移動した歓喜と感動の輪の中心で、監督が、村田が、大波が、4年生がそれぞれ宙を舞った。ずっと、ずっと欲しかった、団体戦の覇権を3年ぶりに奪還した瞬間だった。


  あと一勝すれば日本一が決まる決勝戦。しかし、先鋒の村田が下手投げで敗北してしまう。この状況に二陣の城山(法1=金沢市工)は「先輩が負けた分取り戻すしかない」と強く意気込み、土俵に上がる。よく相手を見た力強い相撲で相手を押し倒すと、拳を高く突き上げた。チームは息を吹き返した。だが、続く中堅の中嶋(法2=愛工大名電)は寄り倒しで敗北。2-1と東洋大に不利な状況に陥ってしまう。ここで負けたら終わり。このプレッシャーのかかる場面を任されたのは副将の西野(法2=金沢市工)。前に出る相撲で寄り切り、2-2の同点とすると大きく何度も拳を突き上げた。勝負の行方は大将の大波へ。「絶対落とさない、絶対とってやる」。舞台は整った。最高のシチュエーションだ。強い気持ちで土俵に上がった大波は4年生として意地の相撲を見せ、相手を土俵の外へ。この瞬間を城山は「4年生の意地というのを見せてもらって本当に勝った瞬間鳥肌が立った」と振り返った。


  3年前、現在はコーチの中出(H25年度法卒=東洋大職員)が主将で、今の4年生は当時1年生。この時、まだ高校生だった城山はこの試合を見て「ここで相撲がしたい」と憧れ、入学を決意していた。この団体戦優勝に憧れて東洋大に入学を決めた選手は城山だけではないはずだ。なぜなら、「今後の目標を教えてください」と聞くと、ほとんどの選手から「インカレ団体戦優勝に貢献したい」という答えが返ってくるからだ。インカレ団体戦優勝への意気込みは他のどの大学にも負けていなかった、そう言っても過言ではない。


  他の誰でもない、自分たちの手で団体戦の優勝を勝ち取ったこの日の喜び。それは一生の宝物になることは間違いない。この自信を胸に、さらに前へと進んでいく。




■コメント

・村田主将(法4=金沢市工)

4年生2人で引っ張って来たというわけではなく、5人全員で引っ張ってきた。今年は特に美味しいご飯を作ってくれる宮下主務が引っ張ってくれた。近大の方がやりづらかったというわけではない。5人全員で相撲をした。チームワークが良かったと思う。どこにも勝てないと優勝できない。(大波は)昨日終わった後すぐに接骨院とか行って治療をしてもらって、明日に備えようとしていた。チーム一丸となって戦えたと思う。今日もここに来る前に道場の神殿にお参りしてきた。西野は安定していた。中嶋が最初はあまりよくなかったが、よく頑張ってくれた。成長したと思う。中嶋の存在は大きかった。最初から優勝できると思っていた。優勝するつもりで集中していた。


・大波(法4=学法福島)

個人と団体ではメダルの重さは相当違う。団体の方がもちろん幸せ。プレッシャーも違うので。決勝のシチュエーションは最高だった。絶対落とさないぞ、絶対とってやるという気持ちだった。土俵に上がって4年間を振り返りながらみんなのことを考えて集中していた。日大が決勝トーナメント1回戦で姿を消したが、日大だろうが日体大だろうがあたるところはあたる気はしていた。チームが盛り上がっていたのでこのまま団体戦もという気持ちもあったが、昨日は相当疲れていた。最初から優勝はいけると思っていた。


・新保(法3=鯵ヶ沢)

優勝できてうれしい。4年生に感謝。(自身の調子は)全然駄目。力が入らなかった。怪我に怖がってしまった。やる気はあったが、体がついていかなかった。


・中嶋(法2=愛工大名電)

(試合を終えて)この春先から本当に結果が出なくて、最後で思い切った相撲がとれて本当に良かったと思う。(近大戦は)1ー1だったので自分が勝てば2ー1でキャプテンの負けをなくせて、いけるかなと思ったが駄目だった。(試合の中で気をつけていたこと)もうふっきれて、とりあえず自分の原点に戻って前に出るということだけを心がけていた。できるだけ何も考えずに。(4年生の活躍について)自分たちが東洋のゼッケンをつけて4年生と戦うのは最後の試合なので、日本一になるという強い思いで4年生のためにも本当に頑張れたと思う。(天皇杯に向けて)このいい感じの状態でこのまま天皇杯に持っていけたらいいなと思う。


・西野(法2=金沢市工)

優勝できてうれしい。3年と4年とあるので、3連覇を目指して切り替えてやっていきたい。(近大戦について)大将の大波さんにつなげる意思、それだけで頑張った。(自身の調子は)今日は全部落ち着いてとれて、理想の相撲ばかりとれたので満足。


・白石(法2=専大松戸)

うれしい。とにかくうれしい。(自身の調子は)全然駄目。脚がでなく、調子が悪かった。(来年は)自分がチームを引っ張れるようになりたい。(天皇杯は)優勝を狙っている。


・城山(法1=金沢市工)

(試合を終えて)前日は不完全燃焼というかあまり自分の力を出し切れていなかった。今日は本当にこの大会に優勝するためだけに団体を狙っているようなものだったので本当に最高。(近大戦は)二陣の吉選手には最近ずっと連敗してて本当に苦手意識がある選手だった。だがキャプテンが負けてしまって、先輩が負けた分取り戻すしかないと思っていたので攻め続けることを意識した。(4年生の活躍について)村田主将は本当にずっと頑張ってチームに勢いをつけてくれていた。試合以外でも試合の流れまでの間にはずっとメンバーを励ましてみんなを鼓舞してくれていたので、気持ちを高めるのも上手いことのせられた。大波さんもけがで悩んでいる中、最後の大将戦で4年生の意地というのを見せてもらって本当に勝った瞬間鳥肌が立った。(試合の中で気をつけていたこと)精神状態の勝負は消極的になった者負けだと思うので、積極的に前に下から攻めるように。(天皇杯に向けて)天皇杯は1年間最後の締めくくりの試合になるので、学生横綱は無理だったがアマチュアはのし上がっていきたい。



TEXT=伊藤梨妃、PHOTO=永田育美、水野桜、伊藤梨妃


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