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2016全日本大学女子選抜駅伝競走
12月30日(金)富士山本宮浅間大社前~富士総合運動公園陸上競技場
総合10位 東洋大 総合タイム 2:30'32(43.8km)
1区(4.1km) 天羽彩佳 13'30(13位通過・区間12位)
2区(6.8km)白川恵理菜 21'56 (7位通過・区間7位)
3区(3.3km)山口いずみ 10'37(8位通過・区間9位)
4区(4.4km)室伏杏花里 14'50(8位通過・区間8位)
5区(10.9km)佐藤早也伽 37'22(9位通過・区間8位)
6区(6.0km)大倉真歩 20'12(7位通過・区間3位)
7区(8.3km)内田寧々 32'05(10位通過・区間18位)
全19校が勢いよくスタートを切った
第1中継所 1区・天羽(左)―2区・白川
第3中継所 3区・山口(左)→4区・室伏
第4中継所 4区・室伏(左)―5区・佐藤早
第5中継所 5区・佐藤早(左)—6区・大倉
第6中継所 6区・大倉(左)―7区・内田
目標には届かなかったがアンカー内田は総合10位でゴールテープを切った
都の杜駅伝で大躍進を遂げた女子長距離部門が富士山駅伝に出場。目標の8位入賞にはあと1歩及ばなかったが、総合10位という結果で今年のレースを締めくくった。
「試走をしている段階から去年の情景が思い出されてきた」と永井監督。屈辱の繰り上げスタートから1年、この出来事をきっかけにチーム全体で生活面を一から見直し日々練習を積み重ねてきた。そんな思い入れの強い大会で1区を任されたのは今年駅伝出場がない主将天羽(食4=仙台育英)だ。当日のコンディションから急きょ1区を任された天羽だったが、エース級の選手がひしめく1区を12位でタスキリレー。シード圏内の8位が視野に入る混戦の中、続く白川(食1=常総学院)は1年生とは思えない堂々とした走りを見せる。すぐさま集団から抜け出し7位まで順位を押し上げると3区の山口(食1=順天)にタスキを渡した。山口は順位を一つ落とすも、続く4区室伏(食2=白鷗大足利)と共に目標の8位を死守。落ち着いてタスキを渡すと勝負はエース区間の5区へ。
勝負を左右する最長コースはエース佐藤早(食4=常盤木学園)が起用されたが、「自分がもっと積極的な走りをすることができていたら、もっとチームに流れをつくることができた」と順位を一つ落とし9位でタスキリレーに。それでも苦しい走りとなったエースを6区の1年生大倉(食1=埼玉栄)が巻き返す。負傷もあり、決してベストコンディションとはいえない状態。しかし不安要素などものともせず、駅伝初出場ながら順位を2つ上げた7位でタスキを繋いだ。最終7区、シード圏を争う戦いは内田(食3=学法石川)に託された。しかし高低差の激しいコースが内田を襲う。前半から果敢に攻めるも粘り切れず、総合10位でゴールテープを切った。
去年の富士山駅伝の悔しさから始まった今シーズン。一年を振り返り「ここまでのチームに成長するということもあまり想像も付かなかった」と天羽は語る。関東女子、都の杜と成長著しい1年であったことは確かだ。それも主将をはじめ1年かけて意識改革を行ってきた結果だ。しかし今大会でこれまでチームを引っ張ってきた天羽、佐藤早ら4年生は引退。勢いがついてきた時期に主力が抜けるのは心細い。しかし新チームの始動はもう始まっている。来年は今年以上の躍進にさらなる期待がかかる。
▪コメント
・永井監督
悔しい。他のチームが思った以上に1区に強い選手を投入してきた。その中で天羽は良く走ったし、その後の白川で上がってくるのは分かっていた。欲を言えば、あそこがもうちょっと前で行ければ展開的には変わっていた。(前回の繰り上げスタートの悔しさは生かされていたか)もちろん。それがきっかけ。富士市に入って試走をしている段階から去年の情景が思い出されてきた。あんなに悔しい思いをしたんだよな、と。それを今年は取り返そうという思いでやってきたので、最後は入賞で終わりたかったが、一歩及ばなかった。(1区に主将を置いたのは)当初は大倉を予定していたが、足に違和感があるということで、速いペースになったら怖いと思った。天羽ならキャプテンでチームを引っ張ってきたので、1区も任せられるだろうと感じた。