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今季はスタメン定着を目指す倉本
昨季の最終節、勝たなければ昇格できないという状況の下、後半ロスタイムに東洋大サッカー部は、歓喜の瞬間を迎えた。しかし、そのピッチに倉本の姿はなかった。昇格したという喜びと、自分がその場に貢献できなかった悔しさ。選手権の決勝の舞台にも立った彼が、その瞬間に味わった2つの感情と今年にかける思い。そして昇格決定後、高校時代からの先輩・仙頭啓矢と交わした言葉とは。
昨季リーグ戦は6試合の出場にとどまった。そんな自分自身を「実力で出場した試合は一度もない」と振り返る。昨季のリーグ中盤戦、ディフェンスラインにけが人が続出した期間に、倉本は右サイドバックとして、スタメンに名を連ねていた。しかし、負傷組が徐々に復帰していくと、その名前はなくなっていった。「あの最終節の舞台に自分の姿はなかった。まだまだ自分の甘いところがある」と悔しさを滲ませた。人一倍今年にかける思いは強い。
昨年は悔しい思いをした倉本だが、京都橘高校時代にチームは、3年間全国高校サッカー選手権に出続けた。特に1年生時は、決勝で国立のピッチにも立ち、準優勝という経験もしている。「一番輝いていた時期」と当時について語った。そのチームメイトには、今年から京都サンガFCへ加入した仙頭啓矢(H28年度卒)や、現4年の宮吉悠太(国4=京都橘)らがいる。高校3年時に大学進学へ向けて悩んでいたときに、「啓矢くんと宮吉くんが大学に誘ってくれて、二人についていこうと思った」と東洋大へ進学するなど、倉本にとって彼らの存在はとても大きかった。
特に仙頭とは公私ともに交流が深い。京都橘で同期であった「啓矢くんの弟がいて、彼とも仲が良くて」と倉本は話す。さらに目標とするサッカー選手を尋ねると、最初に「仙頭啓矢」と名前を挙げるほどだ。仙頭も、昨年の最終節に「来年期待する後輩は」という問いに「倉本」と答えた。「良いプレーヤーですし、個人的にも可愛い後輩なので、しっかりとスタメンで出て、今日のような気持ちを味わってほしい」。直属の後輩としても一人の選手としても、仙頭は期待の言葉を送っていた。それは倉本本人にも伝えている。「期待しているから。絶対に試合に出ろよ」。短い言葉ではあるが、後輩・倉本への愛情と期待の表れを先輩・仙頭は強く示した。
「試合に出場するときは、部員全員の気持ちを背負わなければいけない」。これは倉本がここ2年間で強く感じたことだと話す。スタメンだけではなく、時にはスタンドから選手を応援するという経験をしたからこそ、感じたことである。「攻撃は積極的に行くようになったが、守備面をもっと突き詰めてやりたい」と課題も挙げた。4年生が連れていってくれた1部という舞台。倉本は「1年で落とすわけにはいかない」と強く口にする。そのために、試合に出ていない同期や後輩たちの思いも背負って、右サイドを駆け上がる倉本に目が離せない。今年こそ歓喜のピッチに、倉本が立っている。
積極的な攻め上がりから練習試合ではアシストを記録
▪倉本光太郎(くらもと・こうたろう)
171㌢/67㌔
H8・8・26
学部・学科/国際観光学部・国際地域学科
出身/京都橘高校
ポジション/DF
好きなサッカー選手/仙頭啓矢
好きな芸能人/小藪千豊、相武紗季
TEXT=藤井圭