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2016.11.13
柔道

[柔道]細谷、「夢の舞台」で学生柔道に幕 次のステージへ

平成28年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会

11月12日(土) 千葉ポートアリーナ


[出場選手結果]

81㌔級

細谷(営4=前橋育英) 2回戦敗退


王者相手に互角に渡り歩いた細谷


目標「日本一」への挑戦は続く


 東洋大からは2014年の木下(文3=京都学園)以来2年ぶりとなる講道館杯の畳に細谷(営4=前橋育英)が立った。前年度王者を相手に健闘を見せるも、残り15秒で有効を奪われ夢の舞台は初戦で幕を閉じた。

 

 4年間の集大成を、地元千葉の舞台で発揮した。細谷にとって講道館杯は「小さい頃からの夢の舞台」。初戦からいきなり前年度王者で日本のトップクラスに立ち続ける海老(旭化成)との対戦となるも、勇敢に立ち向かった。それでもいざ畳に立つと「緊張で頭が真っ白」だったという細谷。序盤から指導を立て続けに受け、残り2分半で三つ目の指導を受けると後が無くなってしまう。あと一つ指導を取られれば負け。そこからエンジンが掛かった。次第に細谷のペースとなった試合は、相手に二つ目の指導が渡るとさらにヒートアップする。「試合中もみんなの声援が聞こえて力になった」。応援に駆け付けた家族、そして柔道部の仲間の声援を受け攻めに出ると、細谷があわやポイントとなり得る技を仕掛ける。金星を挙げるか。そんな期待も漂ったが、残り15秒で王者の貫録を見せつけられた。「追い込むことはできたので、よくやったとは思うが惜しかった」と西山監督も悔しさをにじませた。

 誰よりも努力家で前向き。そんな彼の性格がこの大舞台へと導いた。前年度に西山監督が就任し、雰囲気がガラリと変わった柔道部の中でもっとも成長を遂げたのが細谷だ。「腰の具合があまり良くなくて休みがちだった」という3年生の初め。試合に出ても必ずしも目立つ存在ではなく、個人戦では全日本学生柔道体重別選手権大会(以外、全日本)への出場すらかなわなかった。しかし、腰の具合が良くなると「稽古にも人一倍励んだ」という細谷。4年生の今年はトレーニング長も務めチームを引っ張る存在となる。後輩の手本となったその姿勢は結果にも表れた。自分より体の大きな選手と当たる無差別級の団体戦でも主軸となり、個人戦では自己最高の全日本ベスト8という結果を残す。尼崎で行われた体重別の団体戦でも2戦2勝を挙げ、東洋大のエースとして君臨した。

 東洋大での柔道人生を「本当に充実したものだった」と細谷は振り返る。しかし、彼の柔道人生はここで終わりではない。警察官となり、その舞台でも柔道を続けていく。「来年もこの舞台に必ず立ちたい」。夢が現実となったが、その舞台で結果を残すまでには至らなかった。次は勝利、そして優勝を。「日本一」を目標に掲げる柔道家・細谷のストーリーはまだ序章に過ぎない。


■コメント

・西山監督

追い込むことはできたので、よくやったとは思うが惜しかった。勝負に出ていたからしょうがない。指導のペースが早く、勝負に出ないといけない場面になった。(指導3つを取られてからは)冒険して、とにかく攻めに出た。そこを狙われた。もうちょっと指導のペースが遅かったら勝負の仕方も違ってきた。(相手が決まったときは)左組みだから組み負けないように、妥協しないようにとアドバイスした。あとは相手は王者だから、こっちは学生であるしとにかく思い切り挑戦しようと伝えた。(細谷の成長した部分は)非常に努力家で、前向きな姿勢で後輩たちのいい見本になってくれたのでありがたい。私が来たときに腰の具合があまり良くなくて休みがちだったが、腰の調子が良くなってからは稽古にも人一倍励んだ。トレーニング長ということもあって、自分自身が先頭になってみんなを引っ張ってくれた。体力の面でも技術の面でも精神面でも彼が1番同学年の中で成長した。(今後の細谷に期待すること)学生の柔道スタイルと違って、特に警察の場合は技術というよりも剛の部分が出る。そこに自分の柔道スタイルを合わせて、努力していけば階級で優勝を狙えるだろうし、団体でも活躍できると思う。(来年の講道館杯へ)講道館杯は出場権を得るのが大変。でもみんな非常に頑張っているし、一人でも多く。来年は複数選手出場できたら。


・細谷(営4=前橋育英)

やっとここまで来た。小さい頃からの夢の舞台で戦えたことは本当にうれしかった。いざ出てみて最初の方は緊張で頭が真っ白で。指導を先に先行されてからやっと『行かなきゃ』っていう気になってきて、後半は指導を取ったり相手を投げれそうになったりしたので、悔しいが前年度のチャンピオンと初戦からできたことは良かった。(組み合わせが決まったときは)前年度のチャンピオンだったので、いきなりかっていう気持ちの反面、初戦から日本のトップクラスの選手と当たることができるんだって半分うれしかった。(地元での大会だったが)両親、祖父祖母まで応援に来てくれて、柔道部のみんなも応援に駆け付けてくれたので心強かった。試合中もみんなの声援が聞こえて力になった。(今大会を経験して)社会人になっても警察官になって柔道を続けるので、来年もこの舞台に必ず立ちたい。(大学生活を振り返って)本当に充実したものだった。(西山監督になってからは)西山先生になって柔道部がガラリと変わって、私生活の面から柔道の面の細かい部分まで指導してもらえるようになって、一緒の寮でも生活してるので柔道部全体が毎日引き締まった思いで生活できた。練習も西山先生が来てから質が上がったというか、みんなの意欲が上がった。そして結果も出始めてきたので良かった。(社会人になってからの目標は)日本一です。


TEXT/PHOTO=當麻彰紘