(ベストオーダーを組めなかったか)全日本で3区を走った森田も風邪を引いてしまったし、12月30日という時期のレースの難しさを実感した。11月、12月の過ごし方を気をつけてなくはならない。(今後は)来春に向けてどう冬季練習をつなげていくか。ひとまず4年生にはお疲れ様と言って、年明けからは新チームで始動する。(今年1年はどんなシーズンだったか)やはりこの富士山の繰り上げがあって、私自身も生きてきた中で一番悔しかった。なんでこんな思うようにいかないのかと思うことばかりだった。それから今の4年生とじっくり話をするようになった。なんとなくだが、女子長距離部門もこうすればというのが見えてきた。来年につながる1年だったと思う。(監督の指導においても手ごたえを感じたか)そうですね。やはり練習だけではないなと。分かってはいたがそれを選手に伝えるのが難しかった。私自身も甘かった部分があったし、全て選手のおかげで成長できた。(4年生については)すでに引退しているが、今日もチームのサポートに駆け付けてくれた。去年卒業した一期生と今年の4年生は、部を作ってきてくれて、私にも色んなことを教えてくれた。ありがとうと伝えたい。
・1区 天羽彩佳(食4=仙台育英)
目標は8位入賞だったので今回10位でその点ではやっぱり悔しさのある大会だった。富士山という大会が杜の都と違って距離も増え、アップダウンも激しいコースなので本当の意味で強さが求められる大会だなと改めて痛感した。(レースを振り返って)1区は距離も短いコースだったのでとりあえず自分は先頭に食らい付いていけるようにと思っていた。中盤にもうちょっと粘れたら5秒、10秒と縮まってその後の白川、アンカーの内田がもう少し楽できたのかなという思いもある。ただ、自分のできる今の実力通りの走りはできたのではないかと思う。(レース展開は)飛び出した2校の後に集団で10人ほどいたのでそこで付いていければと思っていたが、最初の2kmの上りの後の平坦になったところで離されてしまった。そこがもう少し粘れたら良かった。(1区に起用されたときは)1区の起用はないかなと思っていたのでびっくりしたが、監督が自分のことを信用してくれたという思いも伝わって、自分自身キャプテンとして最後の大会なのでいい出だしで始められればいいなという思いでいた。(1年間キャプテンとしてチームを引っ張ってきたが)去年、ちょうど1年前はここまでのチームに成長するということもあまり想像も付かなかったので、ここまでチームが成長してくれたのはとても喜ばしいことだと思う。その中でも頭が痛くなるほど色々とどうすればいいのか、生活面を含めて考えたこともあった。それがやっと杜の都と今回の富士山でこのように結果が残せたことでやってきて良かったという思いが強い。(後輩へ向けて)今回10位で杜の都は8位でまだまだ強くなれるチームだと思っているので、もっと上を目指して貪欲にいってくれればいいなと思う。
・2区 白川恵理菜(食1=常総学院)
同着の状態でタスキが回った時に(8位の選手が)そばにいた。とりあえず8位入賞というのを目標にしていたので、前を追うことだけを考えて走った。下り坂が多い区間できつかったが、4年生の先輩のことを考えたらいい結果で終わりたいという気持ちが勝ってなんとか走りきれたと思う。しかしまた(入賞できなくて)悔しい大会でもあった。(1年を振り返って)大きなけがもなく走ることができた。環境が変わって最初は不安もあったが先輩方が面倒を見てくれたので自分の練習にしっかり集中できた。(佐藤)早也加先輩に憧れて東洋大に入ったのでチームメイトとして一本のタスキを繋ぐことができてよかった。天羽先輩も最後タスキリレーをできた。本当に4年生に感謝の気持ちでいっぱい。(来年の目標は)関カレで入賞できたので、来年は3位。全カレでもいい結果を出したい。今年よりもさらに飛躍できると信じて5000mでも15分台を出す。先輩がいなくても東洋は強いと思ってもらえるように頑張りたい。
・3区 山口いずみ(食1=順天)
ラスト東農大と競ったときに負けてしまったのが悔しい。入りは後ろから一気に東農大が抜いてきたが、自分はいつも通りいこうと落ち着いて入った。その後は集団で走っていて、終盤に抜けて前の東農大を追っていった。この大会にしっかり練習を積んで挑むことができなかったので、準備不足が響いた。(白川が順位を上げてタスキを持ってきたが)それは想定内だった。恵理菜なら絶対入賞圏内で持ってきてくれると信じていたので。そこで自分も前を追えれば良かったが、それができずに悔しい。(1年間振り返って)1年生から全ての駅伝に出させてもらって経験もできた。2、3、4年も全部出てチームに貢献できるような走りをしていきたい。
・4区 室伏杏花里(食2=白鷗大足利)
(レース展開は)4区はアップダウンが多かったので、最初は飛ばしすぎないで、ラストは下を利用して行こうというというプランだった。(昨年からの成長は)昨年は1区を任せてもらったが、自分の思うような走りができなかった。今回の走りとしては、少し粘れる力が付いたと思う。(今後の課題は)今大会で、4年生という大きな存在が抜けてしまうので、下級生の自分たちが引っ張っていけるように、またもっと上を目指して頑張っていきたい。
・5区 佐藤早也伽(食4=常盤木学園)
最後の駅伝なのでチームとしては8位入賞して、みんなで笑顔で終われるようにしたいと思って走った。走ってみて自分がもっと積極的な走りをすることができていたら、もっとチームに流れをつくることができたと思う。悔しいレースになった。(4年間を振り返って)4年間ずっと駅伝に出させてもらって、辛い結果や悔しい思いをしたが、充実していて楽しく陸上競技に取り組めた。(思い出に残ってる大会は)最後の全日本で笑顔で8位入賞でき、楽しい駅伝だった。(実業団には)高校生のときからずっといきたいと思っていた。(目標は)日本代表として世界の舞台に出られるような選手になりたい。(後輩たちへ)一緒に練習していてみんなすごい努力家で力強くて、一緒に走っていて頼もしいと思える後輩たちなので、上の順位を目指してこれからも頑張ってほしい。
・6区 大倉真歩(食1=埼玉栄)
駅伝がすごく好きなので走れてうれしかったし、楽しかった。(自分の走りを振り返って)時間は見ていなくて、とりあえず前へ前へ、でも落ち着いていこうと自分に言い聞かせながら走っていたら、どんどん前が追い付いてきた。それで乗っていけた。(レースプランは)落ち着いて走ること。上を見過ぎないで最低限の走りができればいいと思っていた。(初駅伝だったが)緊張はなくて、よく寝れたし、ご飯も食べれた。(コンディションは)1週間前に右足を痛めて不安な要素だったが、しっかり走れて良かった。今までずっとけがをしていて8月の夏合宿でやっと走れた。秋からはAチームの練習に加わって調子も上がってきていたが、駅伝には出れずに悔しかった。最近は記録も出るようになって自信も付いてきて、今回やっと駅伝に出れて良かった。(引退する4年生に向けて)去年の富士山駅伝の繰り上げスタートが一番悔しかったのは4年生だと思う。その気持ちを受け取って今回富士山駅伝を走って、入賞という形で終わらせてあげたかった。それも4年生が悔しい気持ちを持って1年間引っ張ってきてくれたからこそ、1年目の自分たちにも伝わった。(来年の目標は)8位入賞とは言わずそれ以上を目指して、強い東洋を見せられればいいと思う。
・7区 内田寧々(食3=学法石川)
(レース展開は)今年と昨年と同じ区間を走ったが、昨年は前半に守りすぎて後半はもっといけたなと思ったのと、監督からも試走の段階で、後半に登りがあるが前半で抑えすぎず攻めていけるかが力の差だと言われ、自分もその通りだと思っていたので、今年は前半抑えすぎずに行こうと思いレースに挑んだ。(昨年からの成長は)昨年は故障も抱えつつ、自分のメンタル的な部分で成長しきれなかった。上手くいかない理由も感情任せにして向き合えていなかった部分が大きかった。今年はできないと思ったら何故なのかということを自分の中で突き詰めて、原因を人に言えるくらい明確にできるようになった。自分ができないこと、またその原因を分かるようになったことが成長した部分だと思う。(今後の課題は)自分がタスキを貰ったときの順位のままいけば入賞できていた。来年は自分がまとめなければならないし、富士山に借りができてしまった。今大会では3年生として不甲斐ない走りをしてしまったので、今後の練習などを通して信頼を取り戻し、また使ってもらえるような選手になれるよう頑張っていきたい。
TEXT=大谷達也 PHOTO=吉川実里、伊藤空夢、小野由佳莉、福山知晃、畑中祥江、大谷達也